市民活動ワクワクレポート内容
NPO法人おおさかこども多文化センター(愛称:オコタック)×Osaka Metro
みなさんは、日本の複雑な鉄道網、不慣れな切符の購入方法などにより戸惑っている訪日観光客を見かけたことはありませんか?国ごとに交通機関の利用方法は違うこともあり、「なぜ改札が通れないのか」「目的の駅がどこで、運賃がいくらかわからない」と困っている観光客に対し、外国にルーツを持つ大阪の高校生たちが声をかけ解決する活動があります。今回はNPO法人おおさかこども多文化センター(以下「オコタック」という) 事務局長の橋本義範さんにこの活動が始まったきっかけや、活動についてお伺いしました。
オコタック事務局長の橋本義範さん
子どもたちのために突撃訪問!!
オコタックとOsaka Metroが協働で活動することになったきっかけは、当時大阪市交通局(現Osaka Metro)とつながりたいと考えていた橋本さんが、大阪市ボランティア・市民活動センターに相談したことです。
アイデアや似た活動を行っている団体を紹介してもらった橋本さん。その後、中国にルーツのある子どもたちは、日本の社会とつながり、社会の役に立つことで自己肯定感が得られるのではないかと考え、5年前に大阪市交通局に「中華系観光客向けの案内通訳ボランティア」を提案しました。大阪市交通局は急増する訪日観光客の対応策のひとつとして、また、高校生のボランティア活動を支援するという社会貢献の意味も含めて、この活動に協力することとなりました。2年目からは中華系以外の観光客も対象とする「訪日観光客案内通訳ボランティア」に拡大して実施しています。
母語を使うことで感謝される活動
2019年冬の活動はOsaka Metroの主要駅であるなんば・日本橋・心斎橋で10人弱の高校生が、券売機前で積極的に観光客に声をかけ、路線や目的地へのアクセスを説明していました。この活動は夏休みなど学校休業中に実施し、これまで5年間で延べ1,200名ほどの高校生が参加しました。高校生たちが見ず知らずの観光客に声をかけることができるのかという不安もありますが、それ以上に自分の母語を駆使して感謝されることで自分の力を発揮できる場所があることを実感することができます。参加した高校生たちは「またやってみたい。自分の母語を話すことで感謝されることがあるのか。」という気づきがあり、リピーターが続々と出てきました。
「高校生も立派だったがOsaka Metroさんにとても感謝している。この活動でむしろ業務を増やす形になっているのにも関わらず高校生・観光客のために動いてくださり、回数を重ねるたびに社員のみなさんが高校生を自分の子どもや弟妹のように接してくれたのが、見ていて伝わった」と橋本さん。
これからの国際社会の準備として
今後としては「今は外国にルーツを持つ子どもたちだけでやっているが、一般の日本の子どもと一緒にできたらいいな」と橋本さん。母国で育って中学、高校で初めて大阪にきた子は母語が話せ、観光地の所在地についてもある程度の位置などは知っていますが、その詳細は分からないという可能性があります。そこで日本の子どもがフォローすることで、初めて大阪にきた子どもも助かり、日本の子どもにとっても一緒に活動することで多文化共生を認識できます。
子どもが社会に出やすくなるよう、今までの活動を継続しながら、新たな活動を展開しているおおさかこども多文化センターの今後に注目です。
(記事作成:大阪市社会福祉協議会)