子育てや教育に関する専門的な知識や技能を持つ大学として地域に貢献できることとは―?

大阪城南女子短期大学 准教授 中津 功一朗さん、講師 村上 佑介さんにお話を伺いました。

 

中津先生_城南女子 学校法人 城南学園 大阪城南女子短期大学

 

 東住吉区に本拠のある唯一の大学、短大で、保育園、幼稚園、
 小中高校、短大、大学、大学院さらに福祉施設までがあります。

 KOMAクルは地域の子育て支援スペースとして運営されており、
 「平成26年度大阪府商店街課題解決プラン事業コンテスト」で
 優秀企画として選定され、大阪府の委託事業としてスタート。
 平成27年度3月より城南学園の独自事業として運営継続され
 毎週月・水・金 10時~14時開場

 

 

  現代生活学科

  准教授 博士(情報学)

  中津功一朗先生

 

村上先生_城南女子

 総合保育学科

 講師 博士(学術)

 村上 佑介先生

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「KOMAクル」は地域で子育てに専念する方々の息抜きや人と人がつながる場にもなっている

「JONANこどもひろば KOMAクル」についてお聞かせください。

 仕事から離れ、子育てに専念されている方にこそ、自分だけの時間、ちょっとした息抜きの時間が

必要と思います。むしろ、そこにこそニーズがあるのではないかと考え、駒川商店街の中に

子どもの居場所をつくった…それが「KOMAクル」です。買い物ついでに寄れるという敷居の低さが

利用者の方には好評です。また、ここで知り合った方同士の情報交換の場としても活用されている

と感じています。核家族化で、若い子育て世代は地域コミュニケーションが希薄になりがちであると

いうことも背景にあったと思います。

 活発な情報交換を通じて、これまでは参加することに躊躇していたような地域イベントにも、

みんなで参加してみよう、といった例もあり「KOMAクル」だけに留まらず、地域参画の機会を

増やし、多くのコミュニケーションの深まりや広がりにもつながっていると思います。

 お子様を一時的にお預かりする以外に、子どものためのクラッシックコンサートなど、イベントや

ワークショップも実施しています。子育て中の方は、なかなかコンサートなど行けないと

思いますので、実質は子どものためというよりも保護者の方に喜んでいただけたらという意味合いが

強いですね。また、子どもへの教育造形美術の講師によるアートワークショップなど、独自性を

打ち出したプログラムも人気です。

 大阪城南女子短期大学は在学中に保育士や介護士、教員の資格を習得するなど、子育て・教育、

介護に関わるプロフェッショナルを多く輩出する大学です。だから「子育て支援」を目的に、

大学として地域貢献する、ということは必然でした。

 

地域との接点を持ったのは防災活動への参画がきっかけ

地域とはどのようにしてつながることができたのですか。

 この地域は、以前から湯里小学校と町内会との連携が活発でした。特に防災に関しては、

湯里地域の町内会はとても進んでいますが、高齢化などの課題もありました。

いざという時に若者が防災活動の担い手として協働できればと、4年ほど前から当学の

学生も活動へ参加させていただくようになり、地域の方たちとの連携が深まってきました。

 若い学生にとっても良い社会勉強の機会をいただけていると感じています。

 

産官学連携の経験は学生にとっても将来、社会に出た時の強みになる

「JONANこどもひろば KOMAクル」について、手ごたえや成果はどう感じていますか?

 「KOMAクル」の口コミは増えていると感じています。利用者が増え、そこにコミュニティが

でき、人と人とが繋がっていると感じられることが嬉しいですね。

 コミュニティとは、誰かに強制されるでもなく、自然に友だちになって、ゆるいつながりで

自発的に生まれる事が望ましいと思っています。またアートワークショップなどは保護者も

夢中で取り組まれる傾向も見られ、利用者から評価をいただけているからこそ、口コミ増加

につながっているのだと思います。また「KOMAクル」が口コミで広まるにつれ、企業など

から「うちも何かできる事ないかな?」などと尋ねられる機会が増え、新しいものが生まれる

機運も実感しています。

 

コマランタン_城南女子

 

 もともと産官学連携などの経験を通じて学生たちが社会や

地域と関わることは重要と考えていましたので、行政や企業

と連携していくということに対して大学として積極的に活動

してきた背景があるのですが、その活動がさらに活発化

していると思います。現在進行形の産官学プロジェクトが

12事例進行中で、一部商品化がされた事例もあります。

今後も多くの企業とのコラボを検討しています。

 これからの時代、専門知識、技術を持つだけでは駄目ですよね。言われたことを

言われた通りにするのでなく、なぜそれをするのか、どうすればいいか、といった

ストーリーが自分で描けないと社会では通用しない。「○○できる介護福祉士」、

「○○もできる保育士」など、さまざまな現場に応じた柔軟な対応ができる資質と能力を

育むことが必要となります。また、学生たちが担い手として地域や地元の企業と連携する

ことで、地域の課題解決や地域活性に貢献できることは意義があることですし、

社会とつながる実体験を積むことは学生にとっても将来、社会に出たときの強みとなり、

自分に自信を持つことにもつながります。

 

 

「子育てにやさしいまち」をさらに推進するためのインターネット版井戸端会議

「KOMAクル」以外で取り組まれている事業があるとのことですが、それについてお聞かせください。

 東住吉区全体が「子育てにやさしいまち」を推進するための取組みとして、

東住吉区役所の「子育て応援ナビ」のサイト運営に関わっています。

具体的にはまち全体のちょっとした子育て支援について、地域の人たちや

ボランティアの方へのインタビューを通じて情報を集め、サイトを通じて

発信しています。

 例えば商店街情報なら「子育て世代にやさしいお肉屋さん」と打ち出し、

子どもに適切な動物性たんぱく質の摂取量や調理法など、お店からの目線で、

子育て中の方に役立つ情報をアピールしてもらっています。昔なら井戸端会議で

口コミ情報は広まりましたが、インターネットの普及でさらに手軽に必要な情報を

得ることができます。現在、4名のアドバイザーが意見交換会を行ってサイト充実の

ためのアイデアを膨らませています。もともとタウンアドバイザーとして区と連携し

始めたことがきっかけですが、今では「KOMAクル」の活動と連携したトータルな

子育て支援につながっています。

 このような発展ができたのも、区との連携がうまくできているからこそだと

感じています。

 今後も行政と積極的に連携し、お互いにいろいろなアイデを出し合いながら

協働していきたいと思っています。

 

「子育て」をキーワードにつながり、新しいモノ・コトが生まれ、そして未来へとつながっていく

今後のビジョンについてどのようにお考えですか。

 子育てをキーワードに、いろいろなモノ・コトがつながっていけば、と考えています。

 まち全体が子育てについて考えられるようになると、子育て自体も楽しくなる。

結果として、まちが賑わい、活性化すると思います。

 もともと子育て支援に力を入れている行政の基盤があり、事業を通じてつながった

人的ネットワークを活かして、学術機関としてできること、スキルやノウハウを活かして

行政、地域、そして学生たちと共に「子育てにやさしいまち東住吉区」実現に貢献したい

ですね。

 学内のつながりも重要だと実感しています。現に、私たち教員も「KOMAクル」で

協働するまでは全く違う専門分野(中津先生:IT関連、村上先生:造形関連)でしたが、

今では同じ目的のもと、協働することができ、お互いに刺激になり学びが得られることに

気付きました。

 

城南女子-1

  この活動を通じて、横連携する事で新しい

 つながりや新しいコトが生まれるということを、

 今まさに実感しているところです。

 だから学生にとっても違う学部・学科の学生

 とも触れ合えるチャンスを積極的に作り出して

 いきたいと思っています。

 このまちに根差し、地域の方々と協働してきた

 実績や産官学連携を通じて様々な企業とつなが

 ってきた実績がある当学だからこそ、できること

 があると思います。

 

 これからも産官学・三者協働の良い関係から新しいモノ・コト・そして未来を

作っていくための仕掛けづくりを積極的に進めていきたいです。

 

図2       図1

美術講師などによるアートワークショップで          様々なおもちゃで遊ぶ子どもたち

感性を育む活動が行われています。

(写真は手作りキャンドル作り)