イケてる!市民活動★ミニレポート内容

ルルド未来たち(以下、「ルルド」という。)”では、様々な分野の専門家たちが連携し、児童養護施設(以下、「施設」という。)の子どもたちの将来の就労について支援を行っています。今回は、ルルドの中心メンバーのひとりで、ソーシャルワーカーや社会福祉士として長く福祉に携わってきた脇坂博史さんに、活動の目的や運営の難しさ等についてお話を伺いました。

 

ご存じですか?
児童養護施設の多くのこどもたちは、就職を真剣に考えられる環境にないことを。

 

ルルド設立のきっかけは、施設でボランティア活動を10年以上続けているTさんからの相談でした。施設の子どもたちの7割から8割は、高校を卒業すると同時に施設を退所します。生活基盤のない子どもたちは、住み込みで働ける職業を安易に選んでしまいます。
そのため仕事に情熱が持てなかったり、自分に合わなかったりで、すぐにやめてしまうことが繰り返されています。それでは良くない、何とかしたいという思いから専門学校のカウンセラーをしている知り合いに個人的に相談し、そこから脇坂さんに相談が持ち掛けられました。
相談を受けた脇坂さんが、“考える会”を結成するために呼びかけを行ったところ、大阪弁護士会で少年犯罪を専門に担当している方や、発達障がい者の就労支援を行っている方、以前に施設で働いていて今は大学で講師をされている方、さらには吹田市で障がい者の就労支援を行なっている中小企業同友会の方など、様々な部門の人が集まってくれました。そこで、児童養護施設の就労について考えようと、隔月で定例会を始めたのが、ルルドの始まりです。

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一番の問題点は大人への不信感から、進路について本心から話のできる人がいないこと

 

こども達が進路について真剣に考えない要因について、退所後の生活基盤がない事以外にも心の問題があります。
「施設の子どもたちは、一般家庭と育つ環境が違うという現実があります。一般家庭では就職にしても、進学にしても、親兄弟がいるので、普段から話したり、相談することができます。施設では、ほとんどそんな話もしないし、指導員さんにも余裕がない。だから、就職の大切さや難しさがわからないままになって、あまり真剣に考えなくなっていくような現実があります」と、脇坂さんは説明しました。
また、施設の子どもたちは、施設に来る経緯や生い立ちから、大人に対して強い不信感を持っていることが多く、ルルドでは、心を開いて相談してもらうためには、子どもとの絆づくりが必要と考えています。
「絆づくりには、信頼できる大人がいるんだということを実感してもらうこと。これがまず一番大事なことです。ただ、ひと言で「絆や信頼関係」と言っても簡単なものではない。子どもは、『どうせ長続きしない、思い付きで来ているのだろう』と思っている。だから、10年単位くらい長い期間で見ていかないとなかなか実らない」と、脇坂さん。
そのために、ルルドでは、月に1回以上施設に行くようにしており、多いときは週2回訪問することもあります。
また、新たな取り組みとして、訪問している施設の一つが地域住民との交流のために開催している夏祭りにゴム鉄砲の射的場を出店しました。

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就職の体験実習で、将来の進路について考える機会につなげる

 

ルルドでは、施設にいる高校生に進路を真剣に考える機会としてもらうため、相談活動以外にも就職体験などのサポートを実施しています。
例えば、女の子の場合ですが、化粧品会社のビューティアドバイザーに関心のある子に、化粧品会社の方が指導する形で1日から2日の単位で体験実習を行なっています。
また、ルルドには中小企業同友会の方々のように、IT関係者や電気店のオーナーもいるので、これからは、様々な体験実習の機会を設けていきたいと考えています。
その他にも「施設出身の子ども達は社会人になってからも、一般家庭で育ったこどもと違って様々なギャップで悩むことが多い。だからこそ、子どもと話ができる環境を作っていき多くの人に施設出身の子どもについて理解してもらう必要がある」と、脇坂さんがこれからの活動について話しました。
“ルルド未来たち”は、まだできたばかりの団体です。様々なアプローチで児童養護施設の子どもたちの就職支援を中心に、社会へ適応するためのサポートを目指しています。これからも、目の離せない注目の団体です。

(記事作成:大阪市社会福祉協議会)