企業×市民活動 コラボのススメ内容

大阪における様々な社会課題解決に向かう社会的事業者自らが組織し、

行政や企業、地縁組織などと有機的な協働を深めるためのプラットフォームを

目指し、発足された“大阪を変える100人”会議。第3期世話人としてご活躍の

坂野 充さん、中井まひるさんにお話を伺いました。

 

②坂野様1

 “大阪を変える100人”会議

 第3期世話人

 坂野 充さん

 

 <坂野さんの所属>

 NPO法人JAE

 代表理事

 

 社会と教育のギャップを埋める活動に関心を持ち、

 2004年NPO法人JAEに参画。

 インターンシップ事業のマネージャーを経て、

 2010年事務局長に就任。

 2013年より代表理事に就任。

 

“大阪を変える100人”会議 ②中井様2

第3期世話人

中井 まひるさん

 

・株式会社ソレイユ 代表取締役

・くらしの研究所 代表

・(祭)ひがよど実行委員会 実行委委員長

・放課後スペースVIVA!運営委員会 副委員長

・東淀川区でなんかする会 代表

<資格>

・2級建築士

・増改築相談員

・住環境コーディネーター

・福祉用具専門相談員

・木造耐震診断士

 

さまざまな活動主体と連携し、協業を生み出す大阪エリア限定

プラットフォームとして発足した“大阪を変える100人”会議

“大阪を変える”100人会議の発足の経緯や主な活動内容などをお聞かせください。

 

坂野

 NPO等ソーシャルビジネスの勉強会がベースとなっています。もっとコラボレーション、協業を

生み出していこう、さまざまな活動主体と連携していくプラットフォームを作っていこう、それを大阪

というエリアに限定してやっていこうという主旨で発足しました。

 メンバーは、企業やNPO法人等でプレイヤーとして活躍されている、ビジネス視点を持った個

人なので、協業を生み出しやすい環境ですし、実際にここから沢山のプロジェクトが生み出されて

います。

 この5年間、マイナーチェンジをしながら、活動をしてきましたが、活動の柱としては、オープンフ

ォーラム、ラウンドテーブル、スタディツアーの大きく3つがあります。

 「オープンフォーラム」は1年間の活動の成果共有や、次に向けての活動テーマ発信を行う100

人を越える規模のフォーラムです。「ラウンドテーブル」は20~50名規模で、ゲスト講師を招いて、

テーマ別に意見交換等行っています。「スタディツアー」は、2期の終わりからスタートした活動で、

各メンバーの相互理解を深めるために、お互いの活動の場を訪問し、学び合ったり、意見交換を

行っています。

 

個々のつながり、協働で生まれる多様なプロジェクト誕生がやりがいにつながる

世話人として関わられて良かったと思うこと、手ごたえなどは何ですか。

中井

 今期世話人になってみて、個々がいかに能動的につながり合っているか、見えてきたところが

ありますね。たとえば、ラウンドテーブルでは「協業を生み出したい」という方に話題を提供いただ

いて、プロジェクトを生み出すという狙いがあるのですが、その思いから実際にプロジェクトが生ま

れると、やりがいを感じます。

 

②坂野様本文中

 坂野

  私が代表を務めるNPO法人 JAEは子ども・若者が将来展望を

 描くためのきっかけとして、企業と共に授業をつくり、学校や大学

 で提供しています。

  ここで出会った企業の方々は、将来的に若者たちの就労先とな

 りますが、特に中小企業の場合、魅力的な企業であったとしても、

 若い人に知られる機会がほとんどなく、安定した新卒雇用が難

 しいという課題を持っていました。

 

 

 双方の課題解決のために100人会議のメンバーであるJAE 、株式会社シーズクリエイト、株式

会社PRリンクの3主体が強みを発揮する協業により「ミライ企業プロジェクト」を発足しました。雇

用のミスマッチ解消と大学の学習改革の実現を目的に、40社以上の中小企業、20大学に参画い

ただいています。

 具体的には「ミライ企業図鑑」というサイトや教材に、本プロジェクトに参画する各企業の情報を

わかりやすく掲載し、学生が企業を分析したり、分析を通じて自分の職業観について掘り下げたり、

その企業を訪問し、取材をしてまとめる等、企業と新たな接点を持つ機会を創出することで、職業

観について深く考えさせるプログラムとなっています。

 大学でも教材として使用いただいています。

②中井様本文中

中井

 私が運営委員会の副委員長を務める「放課後スペース

VIVA」は、小学生の居場所として立ち上げたプロジェクトです。

 その中の「宿題カフェ」は、ショッピングセンターの中にあり、

完全無料で、15:00~19:00まで、子どもたちが安心・安全に

過ごせる居場所として地域でも認知されています。

 現在登録者は200名ほどで、日に40人くらいの子どもたち

が利用しています。

 運営費は、100人会議でつながったメンバーの助言で、イン

ターネット支援金を集めるシステム導入により、継続支援金や

助成金を集め、家賃や共益費等に充てています。

 必ずここに来て宿題をやる、というルールにしているのですが、それには理由があります。

 今の時代、家族の団らんの時間は1日3時間ほどしかありません。限られた家庭での時間を宿

題に割くのはもったいない。だからここで済ませて、家庭でたっぷり団らんの時間を確保できるよう

にしてあげたい、という思いが「宿題カフェ」を立ち上げる活動につながったのです。

 

偏見を生まないためにターゲティングはあえてしないのがこだわり

子どもを対象とするうえで、意識されていること、こだわり等はありますか?

 

中井

 例えばハンディキャップを持つ子どもたち、貧困、虐待、発達障がいなど、始めからターゲットを

限定して居場所づくりをされているケースもありますが、ここではあえて限定せず、幅広い子ども

たちを受け入れ、活動を通じて個々に合った対応を都度考えるようにしています。

 子ども食堂の狙いは子どもの貧困対策、と行政では定めているようですが、それが定着してし

まうと、子ども食堂を利用する子どもを見て、「あそこの家の子どもは貧乏だ」と偏見を持たれてし

まう危険性がありますよね。

 そうならないように、あえて「誰もが利用できる居場所」という点を強調しています。

 

社会課題はつながっているという構造を理解することが大事

坂野さん、中井さん共に、今一番関心ある社会課題としては次世代支援や

育成といったキーワードが浮かびますが、社会課題解決という点で

何か思われることはありますか。

坂野

 例えば子どもと高齢者。全く正反対ですが、つながっています。なぜなら子育ての先には当然、

親の介護がありますから。

 どこにフォーカスして活動するかを考えるのは大事なことですが、至る所にさまざまな課題があ

り、それら課題は単独ではなく関連性がある、課題は全部つながっている、ということを理解した

上で、自分のやりたい活動をすることが、これから求められると思います。社会課題構造を理解し

ているのとしていないのとでは、ゴールは変わってくるのではないでしょうか。

 

世話人の区切りがついた後も積極的に関わっていきたい

“大阪を変える”100人会議の世話人として、今後に向けたチャレンジとしては

どのように考えていますか。

坂野

 その年の企画や運営をマネージメントする“世話人”という役割が2年ごとに交代制で変わる、と

いう点が面白い仕組みだと思っています。

 始めは2年で交代するのは、知見やノウハウの蓄積の面から短すぎると思っていましたが、実

際に世話人として携わってみると、たった2年でもさまざまな人と関係性が持てますし、想定外に

多くの新たな情報を得ることができました。第4期、第5期とつながっていくことにより、ネットワー

ク間の密度が濃くなっていく感覚があります。その経験が、さらに進化したプロジェクトを生み出す、

メンバーのモチベーションやこの会の底上げにつながっているのだと思います。

 私たちは今年の8月末で任期が終わりますが、バトンをつないでいくことで、今後も大阪ならで

はの課題解決の動きが生まれることを期待しつつ、私自身も世話人の役割を終えてからも、2年

間で得た経験を活かしてメンバーとして関わり続けたいと考えています。

 

中井

 人が変われば運営の仕方も変わるでしょう。例えば私たち第3期の世話人は、「100人会議メン

バーがお互いのことをもっと知ること」をひとつの目標にしていました。せっかくここでつながってい

るのに、お互いのことを表面的にしか知らないのではもったいないですよね。だからメンバー同士、

お互いの仕事の現場に訪問するスタディツアーを企画したのです。

 スタディツアーは毎月やってきましたので、狙いどおり、親密度が高まり、仲間意識や絆が深ま

る効果があったと思います。

 次の4期の世話人には、自身が運営に関して率直に感じている課題、それを解決する視点から、

新しいカラーでやってもらえたら、と期待しています。