企業×市民活動 コラボのススメ内容

事業所数は大阪市内でもトップクラスの西淀川区。8年連続で参加者動員を増やし続け、今年は84もの企業・団体が連携する一大イベントとなった「西淀川ものづくりまつり」のキーパーソンのおひとりで実行委員長の渡邊 貴弘さんにお話を伺いました。

 

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西淀川ものづくりまつり実行委員会

委員長 渡邊 貴弘さん

(株式会社ワカタ製作所 代表取締役)

 

<ワカタ製作所事業内容>

精密鈑金・レーザーカットなど複雑な金属加工を得意としている会社です。

御幣島に多く存在する、ものづくり企業のひとつとして、地元小・中学生の工場見学受け入れなど、教育貢献にかかわる傍ら、年1回実施の「西淀川ものづくりまつり」では近隣工業高校生を若き担い手として迎えるなど、多くの参画企業と共に、「ものづくりのまち御幣島」活性化に向け、取り組んでいます。

 

 

「ものづくりはゆめづくり」を合言葉に、地域の企業や学校が盛り上げる

「西淀川ものづくりまつり」

産官学連携による大規模なイベントとのことですが、詳細をお聞かせください。

 

 西淀川区のものづくり企業、工業高校や専門学校、行政が協働して行う、年に1回の一大イベントで、8月19日の開催をもって9回目となります。

 今年も区役所ともと歌島橋バスターミナルの2つの会場での開催と、さらに規模も内容もバージョンアップしています。

 区役所会場では、ものづくり企業の技術や知恵がたくさん詰まった「ものづくり」が体験できるブースや展示ブース等に加え、未来の「ものづくり人材」を誕生させるべく、「プログラミング教育体験」(次期学習指導要領における「小学校段階からのプログラミング教育」の導入検討を踏まえ、本市のプログラミング教育の推進に向けた授業づくりや体験学習、教員の研修等に取り組み)も開催予定です。もと歌島橋バスターミナル会場では、西淀川が生んだ世界最大級、身長4メートルの2足歩行ロボット「はじめ43号」を披露します。実はドイツで開催されているロボカップというロボットコンテストで優勝したチームが、西淀川区出身なのです。また、巨大絵本作家の山田龍太さんを招き、中に入ることができるダンボールのバスを組み立て、さらに自由にペイントできる企画など、今年は、さまざまな角度からさまざまな人に楽しんでもらえるよう、趣向を凝らしています。「ものづくり」のまちなので、近くに専門学校や工業高校もあり、今回の「西淀川ものづくりまつり」でもブースを出し、先生や生徒たちが参加者の方への対応などしてくださっています。

 

 

工場跡地の宅地化による、新たな地域住民と地域に根差したものづくり企業との

絆づくりが課題

活動を始められたきっかけについてお聞かせください。

 

 西淀川区は「ものづくりのまち」としての歴史があります。ここ御幣島にも、とてもたくさんのものづくり企業が存在し、中にはここが発祥という老舗企業もたくさんあります。

 一時、工場跡地などに新興住宅がたくさんできたことで、新たに西淀川区民となった方が増えたため、そうした方々とうまく交流したいという思いが生まれました。さらには次代の担い手となる子どもたちに対して、ものづくりの素晴らしさや、区内には機械部品からロボットまで多種多様なものづくり企業が存在するということを知ってもらい、将来に役立ててもらいたいとの思いもありました。それを形にしたくて始まったのが「西淀川ものづくりまつり」です。

 

 

参加者は年々増加。今後は中高生や女性の興味・関心を引くコンテンツの提供

手ごたえとしてはいかがですか?また今後のチャレンジについて

お聞かせください。

 私が実行委員長になった頃の参加者は500人くらいでしたが、年々参加者が増加し、昨年は1,300名もの方に参加いただきました。個人的には、2,000人~3,000人は来てほしいと思っているので、まだ伸びしろはあると思っています。

 子どもがターゲットですが、小学校高学年、中学生にもっと来てもらいたいです。参加者を倍に増やすには、女性の動員が鍵ですね。女性にも、ものづくりにもっと興味をもってほしいと思っています。それには、もう少しスマート感を打ち出すなどして、女性が来たいと思ってもらえる内容を検討する必要もありそうです。小学校高学年や中学生の子どもは、小手先でごまかせないと肌で感じます。今の子どもたちは、想像以上にしっかりしていますよ。

 参加者のレベルが高いなら、自分たちもそれに負けないよう、レベルの高い人たちの興味喚起ができるようなよりよいコンテンツを企画し、提供していきたいと思います。

 

 

異業種同士の協業も?ものづくり企業全体を底上げしたい、という志を持つ絆で

結ばれた仲間の存在

ものづくり企業にとっての課題、解決への糸口は何だと思われますか。

 

 この業界は、新人が入っても一人前になるまでに時間がかかります。だからこそ、きちんと育て、継承していかなければならないのですが、それには時間もコストもかかります。

 ものづくり企業が存続するためには、若い人を一人前に育て上げる時間とコストを惜しまないことだと思います。そうでなければ、今後、熟練工が一斉退職したら、新しい技術の開発どころか、提供できていたものも提供できなくなる危険性があります。

 そのためには、余剰人員が確保できるだけの利益を出していかないといけない。20年前と違い、今は価格競争からの値崩れなど、操業環境が不安な時世です。だからこそ新しい技術を取り入れるなど、やり方を変えなければならないと思います。

 こんなことを言うと笑われそうですが、実は、私はもともと、ものづくりには興味がなく、本当は居酒屋をしたかったんです。でも結果的に、父の会社を継ぎました。その時、プレス金型だけでは生計が立てられないということで、レーザーカット技術を取り入れました。加えて言うなら、西淀川区の出身ではなく、尼崎出身で、最近になって、事業所のすぐ近くに引っ越して来ました。そうさせるくらい、この地域の他のものづくり企業との関係性が良好なのです。例えば、「ものづくりメンバー共同で起業してもいいかも」とか「ものづくり企業みんなで協力しあって力を合わせて何かできそうやね」といった話が出るなど、盛り上がっています。

 

 

ものづくりをしたい人が集まる魅力あるまち。そんな文化をものづくり企業みんなで根付かせたい

最後に今後の抱負についてお願いします。

 

 精密板金とか、レーザーカットとか、子どもたちにしたら、社会の中でどういうことに使われているのかはわからない。技術が、具体的に社会でどう機能しているのかなど、わかりやすく提示して、学校の学びとつないであげること。だから実際に見てもらい、触れ、共感してもらうことはとても大事と思います。

 西淀川区のものづくり企業の多くは、西淀川区と連携し、学校教育への支援として工場見学やインターンシップを受け入れています。私たちものづくり企業ができることは、こうした学習支援やまつりの開催を通じて、ものづくり企業のすごさを、まず地域に知ってもらうことです。この活動を持続させ、このまち自体がアイデア豊富な若い人の活躍を後押しして、若者ならではの新しいものが生み出せる、ものづくりをしたい人がこのまちに集まってくるような、そんな魅力あるまちにできればと思っています。そんな文化をものづくり企業みんなで根付かせることができたらいいですね。

 そうなるためには私の思いだけでは不可能で、他のものづくり企業や学校、行政との連携が必要不可欠だと実感しています。(取材:2018年7月13日)

 

 

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 西淀川区役所の1階、2階、5階を開放し、出展企業や団体のブースが設置されていました。

 3Dプリンター体験ができるネームプレートづくりや、西淀川区キャラクターの「に~よん」キーホルダーづくりなど、20もの体験ブースがあり、どれも楽しそう、どれも体験したい!と迷ってしまいそう。でもどれも体験できるよう、細かくタイムスケジューリングされ、効率的にたくさんのブース体験ができるよう工夫されていました。

 

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 もと歌島橋バスターミナルでは、ダンボールバスに自由にペイントする子どもたち、「に~よん」と触れ合う子どもたちの姿が。小型、中型、大型ロボットのお披露目とビンゴゲームは大人気で始まる前からたくさんの人たちが集まっていました。4メートルの2足歩行ロボット「はじめ43号」は中に人が入り、操縦桿にあたる道具を操って動かす仕組み。子どもたちの驚いた表情が印象的でした。