市民活動ワクワクレポート内容
CoderDojo 阿倍野×阿倍野区社会福祉協議会
9月のある土曜日、阿倍野区社会福祉協議会(以下、「阿倍野区社協」という。)1階会議室でCoderDojo阿倍野代表の松本早紀さんが着物姿で子どもたちを迎え入れていました。“CoderDojo”とは、2011年にアイルランドで始まった子どもを対象にしたプログラミング道場で、現在は世界110か国に2000もの道場があります。日本全国では190か所以上あります。今回はCoderDojo阿倍野の活動に参加し、松本さんにお話を伺いました。
子どもが好きなようにプログラミングを楽しむ居場所
CoderDojo阿倍野は去年の1月から活動が始まり、阿倍野区社協で毎月開催しています。阿倍野区では、コミュニケーション不足や個性が理解されないことにより、学校で孤立して居場所がない子どもたちがいます。この課題を解決するために阿倍野区社協が取り組んでいると、CoderDojo阿倍野から活動する場所の提供をお願いされました。阿倍野区社協は場所の提供、CoderDojo阿倍野はプログラミングを通じた居場所づくりと、互いの強みを活かせると思い協働にいたりました。この日も小学校低学年から中学校1年生までの子どもたちが参加していました。「はじめて参加する子どもの保護者は、講座のように『プログラミングを教える』というイメージをもつ人が多い」と松本さん。でもここは講座ではなく“プログラミング道場”なので、参加した子どもたちが自由にプログラミングを楽しみます。子どもたちは会議室に来て挨拶すると、パソコンを開き個々に時間を過ごします。子どもたちが分からないことやレベルアップしたい時は、プログラミングができる松本さん含むCoderDojo阿倍野のメンター(スタッフ)が手助けし、活動の終わりには全員が頑張った成果を発表し合います。家とは違い、プログラミングができる人たちと同じ空間でパソコンに向き合えるこのDojoは、子どもたちにとって気持ちが落ち着く居場所です。なぜならここにいるメンターは、子どもたちを褒めるからです。プログラミングができるメンターから「すごい!」と一言褒められるだけで、子どもたちに大きな自信がつきます。CoderDojo阿倍野では、活動中に些細な成長ができた子どもたちをとにかく褒めることを大事にしていました。
子どもたちが使用している主なソフトはscratch(スクラッチ)とMinecraft(マインクラフト)です。scratchはアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボが開発した、世界のプログラミング教育で最も活用されている学習用ソフトです。簡単にブロックを組み合わせて作品ができるので、子どもたちはscratchを使って自分だけのゲームを作っていました。Minecraftはブロックで作られた世界を冒険するゲームです。子どもたちはブロックをたくさん組み立ててお城などを作ったり、ゲームにある電子回路を組み合わせて建物内を瞬時に移動することができるシステムを作ったりと、遊び方はそれぞれでした。
プログラミングを通じて松本さんが目指したい先とは
松本さんは、元は西成区のCoderDojoのメンターでした。「日本の子どもがいる保護者層は、『インターネット=教育に良くない』というイメージを持っている方が多い。それを無くすために、参加者の保護者と活動中に話をすることで、少しずつ、プログラミングが教育に使われていることや、悪影響を及ぼすものではないことを知ってもらい、イメージアップにつなげたい」という思いが松本さんの中に芽生えたことが、CoderDojo阿倍野を立ち上げるきっかけでした。
今後は「子どもたちは運動や勉強ができると褒められる、でも、プログラミングができても、運動や勉強と違い、褒められることが少ない。なので本人が作った作品を『ドヤ!』と存分に自慢できる“ドヤれる道場”を作りたい。」そして、「ここに来ると子どもたちはいつも刺激を受けているので、保護者も一緒に勉強してもらえるようにしたい。子どもだけでなく保護者にも知ってもらうことで価値観の共有にもなるので、たくさんの人に参加してほしい。」と松本さん。
月に1度の活動の中で、日頃から地域で子どもたちを育み、地域にこどもの居場所づくりに取り組む阿倍野区社協と2020年度からの小学校段階のプログラミング教育の一歩先を行くCoderDojo阿倍野との出会いと連携により、未来輝く子どもたちを育て続けます。
(記事作成:大阪市社会福祉協議会)