ある日、電車が緊急停車。状況がわからず戸惑っていると、同じ車両に乗り合わせた男性が車内アナウンスの内容をメモ用紙に書いて渡してくれました。「“聞こえないこと”は周囲の人はわからない。でも聴導犬のケープを見て教えてくれた。こんな親切は初めで嬉しかった」と特定非営利活動法人MAMIE(マミー)の代表理事 安藤さん。

安藤さんは、生まれつき全く耳が聞こえません。音を聞き、自然に言葉を覚えることができませんでした。ただ、子どものころからマンガを読むことも描くことが大好きで、主人公のセリフを暗記し、意味を調べて言葉を習得してきました。また、相手の口の形をみて、言葉を理解しているので「マスクをしていると何をしゃべっているのかわからない」と言います。

 

2004(平成16)年に障がい児が学ぶ場としてMAMIE を設立、2009(平成21)年に聴導犬のレオンと出会いました。聴導犬は、お湯が沸いた音、ベルが鳴った時など“音”に反応して、聴覚障がいの人に知らせます。レオンは、今年7月に10歳になり、引退の日が近づいています。「賢く繊細な性格。少しでも長生きしてほしい」と安藤さん。今年5月からは、聴導犬認定試験を控えた後任のアーミ(ラブラドール・レトリバー)との合同訓練が始まり、バトンタッチに向けて歩みだしています。

 

MAMIEでは今年、安藤さんの実体験をもとにパラパラマンガ絵本「きこえないことって?」「聴導犬って?」を作成しました。小学校などの福祉教育で活用され、子どもたちが家の人に伝えやすいようわかりやすい文章が添えられています。
MAMIEでは絵本の他にも、漫画やイラスト、LINEスタンプなど、さまざまな方法で聴覚障がいや聴導犬のことを啓発しています。聴覚障がいは目に見えない、わかりにくい障がいです。安藤さんの優しい絵には、この障がいをひとりでも多くの人に理解してもらえるようにという願いが込められています。

 

2パラパラまんが