イケてる!市民活動★ミニレポート内容

西区は昭和22年(1947年)11月に「西区赤十字奉仕団」が全区に先がけて結成され、災害時の救助活動や地域の福祉増進など幅広い奉仕活動を実践、長年まちづくりに取り組んできた「地域振興町会」と平成25年(2013年)に設立された「地域活動協議会」とで表裏一体の活動を行う西区で活躍する「千代崎地域活動協議会」 会長 松野 章宏さんにお話を伺いました。

千代崎写真

千代崎地域活動協議会

(千代崎連合振興町会)

会長 松野 章宏さん

 

<千代崎地域活動協議会>

町内清掃活動、タウンパトロール、食事サービス、ふれあい喫茶、子育て支援、いきいき教室、100歳体操、木津川アドプト緑化活動といった月間行事に加え、千代崎ふれあい運動会やクリスマス会、フェスティバルなど、地域の担い手育成にもつながり、幅広い世代の方々が楽しみながら交流できるイベントを企画・実施しています。

 

 

人と人とはつながっていないと生きていけない。

地域コミュニティの原点ともいえる「町会」に対する若い人たちの意識を変え、いかに喚起していくかが喫緊の課題

近年の地域の変化や動向から感じておられる課題について、お聞かせください。

西区では「地域活動協議会」と「連合振興町会」はイコールです。役も同じ人が務めています。

下町情緒がまだ残っている千代崎ですが、近年マンションのような集合住宅が増えましたので、子育て世帯の流入、つまり新しい住民が増えています。ここで暮らしをスタートさせた若い方々に対し、町会に入ることのメリットをいかに効果的に伝え、意識を喚起していくかが、私たちの活動における喫緊の課題となっています。なぜなら、「町会」とは地域コミュニティの原点だからです。

そして「町会」誕生の背景にあったのは戦後の助け合い―「共助」です。だから大きな災害などの非常事態が起き、助け合う…といった出来事があると、その存在意義が実感できるのでしょうが、そうでなければ「仕事が忙しいので参加はできない」「人の世話にはなりたくない」など否定的な考えの方は少なくないと思います。実際、この地域でも「町会」に入らない方も増えており、昔に比べると地域の関係性は希薄になったと感じます。本来、人は人とつながっていないと生きていけない、でも今の若い世代にはピンと来ないのかもしれません。

誰もが年を取り、80歳、90歳になった時には、必ず誰かの支援が必要になります。そうなった時に普段関係性がない人から急に「助けてほしい」と言われても、言われた方は戸惑うのではないでしょうか?でも、日頃から交流のある近所のおじさんやおばさんが、いざ「困った状況になった」となれば、頼まれなくても自然に手を差しのべられると思うのです。

だから、子どものうちから近所の人たちと触れ合うこと、交流することの大切さをアピールしていかなければならないと思っています。

 

 

自助・共助による生態系構築につながる「顔の見える関係性づくり」、災害が起きた時の「帰宅困難者対策」…千代崎において極めて重要な防災・減災といざ災害が起きた時への取組み

千代崎地域活動協議会の特徴的な活動について、お聞かせください。

3つの町会で構成されていますが、連合として掲げているテーマは「顔の見える関係性づくり」です。

高齢者向けの活動と同時に、クリスマス会、もちつき、運動会など、若い親子も参加しやすく、世代を越えて楽しく交流できるようなイベントに力を入れています。イベントは人と人とが触れ合う機会として、「顔の見える関係性づくり」につながっていくひとつの方法だと思います。

例えば、親子が顔見知りで、地域の人が親のことも子どものことも知っている関係性ができていれば、大きな災害が起きた時に避難してきたのが仮に子どもだけであっても、地域総出で親を探すことができると思うのです。その逆も然りです。また、町内会の大人を「信用できる人間」と知っていれば、子どもは安心して避難ができます。いざという時に、地域の住民であることがわかって助け合えるということが大切なのです。お互いに、迅速な捜索活動、救助活動につながります。

さらに千代崎にはさまざまな企業が町会に属し、定例の集まりにも出席してくださっています。地域と企業が課題を解決するための活動を一緒に考えていく。そういう点で、地域の企業とはいい形でつながることができていると思います。企業から「何かお手伝いさせてください」という申し出があり、西区・企業・大阪市の三者が避難計画を考え、防災訓練も行っています。

千代崎は他の地域に比べると人口が3,000人ちょっと、世帯数は2,000世帯を下回るという決して住民が多いとはいえないまちですが、大阪ドーム(京セラドーム大阪)があります。大阪ドームでの野球やコンサートへの参加中に災害が起こった時を想像してみてください。地域住民が3,000人しかいないのに、ドーム内に観客が30,000人いるわけです。もし大きな災害が起きればドームから大量の人たちがこの地域に一気に押し寄せる。まちはパニックになり、収拾がつかなくなるのではないでしょうか。地域の防災・減災もありますが、この地域には帰宅困難者問題もあるのです。

だからこそ、私たちはいざという時に備え、日頃から訓練する必要性を感じていますし、何かあった時に避難場所をどこにしたらいいかを話し合い、ドームの近くで食料もある「イオン」へ避難するのが良いのではないかということで、協力をお願いしました。結果、津波避難所として、エクセランス九条公園、イオンモール大阪ドームシティが設定されています。防災訓練では、私たち住民とドームに来られた方々を想定したうえでの避難訓練も行ったことがあります。

防災・減災は公助に加え、「自助・共助を可能とする生態系構築」が大切ですので、各町会で助け合い、支え合っていってほしいです。災害が起きた時、私にも何かあるかもしれません。私がいなくても誰かが動けるように、町の防災設備がどこにあるか、会館の鍵はどこにあるかなどの情報が共有できるよう、非常時の動き方を想定した準備をしています。

 

 

地域を越え、さまざまな団体や企業と連携するにはシステム、生態系を考えるところから協働しなければ意味がない

外部の団体や企業との協働についてのお考えをお聞かせください。

地域を越え、さまざまな団体や企業と連携し、協働して地域の課題を解決するというのは、確かに聞こえはいいのですが、地域を良くするためのシステム、生態系を考えるところから協働できなければ意味がないと考えています。その根底を理解して欲しいですね。だから地域を運営する立場からすれば、誰でもウエルカムというわけではありません。地縁のない他の団体や企業と協働するには継続的にWIN-WINの関係性を築くことが大切で、お互いに「いいとこ取り」だけで単発的に関わるのとは違うと思うのです。

例えば防災に強い会社が、「防災訓練だけ手伝いますよ」と働きかけをいただいたとします。勿論助けになりますが、一過性のものに過ぎず、地域の一員としての継続的な支援とは受け止められないのです。「福祉の部分だけ協力しますよ」というNPOなども同様ですね。

単発のボランティアに入っていただくにしても、ボランティアに「何をどんな風にやってもらうか」といった運用を考えるのは私たちですからね。「何かサポートしたい!」と熱い思いを持った人たちであれば、始めの一歩から最後まで、企画から実践まで一貫した関わり方で協働してくださるなら、非常にありがたいです。

外部の活動主体を全く受け入れないというスタンスではないのです。「協働しましょう」と手を差しのべてくださっても、結局「お客様」という状態では、お互いにかえって「しんどい」と感じ、続かなくなってしまいます。

だから本来は、地域の課題は地域の人が「自発的に解決できる仕組み」がコアにあり、活動の質をさらに高めるために、さまざまなスキルを持った外部の方を地域の若者が主体となってコーディネートする、といったスキームが確立できれば、地域外のさまざまな活動主体と連携していくことの価値は出てくるのではないかと思います。

 

 

戦後すぐにまちを良くするために頑張ってこられた人たち、今頑張っている人たちの歴史をつないでいく「若い担い手の育成」をやり遂げたい

今後について、お聞かせください。

地域の課題を解決するために、コアとなるのはやはり町会だと思います。そこがきちんと機能すること。町会加入率を高め、地域の若い担い手を増やすことにつながる施策や活動支援がさらに充実していけばいいですね。

私は子ども会会長を6年間務め、それ以外にもさまざまな役をさせていただくことを通じて、地域と深く関わってきました。地域を良くしたいとか、そんな大層な感じではなくて、それが普通だと思っているからやっているという感じです。

町会が立ち上がった際、「まちを良くしよう」との思いで何十年もの長い間、頑張って来られた地域の先輩の方々は、かなり高齢になられています。先輩たちの子ども世代や孫世代になると、「みんなでやりましょう!助け合いましょう!」ということをいくら言ったところで、それがストレートに届くような時代ではないのでしょうね。スピード社会、ライフスタイルの多様化など何かと「せわしい」世の中です。そんな時代の変化に伴って、地縁を嫌い、近所づきあいを面倒だからと避ける人も増え、ぞれぞれの価値観も多様化しています。

これまで深く地域と関わってきて、自身がやり遂げなければならないと感じていることは、戦後すぐにまちを良くするために頑張ってこられた先輩たちと、今頑張っている若い人たちの歴史をつないでいくことです。地域とつながることの意味や大切さを伝え、「若い担い手の育成」を念頭に、子どもや若い親に喜んでいただけるようなイベントを中心に、まちを盛り上げていきたいです。