イケてる!市民活動★ミニレポート内容

「デザインで社会を変える」をミッションに、デザインの強い力を信じる仲間たちと多くの社会課題解決プロジェクトを立ち上げている代表理事の西川亮さんと、「ひとしごと館」プロジェクトに携わっている田中佐也加さんにお話を伺いました。

 

cotohana

NPO法人 Co.to.hana

代表理事 デザイナー 西川 亮さん(左)

コミュニティデザイナー 田中 佐也加さん(右)

 

設立:2010年4月

事業内容:まちづくり、建築、空間、インテリア、プロダクト、グラフィック、webサイト、映像、イベントの企画・運営・制作等

<Co.to.hanaの名前の意味>

Co:さまざまな人が集まって協力すること

to:社会へメッセージを届けること

hana:想いをカタチにすること

 

 

デザインの力で社会課題を解決。分野にとらわれない、「デザインを広義にとらえた」活動を実践

Co.to.hanaではどのような活動をされているのかお聞かせください。

 

Co.to.hana のミッションは、分野にとらわれないデザインの力で、社会課題を解決することです。

Co.to.hana には「課題を解決したい人が思いをカタチにできる社会」という考え方があります。私たちの強みであるデザインの力で可視化しながら課題解決に向け共に取り組む「伴走支援」というスタンスで「デザイン」、「プロジェクト」、「デザイン研修」の3つの事業を柱にさまざまな社会課題に取り組む団体や企業、個人を対象に、解決に向けたご提案をいたします。

「デザイン」はアイデアを考えて形にする行為そのものもデザインであるという考えに基づき、事業戦略企画、イベントの企画提案、空間デザインなど、分野にとらわれず幅広くサポートしています。デザイン業務を単発でお受けするというよりも、例えばアイデンティティ構築をコアに、理念の整理、スローガンやキャッチフレーズの開発、キービジュアルの開発・展開、広報戦略としてのチラシ・パンフレットやwebサイトの制作に至るまで、一貫したサポートということにこだわっています。

「プロジェクト」は、Co.to.hana メンバーが中心となり、高齢社会、都市の遊休地の活用など、さまざまな社会課題をテーマに事業を自主企画し、地域コミュニティなどと共に実践するプロジェクトです。

「プロジェクト」で大事にしていることは、担当自らが問題解決へのアクションを起こすだけでなく、住民や当事者などが主体的に問題解決に取り組める仕組み=「生態系」をつくり上げることです。住民を始めとした地域コミュニティを巻き込んで行うわけですから、行政・企業・NPOなどとの協働が欠かせません。また担当者も自ら企画し、運営することで、実践を通して私たちの強みである「デザイン」の可能性を追求し、プロジェクトをさらに発展させてくれています。

「デザイン研修」は、団体、企業、子供や若者などに対し、私たちのこれまでの経験を通して蓄積したノウハウを繋いでいくことをポリシーに、デザインの基本となる考え方から専門性の高いノウハウまでレクチャーを行っています。

 

 

 

商業デザインではなく、社会課題を解決するデザインがこれからの世の中に必要

Co.to.hanaを立ち上げられたきっかけについてお聞かせください。

 

現代の日本は課題が山積みしており、少子・超高齢化・人口減少社会という、いまだかつて世界が経験したことのない状況にあると考えています。この状況を打開するために、私たちデザイナーが社会のためにできること、やるべきことはたくさんあると思います。

デザインには、人に感動を与える力があります。

社会にムーブメントを起こす力があります。

人を幸せにする力があります。

私は、若い頃に大学でデザインを学んでいた当時から、“社会のさまざまな課題に対して何とかしたい!”という思いが強く、一般的な商業デザインではなく、“社会課題を解決するデザイン”がこれからの世の中に必要と考えていたのです。

自分がやりたいことができる環境やチャンスを誰かに与えられるのを待つのでなく、自分たちでつくればいい、といった思いで、大学を卒業してすぐに任意団体Co.to.hanaを設立しました。繋がってくださったひとつひとつのご縁を大事にしながら実績を積み上げ、8か月後には法人格を取得しました。

 

 

 

地域の方が地域の困りごとを解決することを通じて、地域で輝ける自分を実現できるプラットフォーム「ひとしごと館」

今一番、力を入れられている事業について、お聞かせください。

 

浪速区に拠点がある「ひとしごと館」ですね。

「ひとしごと館」は、地域の困りごとを住民一人一人が自分の得意とすること、自分がやりたいことを通じて解決するコミュニティサービスです。

浪速区に限らず、人口流出入が激しい地域は特に、地域とのつながりをつくるきっかけに悩んでいる人が多いと思います。独居高齢者の孤独死など社会課題がある一方、地域に関心をもって人とつながりたい、と感じている若い人もいます。それぞれの世代が繋がる機会や場をつくりたいとの思いからスタートし、今年で3年目になります。「ひとしごと館」のイベントでは狙い通り、定年退職された方や若い方、さまざまな世代の人たちが参加し、交流できる「地域でもなく、会社でもない新しい場所」になっています。

「ひとしごと」という言葉には、「人を幸せにする仕事」や「人が輝く仕事」といった意味を込めています。ここでいう“仕事”は、活動に対して少しの謝金と感謝をいただくもので、大儲けができるものではありませんが、年齢問わず、地域の方が地域の中でいつまでも輝ける自分を実現できるプラットフォームとして、非常に意義ある取り組みになっていると考えています。

「ひとしごと館」がいずれ地域コミュニティ活性化のためのモデルとなるには、いろいろな方のご理解や連携が必要です。何かやりたいという方はぜひ参加してみていただければ、と思います。

 

 

 

国土交通省の固定資産税の減免制度を取り入れつつ野菜づくりを通じた地域コミュニティ形成を目指す「みんなのうえん」プロジェクト

さまざまなプロジェクト実績より、他に代表的なものについてお聞かせください。

 

住之江区・北加賀屋の住宅地の中にある空き地を使って“みんなが力を合わせて育てていく農園”をつくることを目的とした、「北加賀屋クリエイティブファーム事業(北加賀屋みんなのうえん)」を7年前に受託しました。知らない人同士が野菜づくりを通して交流し、コミュニティを作っていく、一緒に暮らしづくりをしていくことをテーマとしています。

空き地といっても、もともと畑だったわけではありません。私たちが始めに取り組んだのは、あえてコンクリートだった土地を土に戻すことからでした。育てた野菜でパーティーをする、地元の女性たちが収穫した野菜を使って料理をし、企業や結婚式のパーティーへのケータリングなど、農園を中心に、さまざまなアクティビティが増え、地域が自立して豊かな生態系へと成長させていると感じます。

被災地の復興支援にも力を入れています。被災地の高校生が、地域を元気にするプロジェクトの主役として活動することを通じて、自立心育成や地域の担い手としての意識向上を狙いに2013年、復興庁「新しい東北」先導モデル事業(いしのまきカフェ「 」)をスタートし、翌年からは、復興庁「新しい東北」先導モデル事業『かぎかっこPROJECT』として、本格的に事業化し、2016年には法人化が実現しました。

拠点が宮城県石巻市にあり、現在は、高校生たちのアイデアをカタチにした「高校生百貨店」を運営しています。

「高校生百貨店」は、地元のものづくりの生産者との調整、仕入れ、東京や大阪等への販売まで、一連の活動全てを高校生が行います。収益も生みますし、地域の魅力再発見などさまざまな効果を生み出しています。

また、地方の若者の都市部への流出、人口減少対策として、鳥取県と連携した「高校生旅行社」というプロジェクトもあります。

高校生たちが地元の人間だからこそ知る名所・文化等、県外に向けてアピールし、ツアー企画や当日のコーディネートまで行っています。

“自分たちがアクションすることで地域を豊かにできる”-感受性が豊かな時期にこうした経験を積むことは、地域を支える担い手に成長するうえでとても重要なことだと考えています。

 

 

自分たちの地域の課題を解決するスキームづくり等の技能が職業として広く認知され、定着する状況をつくりたい

最後に今後のチャレンジについて、お聞かせください。

 

社会課題解決はこれまで行政主導で行われてきたと思います。でも今後は、課題意識の高い個人が自らのアイデアや行動を通して、身近な周囲から変えていける世の中になっていくと思うのです。

しかし、「課題を解決したい」という想いはあっても何をどうすればいいかわからず、立ち止まってしまうことがある。立ち止まってしまった人が、モヤモヤとした曇り空を抜け、目の前にすっきりした青空が広がるように、私たちは課題を解決したい人の伴走者として、そして課題を解決する当事者として、これからもあらゆる課題に取り組んでいきます。

現在創業8年目で、大阪と東京の2拠点の事務所で活動していますが、今後は他の地域にも拠点を増やし、「デザイン」を通じて地域の課題を解決する「プロジェクト」と、それを進める「地域の人々の育成」をサポートしていきたいです。自分たちの地域の課題を解決するためのスキームづくり等の技能が職業として広く認知され、定着する状況をつくりたいのです。

いずれは海外まで領域を広げ、今まで実践してきたノウハウを通して、最終的には人材育成の仕組みづくりをさらに強化し、各国の地域で「誰もが地域で輝ける」プラットフォームが実現する―そのサポートができればと考えています。