松野農園

 

生野区役所から徒歩10分。住宅街の細い路地に入ると、まるで時間が止まったようなノスタルジックな空間「松野農園」にたどり着きます。戦火で焼け残った廃材を利用して造られたという建物は、吹き抜けになっていて優しい光が差し込みます。畑に続く窓ガラスを開けると、柿の木がたくさん実をつけ、さつまいもの葉が生い茂っていました。

 

2014年(平成26)6月、特定非営利活動法人 出発(たびだち)のなかまの会は、この築70年以上の古民家を改修し、居場所づくりをはじめました。約100坪の敷地には、ピザ釜があり、「小麦アレルギーの子どもにアツアツのピザを食べさせたい」というリクエストに応えたこともありました。他にも、寄席や、フラワーアレンジメント、音楽会などのイベントや、畑で収穫した野菜を調理して食べる「ランチ会」を行っています。ふらっと立ち寄り、珈琲を飲む人、ゆったりと静かな空間を求める人、誰でも出入りすることができます。

 

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「五感を通して、四季を感じられることをコンセプトにしています」と同法人の吉岡徹さん。農園をはじめて今年で4年目。やっと土壌が肥え、この夏はおすそわけできるほどトマトやなすびが豊作でした。平日、午前9時から午後5時で常駐する田中淳司さんは、「クワを使って土を耕すこと、こんな経験は他でできません。あたりまえだけど、種から育てて野菜が育つことに喜びを感じます」と、土に触れることで心が自然とほぐれている様子です。

 

また、毎月第3金曜日に、『生野区の空地・空家を利用した食と農のプロジェクトをすすめる会』が定例開催され、地域住民、福祉事業所、NPO団体、区社会福祉協議会、行政など様々な立場の人が、区内外から集まり情報交換が行われています。参加者は設計士、ダンサー、元教師など多彩な顔ぶれで、「ダンスの稽古場がない」、「小学校の統廃合後の跡地の活用」など具体的な物件情報やアイデアなど空地や空家の有効活用を検討しています。

 

生野区は古い木造住宅や長屋が多く、5軒に1軒が空家と言われています。この空地・空家を有効活用し、国籍や世代を超え、誰もが参加し、楽しめる場所が求められています。