市民活動ワクワクレポート内容
生野本通中央商店街振興組合
生野区の生野本通中央商店街で、小学生と高校生がチームを組んで、各県の特産物をテーマに、仕入から販売、決算までを子ども達が行い、利益等を競う「子どもお店バトル」という商店街のイベントがありました。主催者でもある生野本通中央商店街振興組合理事長の進藤成一さんにお話を伺いました。
生野本通中央商店街振興組合理事長の進藤成一さん
子どもたちの声が響き渡る裏には、仕入れの難しさが
当日は、商店街に8チームの店が並び、ハロウィンの仮装をした高校生と小学生が元気に接客をする声が商店街内に響き渡り盛り上がっていました。
店頭には大分県の「青パパイヤ」をはじめ、高知県の馬路村の「ごっくん」、群馬県の「秋冬キャベツ」など計12県の特産品が並んでおり、客が商品を手に取ると、高校生が小学生に何をすればいいかを教え、一緒に会計や袋詰めをします。
事前準備(作戦会議)のため集まることができたのはたったの2日間。仕入れは、8チームに分かれた小学生と高校生が各県事務所の職員と価格交渉をし、たくさんの特産物の中から販売する品物を選びました。仕入れも数カ月先の気候を考えなければならないので生鮮食品は特に難しく、また増税や台風などたくさんの課題もあり、困難を極めました。
しかし、当日は無事にたくさんの商品を店頭に並べることができ、参加した高校生と小学生たちも達成感に満ちた顔つきで「楽しかった」と口を揃えていました。
協力することで見えてくる可能性
「子どもお店バトル」が始まったきっかけは、進藤さんの出身校である大阪ビジネスフロンティア高等学校(以下「OBF」という。)の生徒たちが自分たちの考案した、「放課後クランチ」というお菓子を商店街のイベントで売りたいと相談に来たことでした。進藤さんの「販売をするなら地域の小学生と一緒に何かできたらいいな」と発した言葉がきっかけです。「商店街」は地域の真ん中にあってだれでも行くことができる場所であり、その商店街で働く商売のプロたちに混ざって社会体験することは、子どもたちに商売の楽しさを知ってもらえるいい機会になるのではないかと考えました。
準備が始まったのは、今年の3月。OBFの先生たちとの打ち合わせから始まりました。打ち合わせは毎月行われ、大阪シティ信用金庫や大阪府商店街振興組合連合会の方が、各県事務所や大阪府・市の連絡調整をしてくださり、広報については、JRの協力により寺田町駅を含む複数の駅にポスターを掲示していただき、また読売新聞、産経新聞が「集客の手伝いができれば」と、イベント直前に「子どもお店バトル」を掲載。おかげで、当日会場は熱気が溢れていました。
当日のイベント区域に自転車を乗ったまま通らないように降りてもらう声かけでは多くのボランティアが活躍しました。「見ていただいた通りこのイベントは様々な人達が協力し合い、成り立ったイベントです。」と進藤さん。
半年かけた準備の中で苦労したのが、小学生への参加の呼びかけです。今回は自由参加で近隣の各小学校校長から呼びかけるも5人しか集まらず、お手上げ状態。転機は6月13日の読売新聞でした。「子どもお店バトル小学生募集」についての記事を府内版で取り上げてもらったことで申し込みが増え、やっと8チームが出来る人数になりました。
当日を終え、「上出来だった。事故もなくできてよかった」と進藤さん。
今後としては、商店街を盛り上げていくというより「商店街を地域の中でどういう位置づけにするかという視点が大事」と進藤さん。これからも近隣の小中高と一緒になって未来ある子どもたちのためになることをしていきたいと決意を語られました。生野本通中央商店街振興組合が、商店街を活かして子どもに商売の楽しさを伝える「子どもお店バトル」。すでに第2回の開催も検討中とのことです。今後も目が離せない活動ですね。
(記事作成:大阪市社会福祉協議会)