イケてる!市民活動★ミニレポート内容

子どもたちと地域とのつながりの希薄化とそれに伴うコミュニケーション力の低下。子どもと地域社会の課題に取組み、子どもたちと地域の架け橋となるツールとしての普及をめざす「おおさかチルドレンクワイア カラフル」の事務局長  宮﨑 佐弥香さんとスタッフの方々にお話を伺いました。

 

原稿挿入写真

おおさかチルドレンクワイアカラフル

事務局長 宮﨑 佐弥香さん

副事務局長 大菊 理咲子さん(写真右)

副事務局長 中西 萌菜さん(写真左)

 

<おおさかチルドレンクワイア カラフル>

鶴見区を中心に活動、社会・地域のために少しでも役立ちたい!という2歳の子どもから20歳の若者までが主体となって、自分たちで考えて、自ら運営をしていく団体です。

地域の皆様を笑顔にすることをモットーに、福祉施設などで歌を歌うなどのボランティア活動を行っています。

 

子どもたちが才能・スキル・個性を輝かせる瞬間をつくる

「おおさかチルドレンクワイア カラフル」での活動についてお聞かせください。

 

団体名を構成している「クワイア」という言葉は合唱団という意味ですが、『歌う』というだけでなく、子どもたちひとりひとりの個性を引き出し、その子の輝ける場所を見つけて活躍しよう!をモットーに活動している団体です。主に福祉関連施設やショッピングモールなどで、子どもたちが歌やダンスなどのパフォーマンスを行う活動をサポートしています。今まで大阪府警本部のイベントや信愛学院短期大学のイベントなどに参加させていただきました。

一般的な合唱団とは違い、歌が得意でなくても参加できます。歌わなくても子どもが輝ける場所が「おおさかチルドレンクワイア カラフル」にはたくさんあります。絵の才能がある子はポスターを作成する。アイデアを考えるのが好きな子は企画を考える。その他にもたくさんの「できること」があります。

子どもたちが「得意」を活かして社会とつながることで、自分の持っている才能・スキル・個性を輝かせる瞬間をつくってあげたい、という思いから活動を始めました。現在、2歳の子どもから20歳の若者までがクワイアとして在籍していますが、みんなが社会、地域のために少しでも役に立ちたいという思いを持ち、パフォーマーとしてだけでなく、担い手としても、子どもたちが活動主体となり、自分たちで考え、自ら運営をしていくことをめざしています。

 

社会は常に変化していて、現代では子どもたちと地域とのつながりが希薄化していると感じています。実社会とつながる教育が学校現場で意識されるようになってきたとはいえ、大人になってから初めて実社会と向き合う人も少なくないと思うのです。

だからこそ、子どもたちへの教育の一環として、「社会の一員としての子どもたちを地域の中で育む」ことを目的とし、子どもたちが活動を通じて地域の方々とふれあう機会を多くつくり出すことで、「社会とつながることは当たり前なんだ」と考える子どもたちを育み、社会へ送り出していきたいと考えています。

 

スタッフの個性もさまざま。相乗効果で団体としての基盤を整える

「おおさかチルドレンクワイア カラフル」立ち上げのプロセスについてお聞かせください。

 

「子どもたちと一緒に何か社会に還元できるものをつくろう!」これが私たちのスタートですが、ベースとなったのは、アメリカのユタ州にある「ワン・ボイス・チルドレンズ・クワイア」という合唱団です。そのコンダクターをしている方が日本人(Masa Fukuda)で、テレビのドキュメンタリー番組で取り上げられていました。それを観て、「“Masa”のように子どもにちゃんと向き合ってひとりひとりを輝かせる居場所をつくりたい!」と思ったことが直接のきっかけです。でも「ワン・ボイス・チルドレンズ・クワイア」のような活動をするには私一人の力ではできないことはわかっていました。でも私の周りには音楽が好きな方がたくさんいましたので、まず一緒にやってくれそうな数人に声をかけ、活動が始まりました。すると不思議なことに、音楽的な才能以外にも、例えばアートが得意だったり、企画が得意だったり、資金管理や事務処理が得意だったり、さまざまなスキルや思いを持った人たちが集まり、運営・サポートする「事務局」、企画・パフォーマンスする「クワイア」という、団体としての基盤を整え、スタートを切ることができました。

今同席している2人はどちらも副事務局長です。普段から私と彼女たち3人で話し合い、それを事務局メンバーに、そして「カラフル」全体へと発信しています。

副事務局長の大菊さんは、高い音楽スキルを持ったメンバーです。彼女も私と同じように母親として、子どもたちが地域社会の中で育ち、まわりの方々とのつながりを作ることが大切だということは感じていたようで、この「カラフル」を立ち上げるにあたり、甚大な努力をしてくれました。中西さんは17歳の時から活動に参加し、この春から大学生です。彼女は歌うことが大好きなことに加えて、素晴らしい絵の才能の持ち主です。活動参加当時はクワイアリーダーとして子どもたちを引っ張る存在として働いてくれていましたが、受験も終わったあたりから、『子どもが運営する』ことを実践的に行うために事務局メンバーとして活躍してくれることになりました。今では、事務局サイドとクワイアサイドのいい懸け橋としてその責任を果たしてくれています。彼女たちだけでなく、他にもたくさんのスタッフが私を支えてくれています。

私は以前東京ディズニーリゾートのキャストとして、その後は幼稚園教諭として働いていました。子どものうちから地域社会を含めた多様な人たちと関わっていくことの大切さは職業柄、痛感していたことです。頭だけで考えるのでなく、体を動かし、他人と協働して感動体験を生み出すということに拘るのは、その時の経験が大きく影響しているかもしれません。

オリエンタルランド(ディズニーを運営している会社)で採用していた「プレデュケーション」という教育方法をご存じでしょうか。これは、知識を身につける前段階で必要となる心の育成のことです。具体的にいうと、「感性を育て、成長を促す」つまり、子どもたちの想像力を高めることで心の成長が促され、自分が表現したいことを素直に表現することができるようになるというものです。

これは文部科学省が掲げる「生きる力」にもつながると思いますので、「おおさかチルドレンクワイア カラフル」そのものが、子どもたちと地域の架け橋となるツールとして普及できないか、など思いは尽きません。

 

子どものうちから地域社会を含めた多様な人たちと関わることが大切

子どもを取り巻く社会課題についてのお考えについてお聞かせください。

 

「カラフル」の活動はさまざまなスキルアップに効果がありますが、そのひとつに「コミュニケーション力」があります。勉強はできてもコミュニケーション力がない子どもは一定数います。受験を頑張って志望校に入っても、コミュニケーション力を克服しないまま過ごしてしまうと、就ける職種を狭めてしまうこともあります。コミュニケーション力を付けるには付け焼き刃では無理があり、リアルな体験を通じて、自然に身に付けられることが理想です。

こうした私たちの考えを見事に体現してくれた一人の女子高校生がいます。彼女は「カラフル」での活動をきっかけに、意識と行動が劇的に変わったと思っています。

当時彼女は中学生で、私が強く誘って参加してくれることになりましたが、元々極度の人見知りで、初めて「カラフル」のドアを開けた時、非常に緊張した状態だったというのはひと目でわかりました。歓迎され中に入ってはみたものの、どこか冷めたような雰囲気で、部屋の後ろの片隅で傍観しているだけ。最初は全く活動の輪に入れませんでした。話しかけてもスマホに集中していて、こちらには無反応。他のメンバーもどう接したらいいか戸惑っている様子でしたが、ある出来事をきっかけに少しずつ自分の殻を脱いでいってくれたのです。

ある出来事とは、三井アウトレットパーク大阪鶴見での「カラフル」初単独コンサートイベントでのMCに抜擢したことです。

彼女は最初「できない」と言っていましたが、「やってみたい」という気持ちがみてとれましたし、練習のときに意を決したか?と思える変化が感じられるようにまで成長していきました。でも練習での初MCは思うようにできなかったようで、彼女は終わってから泣いていました。

その後が凄かったのです。彼女は自分なりに課題を分析し、自分で原稿を考えるなどの工夫をし始めました。そして、その後の本番では見事イベントを成功へと導いてくれたのです。

この成功体験によって、雰囲気がガラっと変わりました。その日のうちに「とても楽しかった!」というLINEが来ました。今では1日に何回もLINEが来るも時あります(笑)。

やがてソロパートにチャレンジして歌ったり踊ったりするようになりましたし、幼い子どもたちの指導もよくやってくれています。今では、次から次へとアイデアが湧いてくるようで、高校生活は、部活動はせず「『カラフル』に青春を捧げる!」とまで言ってくれる頼もしい存在です。

 

子どもたちと活動を共にしながら次なる担い手を育んでいく

今後のチャレンジについてお聞かせください。

 

パフォーマーとしての活動だけでなく、子どもたちが直接社会と関われる機会をできる限り整えてあげたいと考えています。

例えばイベントを行うとして「後援名義を教育委員会にいただきたい」となった場合、私たち大人が全ての調整を行うのではなく、高校生たちにその役割の一部を担ってもらいます。まず行政関連や企業などに電話をし、何をしたいか、そのためにどうすればいいか、先方の話を聞くということから始めています。

新社会人になってからの初めての経験となるよりも、もう少し早いうちから経験しておくと自信を持つことにつながります。仕事体験のできる施設やイベントなどがありますが、もっと日常的で、しかもリアルな仕事体験。今は事務局が子どもたちをサポートしていますが、これからは子どもたち主体のボランティアミーティングがあちこちで見られる…そんな景色がもっと広がればいいと願っています。

この活動を始めた頃、子どもたちのために全力で動けるのは10~15年くらいかなと思ってスタートしました。だからこそ「私たちが子どもたちに残せるものってなんだろう」、「自分たちの生きてきた証になることってどんなことなんだろう」、「子どもたち=次世代につなげるものとしたい」など、当初からそういう意見は出ていて…つまり、「子どもたちと活動を共にしながら次なる担い手を育んでいく」―これは始めから決めていたことです。

その実践として、神戸にあるチャイルド・ケモ・ハウス(小児がんをはじめとした医療的ケアが必要な子ども・若年成人と家族のためのおうち診療所)を支援するためのチャリティーコンサートプロジェクト(2020年5月実施予定)で運営面も子どもたちにほぼ任せてしまう前提で計画を詰めており、クラウドファンディングの準備も進めています。子どもたちが同世代で病に苦しんでいる方々に対して、自分たちは何ができるのかを考え、企画・運営してほしいと願っています。

また2018年に幼稚園、2020年に小学校、翌年に中学校、そして高校と学習指導要領が変わります。10年に一回の教育変革というこのタイミング、学習指導要領の中には「社会教育関係団体等の各種団体との連携」というのがあります。「カラフル」の活動のコアとなっている「プレデュケーション」の概念に基づいたプログラム普及やコミュニケーション力のスキル向上プログラムなど、学校との連携はぜひやっていきたいですね。教育が変わるきっかけの時期と、私たち「カラフル」の活動の時期が重なったということも、後押しとなり、私たちの活動の追い風になっていると感じています。

アクティブシニアの方々にも運営に携わっていただけたら嬉しいです。活躍の仕方はひとつではありません。表舞台に立ち、パフォーマンスするだけではないのです。バックステージでも活躍できることを知っていただきたいです。

ゆくゆくは大阪で「クワイア」といったら「カラフル」と認知してもらえるようになりたいですね。

いろいろな方々に関わっていただきながら、「カラフル」を幼児から高齢者まで、幅広い世代の方々が活躍できる場としたいのです。「カラフル」はチームワークで創り上げる団体です。みなさんひとりひとりのチカラを必要としています。

私たちは、『おおさかチルドレンクワイア カラフル』を通して、一人ひとりの【変化】を見られることをとても楽しみにしています。