市民活動ワクワクレポート内容
2019(平成31)年3月25日、天王寺動物園において今年で2回目となる『ドリームデイ・アット・ザ・ズー』が開催されました。この取組みは、障がいのある人とその家族と介助者が動物園の休園日に、ゆっくり動物園を楽しんでいただくことを目的にした招待イベントで、天王寺動物園から大阪市ボランティア・市民活動センターが相談を受けたことから始まりました。
本番を前にした3月初旬、動物園では職員の方が、阿倍野区・天王寺区を中心に活動しているボランティアの方を講師に迎え、事前に必要な配慮や対処方法を学習しました。
障がい者の外出支援を行っている「ボランティアグループWAKUWAKU」(阿倍野区)岡本正敏さんからは、視覚障がいのある人の手引きの時の注意点や聴覚障がいのある人とのコミュニケーションの取り方、車いすの操作方法など、具体的なエピソードを交えたレクチャーがありました。また、岡本さんの自身の経験から「困っている人に声をかけることは大事。でも〝大丈夫″は大丈夫じゃないことが多いです。できるだけ具体的に困りごとを聞いてあげてほしい」との支援する上での貴重なお話しもありました。
次に、発達障がいを持つ子の親の会「つぼみの会」(天王寺区)代表加納夕架子さんから、配慮が必要な人たちが鞄やリュックにつけている〝ヘルプマーク〞や、緊急連絡先・支援内容が書かれた〝ヘルプカード〞について、実物を見ながら説明がありました。また、動物のふれあいコーナーを想定して子どもたちへの声かけの仕方や、写真や絵カードなど視覚的に伝える工夫などを説明。もしパニックになった時には外に飛び出して危険がないよう手を貸してほしいこと、また同伴者に対応を聞きながら、一緒に温かく見守ってほしいという話がありました。加納さんは「一人ひとりこだわりが違うけれど、私の子どもの場合は…」と親としての事例をあげて、支援する上でのリアルな声を伝えていただきました。
イベント当日は、動物園の職員の他に有志のボランティアや市民活動グループ、NPO、学校関係などの協力を得て、多くの参加者に楽しんでいただける〝おもてなし〞を実現しました。園内の案内と誘導、手話通訳などには、40人以上のボランティアが参加。入場ゲートでは手話で挨拶して来場者を温かくおでむかえ。アシカのごはんタイム、テンジクネズミのなでなでタイムなど動物ガイドでは、手話通訳ボランティアが大活躍。各エリアでも、ボランティアから積極的に声をかけ、コミュニケーションをとる姿がありました。
そして、生演奏のコンサートや手話歌、ECCアーティスト美容専門学校の学生によるフェイスペインティング、紙芝居や動物イラスト入りのグッズ販売コーナー、花みどりボランティアクラブによる木っ端工作ブースなど、様々な団体やボランティアの協力により、五感を使って楽しむイベントを更に盛り上げていただきました。
来場者は2394人となり、昨年からこの日を楽しみにしていたという親子や30年ぶりに動物園に来たという視覚障がいのある人、お出かけする良い機会になったという家族などそれぞれのペースで動物園をゆったりと楽しんでいただけました。
旭区から参加したごうせい君(小学1年生)は、頬にシロクマのペイントをしてもらいました。「小学校から案内をもらい参加しました。障がいのため大きなバギーに乗っていますが、今日は気兼ねなく見てまわれます」と、ごうせい君のお母さんは話します。
「今年は、昨年よりも3倍近い定員を募集しました。みなさんがゆっくりと楽しめるちょうど良い人数を探っています。スタッフは研修と実践を通して障がいのある人たちとの接し方を学んでいます。いつかはナイトズーを実現できるよう経験を積みたい」と園長の牧慎一郎さんは意気込みを語りました。
このように、多くのボランティアの力により、イベントは無事に開催することができました。同時に、多くの団体やボランティアの方に参加していただいたことで、このイベントの今後のさらなる盛り上がりと、障がい者の方に対する理解がどんどん広がっていく可能性を感じました。
(記事作成:大阪市社会福祉協議会)
ボランティアグループWAKUWAKU
https://kyodo-portal.city.osaka.jp/author/53/?uid=53
発達障がいを持つ子の親の会「つぼみの会」
https://kyodo-portal.city.osaka.jp/author/1405/?uid=1405