企業×市民活動 コラボのススメ内容

朝日温泉は昭和35年開業、60年近い歴史と伝統を誇る、地域に愛されるまちの

お風呂屋さんです。地域の大人の協力金によって子どもたちが無料で銭湯を楽しむ

ことができる新たな市民活動「こども銭湯」を通じて、子どもたちが安心して

集える社交場づくりを実現した3代目若旦那 田丸正高さんにお話を伺いました。

 

朝日温泉5

 朝日温泉

 3代目若旦那 田丸 正高さん

 

 <朝日温泉入浴設備>

 ・主湯

 ・子ども風呂(浅風呂)

 ・寝風呂(気泡風呂)

 ・三段階切替式フィットネスバス

 ・座湯

 ・フィンランド式サウナ

 ・電気風呂

 ・暦湯式露天風呂
 「陽気なラテン系近代銭湯」を打ち出し、ラテン音楽を中心とした音楽イベント

の開催や、先代店主のパーカッション演奏など、地域に 根差した懐かしい銭湯の

イメージを覆すひと 味もふた味も違った斬新な銭湯としてテレビや新聞にも多く

取り上げられています。

 

地域の子どもたちが楽しく集い、社会性を学ぶこともできる「こども銭湯」

『こども銭湯』について詳しくお話をお聞かせください。

 

“大人が子どもにお風呂をプレゼントする”というコンセプトで、地域の大人から

協力金を募って地域の子どもを受け入れるというシステムです。毎月第1・第3

日曜日の12:00~13:00に実施しています。

イギリスでコーヒー1杯に2杯分の料金を払って貧困層の方を支援するシステム

があるのですが、それをヒントにしました。ただイギリスのように貧困家庭が

対象ということではなく、地域の子どもたちが楽しく集える居場所として銭湯を

活用してもらえたら、という気持ちでやっています。

もともとこの地域は子どもの数が多く、ご飯を食べたら即集合、みたいな空気が

ありました。今年の2月18日に始めましたが、思った以上に反響があって驚いて

います。フロントに「こども銭湯投げ銭箱」を設置し、「子ども1人150円、幼児

1人60円、1円からでもOK」と、うたっていますが、すでに5万円を越える協力金が

集まっています。『こども銭湯』では、なぜ無料で銭湯に入れるのかの説明と、

入浴マナー(体を洗ってから入浴する等)体験をしてから、入浴してもらいます。

楽しむだけでなく社会性も身につけてもらいたいからです。またフロントに沢山の

駄菓子を設置していますが、駄菓子だけの販売はせず、こども銭湯に来てくれた

子どもの特典として100円分駄菓子を選べるというしくみにしています。

これも、子どもたちに社交場として楽しんでもらうしかけのひとつです。一般的

には、無料ボランティアでこういった活動をしてもなかなか続けられません。

協力金で運用するしくみだからこそ、楽しんでもらうための特典も可能と

なっています。来てくれた子どもたちからは「面白かった」、「楽しかった」、

「特別感が良かった」など、非常に手ごたえを感じています。

まだ始めたばかりで、これからのことは模索中ですが、システムとして

確立できたら、他の銭湯でも使ってもらえるようなモデル事業にできれば

思っています。

 

地域に育てられた子ども時代…「風呂屋」の3代目として地域に貢献できること

活動を始めるに至った思いをお聞かせください。

 

銭湯という文化を活かし、地域が憩える居場所づくりができるのではないか。

地域の風呂屋の使命として、「銭湯」に親しんでもらうきっかけをつくれたら、

と考えています。朝日温泉の常連に、なってほしいということではなく、近くに

銭湯があればそこに行ってくれればいい。住吉区は銭湯が多い地区ですから、

銭湯業界の活性化は地域全体の活性につながると思うのです。

私は父方だけでなく、母方も、血縁関係みんな風呂屋でした。両親共に

店を離れられなかったので、家族旅行などは行ったことがありませんでしたが、

銭湯に来る地域の方々がいつも遊んでくれたことが良い思い出として残って

います。

私が店を手伝い始めた頃は、銭湯業界はすでに衰退していましたので、

後を継ぐことは親が反対しました。それを押し切って跡継ぎとなったのは、

子どものころの経験も大きいと思います。また銭湯の値打ちは、体に当たる

湯の量がとても多いこと。それは体の芯から「温もる」ということです。

地域の銭湯が廃業した際、地域の人の健康データに少し低下の傾向が

見られたという話もあるそうですが、銭湯でゆっくり温もっていただく

ことで地域の人の健康増進にも貢献できるのではと思います。

 

大阪の銭湯を活性化させたいと願う担い手によってさまざまな動きが起きている

『こども銭湯』運営にあたって、他の組織との連携などされていますか。

 

“ICTの利活用により地域課題の解決に取り組む”Code for Osakaと連携し、

銭湯経営者や銭湯好き住民とともに大阪の銭湯文化の維持と銭湯を中心

としたまちづくりをめざす「Re:FUROOSAKA(銭湯プロジェクト)」という

取組みがあります。

その代表の方と、何か面白いことはできないかな?といろいろ話し合ったことが、

『こども銭湯』を始める発端となりました。また私自身、大阪府公衆浴場業生活

衛生同業組合の中の事業委員会 For-U(湯)の副委員長をしています。

この委員会は、地域を越え、銭湯の跡継ぎなどが集って様々な情報交流を行う

場でもあり、銭湯業界をもっと盛り上げたいと感じている仲間もまだまだいると

感じます。

この南住吉地区は町内会が非常に熱く、昨年は青年会、子ども会、女性部、

壮年会、老人会などさまざまな組織と、行政、企業の力をお借りし、住吉と銭湯の

テーマパーク「すみよし湯ズニーランド」というイベントを行いました。

区民センター大ホールに1,600人もの地域の方々に来場いただき、石鹸工作や

桶を使ったカーリングなどのゲームを楽しんでもらい、非常に盛り上がりました。

第2回目を2019年2月25日(月)に行いますので、たくさんの方にお越し

いただきたいと思っています。

 

「“おもろい”ことやってる銭湯」としての業界活性化戦略と

地域の担い手育成の両立

今後のチャレンジについてお聞かせください。

 

まずは業界を元気にしたい!風呂業界ってあかんというイメージを

払拭したいです。裏道でやってる銭湯でもここまでできんねん!と

いうことを知ってほしい!銭湯の頑張りをいろいろな方々に

見てもらいたいですね。だから、パクチー風呂、寄席、ライブ…

いろいろなイベントを定期的に行い、その情報はSNSや

マスメディアを通じて積極的に外部発信しています。

おかげさまで、「朝日温泉って、いつも何か“おもろい”こと

やってる銭湯」というイメージが定着しつつあるのではないかと

思っています。また『こども銭湯』をきっかけに、次の世代を

育てる種まきができたら、と思っています。

具体的には、地域の子どもたちが「参加する側」から「担い手」

として成長できる仕組みを作りたいですね。一定の学びを終えた

子どもに認定証のようなものを発行し、子ども『銭湯大使』に任命

するとか、『風呂マイスター』として階級を上げていくとか…。

今は、大人が行っている説明や入浴マナーなども、小さい子どもに

とっては身近なお兄ちゃん、お姉ちゃんに教えてもらった方が安心

できるし、教える子どもも責任感が養われ、成長できると思います。

この一連の取組みを銭湯業界で展開できるシステムとして確立したい

のです。他の地域で応用できれば銭湯離れを食い止め、業界が

再び盛り上がることにつながるかもしれません。さらに銭湯ごとに

さまざまな地域特性を出していけば、それも面白い。銭湯の多い

地域なら、新たなムーブメントになりえるのではないでしょうか。

 

朝日温泉4 朝日温泉2

毎日薪で焚いているお風呂は          協力金速報。取材時

「お湯が柔らかい」とお客様か         は5万を超えていま

ら好評とのことです。             した。

 

美味しそうな駄菓子がズラリ。

子ども銭湯の特典として協力金

で賄われています。

朝日温泉1 朝日温泉6