イケてる!市民活動★ミニレポート内容

男性の地域参画促進という地域課題解決で3年前に始めた「カフェ・コンパーレ(おっさんカフェ)」。今では地域住民だけでなく、地域内外の誰もが「中津をさらによくする」アイデアを実現させるためのステージであり、多様な人たちがつながる情報拠点と言えます。

中津地域活動協議会・中津社会福祉協議会・中津連合振興町会の会長を務める花咲典之さんと地域福祉コーディネーターの山田摩利子さんにお話を伺いました。

2名写真(中津)

中津地域活動協議会中津社会福祉協議会中津連合振興町会会長 花咲 典之 さん 

大阪市北区社会福祉協議会

地域福祉コーディネーター(中津地域)

一般社団法人 うめらく 代表

山田 摩利子 さん

 

地域の課題解決のために立ち上げた「カフェコンパーレ(おっさんカフェ)

「カフェコンパーレ(おっさんカフェ)」について詳しくお聞かせください。

名前の通り、おっさん、つまり男性が運営するカフェです。現在のメンバーは60歳代以上、会社など退職をされた男性たちが中心メンバーとなっています。

一番の推しは「体験型焙煎コーヒー」です。とても美味しい本格的なコーヒーのつくり方を学べます。自分で煎れて楽しめるので評判がいいです。

もともと地域の課題を解決するため、3年前にスタートした取組みです。当時感じていた課題としては大きく3つありました。

1つ目は高齢者が多いこと、特に中津地域は一人暮らしの高齢者が多いので何とかしたい!ということ。2つ目は地域の中でのつながりが希薄だということ。そう感じていた理由としては、町会の入会率の低下がありました。この中津地域に愛着と誇りをもち、「中津が好き!」と自信をもって発信できるような地域ファンを増やしたかったのです。3つ目は地域の担い手不足の問題です。地域を一緒に盛り上げてもらえる人を増やしたい、というのはどの地域も課題に挙がっていると思います。

これらの課題を解決するにはどうすればいいだろう?みんなで考えた結果、「カフェ・コンパーレ(おっさんカフェ)」構想が生まれたのです。

 

福祉計画の枠組みを越え、地域運営の概念を越えた新しい活動

「カフェコンパーレ(おっさんカフェ)」立ち上げのプロセスについてお聞かせください。

社会福祉協議会での福祉計画編成の枠組みを使い、構想は組み立てられていきました。あれこれアイデアを考える中で、地域のみんなが気軽に集まりやすい居場所って何だろう?となった時に、既存の事業でやってはいますが、やはり喫茶とかカフェといった業態がいいんじゃないか?ということになりました。

では場所をどこにするか?当初は商店街の中の空き家を使う話がありましたが、それよりもせっかくいろいろなハードが揃っている福祉会館をもっと有効活用した方がいいんじゃないか?ということで、中津福祉会館に決まりました。

場所が決まったら次は運営です。地域資源は建物や物資といったハードだけではありません。一番重要なのは「人」だと思います。「誰」が運営の中核を担うのか。例えばふれあい喫茶や高齢者向け食事サービスなどは、女性が主体となって運営されているケースが多いですよね?参加者の方も女性が多いのです。女性の割合がほとんど、という場所へ男性は行きにくいのではないか、という意見が出ました。もちろん一概には括れないですが、男性はシャイな人が多い、特に年配の方はそうした傾向があると個人的にも感じるところです。

男性も気軽に利用できる居場所とすること―「男性にも集まってもらいたかったら男性が運営したら来やすいのでは?」という結論に着地しました。

また、せっかく新たにつくるのならば高齢者男性を呼び込むことに留まらず、子どもやその保護者、若者など世代を超えて地域の誰もがふれあえる空間をつくりたい。だから「地縁」にこだわらず、地域外の方も喜んで受け入れるスタンスとしました。

 

だれでもウェルカム!中津をよくするために来たい人、やりたい人、集まって!

「カフェ・コンパーレ(おっさんカフェ)」の強み、感じた手ごたえについてお聞かせください。

毎週オープンしているということ、地域内外の方による豊富なプログラムがあることだと思います。

食つながりでは、焙煎コーヒーだけでなく抹茶を点てるお茶会やそば打ちなども行っています。「本格的」とか「極める」となると特に男性の反響は大きいように感じます。

将棋や囲碁が得意な男性が子どもに教えてくれたり、落語やフラダンス、三味線、尺八、キーボード、口笛奏者などの演奏も定期的に開催しています。これだけ豊富なプログラムができるのも地域外とつながる、連携がなければできないことでした。ここでイベントを行うことが決まれば主体者として参画くださる皆さんはそれぞれがSNSや口コミで積極的に情報を発信してくれますので、その集客効果もあり、子ども、若者、高齢者夫婦や単身者、障がいのある方から通りすがりの方まで、人が人を呼び、さまざまな人たちが交流できる場になりつつあります。地域内外と連携することの効果はたくさん実感していますので、「中津の人のためになること」であれば、何でも受け入れるスタンスに変わりはありません。

中津を元気にするためにやりたいこと、中津の課題を解決するために活動したい方のステージとして、中津の資源を提供し、連携・協働しながら活動を進めます。発案者の方が主体性をもって自由な発想で、やり方で、アイデアを実現してもらえたらいいと思っています。

町会に入っていないマンションの方ともイベントがきっかけでつながれました。

「地縁」という垣根をつくらず、テーマで区切って、やりたいことがある方はもちろん、何となく来てみたい方まで、広く受け入れますよ、というオープンなアプローチが功を奏しているのだと思います。集まってくれる人の様子をみた限り、「地縁」が強すぎると若い世代は入りにくいのではないかな、と思うところもあります。
さまざまな活動を通じて「カフェ・コンパーレ(おっさんカフェ)」は、今では地域内外問わず、いろんな知識をもつ人たちとの意見交換の場にも発展しました。

 

ここでつながった人たちの個人的なつながり活動の発展には重要

外部との連携について、さらに詳しくお聞かせください。

地域の誰もが集える場所としてバリアフリーにしましたので、身体の不自由な方やデイサービス利用者なども来られます。また認知症の方の家族、高齢者の相談窓口としての北区社会福祉協議会はもちろん、コミュニティソーシャルワーカー、包括ケアセンター、ケアマネ、まちづくりセンターなど、さまざまな組織と連携しています。

ここにおられる社会福祉コーディネーターの山田さんは中津地域担当で、ご出身もこの中津。さらには

「一般社団法人うめらく」の代表でもあります。

「うめらく」は「うめきた二期開発」の暫定事業として、うめきた周辺を盛り上げようという動きの中で発生

したものですが、約1年前に法人化され、地域文化交流やコミュニティづくりなどさまざまな活動をされていますので、とにかく人脈が広く、豊富な情報をお持ちです。ここで行っている催しで連携いただいたフラダンサーの方々や演奏家の方々などの人材は山田さんがコーディネートしてくれました。非常に頼りになる存在ですよ。関わる人それぞれの個人的なつながりも活動の発展には重要だと思います。

学校も積極的に関わってくれています。学校法人 大阪医専、ECC外語専門学校、日本工業技術専門学校(OCT)、関西大学、大阪大学などに参画いただいています。具体的には、地域について研究している学が、まち研究のフィールドワークとして中津のまち歩きを行ったり、看護を学ぶ学生の授業の一環としてこの地域の人たちと交流する5日間にわたるプログラムを一緒に実践したこともあります。開成アカデミー日本語学校に通う留学生は防災訓練や地域の講習会に参加してくれています。中には車いすを見たことがない人もいました。いざという時に頼れる存在がいない、災害が起きた時、どうしたらいいかわからない、というのは不安だと思います。留学生も同じ地域の住民ですから、地域とつながって関わっていくことは暮らしていくうえで安心材料になるでしょう。学校と連携することは地域にとってとても意義があることです。高齢者の方々にとっては顔見知りでない若者とは話をしたくてもなかなかできないものだと思うのですが、この場所にくれば接点を持つことができて話ができる。逆に核家族化などを背景に高齢者とじっくり話す機会がなかなかない若者は多いと思いますので、まちづくりや福祉を研究している学生、地域と関わりたいと考える若者にとっては貴重な交流機会になると思います。

 

経済基盤があればこその継続と発展。それを可能とするのは仲間の存在

運営面での課題や、課題解決のために工夫をされていることはありますか。

何と言っても資金確保ですね。いつまでも助成金に頼ってはいけないと思いますし、赤字になる事業では継続はできません。当初から10年続けていけるものをつくりたいと思っていました。自主財源で運営を継続していけるよう、先を考えた収益づくりの仕組みは不可欠だと考えています。

財源のひとつは会館の利用料です。「使わないともったいない」だからと言って「地域の人が利用する会館だから無料にする」ということでは駄目だと思います。会館の利用率を上げることは大切です。それなら使いたい人が使える仕組みを整備すればいい。「受益者負担」という考え方で利用料を徴収させていただいています。もちろん地域には通常よりも安価でご利用いただけるようにしています。そうしてきちんと経済基盤をつくり、防災・減災の備えとしての無線機も複数取り揃えました。

運営体制については、地域活動協議会・社会福祉協議会・連合振興町会と3つの組織の会長を私が兼任しています。これは物事をスピーディーに進められるというメリットがある反面、「独裁」になる恐れがあるというデメリットもあります。でも中津地域活動協議会は女性の副会長、連合振興町会女性部長、他さまざまな役を女性に務めていただいていて、その歯止めをかけてくれていると思っています。私は夢や、夢を実現させるためにやりたいことを叫んでいるに過ぎないと思っていますが(笑)、女性たちがしっかりフォローしてくれる。とてもいい連携がとれていると思っています。もちろん何かあった時にはすぐに私が動き、会長としての責務を果たします。

また女性は地域の集まりにもよく顔を出していますので、個人個人がネットワークをもっておられます。また、社会福祉コーディネーターの山田さんをみていて感じることですが、個々のネットワークをつないで…という感じで拡げていく能力にも女性は長けているのかな、と感じています。

 

住んでいる人が「ここはいいね!」と言えるまちづくりをみんなで

今後のチャレンジについてお聞かせください。

町会に加入している・いないに関わらず、この地域に住む方どなたも受け入れ、地域みんなが世代や性別を超えて集える居場所としてスタートし、地域外の方でもやりたい意思のある方を積極的に受け入れてきて3年。参加してくれる人はどんどん増えていますし、かつリピーターも拡大しました。ここからはステージをもう一段階上に上げることを考えなければならないですね。

それは「安心・安全につながる場」とすること。先ほど話した無線機の整備など、ハード面では整備を進めていますが運用についてはもっといろいろ考えていきたいですね。住んでいる人同士が声がけをして助け合える、外部の人も助けてくれると思えるような人と人との関係性づくりをしてきて、持ちつ持たれつで協力しあえると思いますが、そこにはいざという時に確実に機能する運用プログラムが必要。「ここにくれば安心!心強い!」そう思っていただける拠点としていきたいですね。

あとは中津をもっともっと盛り上げ、活性化させたい。「地域活性」とはよく耳にしますが、そのコアとなるのは住んでいる人が「ここはいいね!」と言えるかどうかにかかっていると思います。

そのために、これからも地域の男性が担い手となってさまざまなつながりを生み出す「カフェ・コンパーレ(おっさんカフェ)」を拠点とし、中津に住んでいる人が安心して楽しく暮らせる、中津に来られた方も楽しめる。みんなで一緒に盛り上げて魅力的なまちづくりを行っていきます。