コラボ事例もいっぱい!市民活動ワクワクレポート内容

にしよどこども食堂くるる

代表 大西 史高さん、大西 裕子さん

 

自分の住む西淀川区にこども食堂をつくりたい―。東淀川区のこども食堂にボランティアスタッフとして携わったことがきっかけで、西淀川区初のこども食堂を立ち上げた大西 裕子さん。代表を務め、夫である史高さんと二人三脚で、他の団体を巻き込んで仕掛けるさまざまな事業やプロジェクト。連携・協働のプロセスや秘訣について具体的にお伺いしました。

 

こども食堂を主軸に、学習支援やイベントなど子どもに関することは何でも企画・実践

 

主な活動内容は?

こども食堂ですが、子どもに関することは何でもやる!スタンスなので、いろいろ企画して実践しています。

メインの活動は出来島会館を会場に毎月第4金曜日、夕方5時半から夜8時まで、誰でも参加できるこども食堂の運営です。

2016年12月から活動を始めてからどんどん参加人数が増えて70~80人の子どもたちが来てくれていましたが、今は、コロナの影響でお弁当の配食に切り替えています。

お弁当はオリジナルで、私たち2人と、ボランティアの方1~2名、あと小学校の不登校の子どもが手伝ってくれています。

それ以外では学習支援としての「くるる教室」、子どもたちと一緒にご飯をつくって食べる食育支援としての「くるるキッチン」、子どもたちが店員になってカフェを開く「くるるカフェ」があります。カフェといっても場所、時期は決まっていません。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に出向いてカフェを開いたことがありますが、世代を越えた交流と、ごっこ遊びの延長で楽しむ職業体験を兼ねることができ、好評でした。

その他、年に1回の段ボール工作イベントを行っています。「西淀川ものづくりまつり」実行委員会と調整し、作品を展示いただくこともできました。

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出来島の地域コミュニティをつくることを目的とした西淀川区初のこども食堂

 

活動を始めたいきさつは?

私の育児経験上、『子どもは地域に一緒に育ててもらったら楽になるやん!』という場面が多々ありました。でも今の時代、地域との関わりは薄れ、子どもたちにとって身近な大人は両親と先生くらい。ごく限られた大人としか触れ合える機会がありません。

大人も子どもも“ごちゃまぜ”になって遊んで、食べて、楽しい居場所があったらいいなあ…そんなぼんやりした思いを抱いていた頃、以前勤めていた所が東淀川区でこども食堂を始められ、そこにボランティアスタッフとして参加する機会がありました。子どもたちの笑顔、人と人とのつながりを目の当たりにして“こども食堂を西淀川区にも!”という思いが強くなりました。

幸い私が勤める高齢者福祉の職場は理解がありましたので、仕事と両立しながら「こども食堂くるる」を立ち上げることができました。

子育ては親も大変ですが子どもは子どもで大変なのです。

みんなそれぞれが抱えている些細な悩み事があるけれど、なかなか自分で発信できないかもしれない。その悩み事はその子にとって当たり前すぎて、問題に気付いていないかもしれない。だからいろんな子ども同士が集まるこども食堂があれば、そこで些細な事を打ち明け合うことができたり、もし何らかの気がかりを見抜ければ、セーフティネット(NPO法人 西淀川子どもセンター等)につないで、問題を未然に防ぐことができるかもしれません。

こども食堂なのだけど、出来島の地域コミュニティの機能を備えた居場所をめざしています。

 

休校、外出自粛…子どもたちに何かお楽しみを!親への支援を!

 

コロナ禍の中、新しく始められたことは?

「アマビエチャレンジ」というイベントを行いました。疫病を鎮めるアマビエという架空の神様のことが一時期話題になりましたが、それをモチーフに子どもたちにアマビエの絵を描いて応募してもらうというもので、70点ほどの作品が集まりました。

休校、外出の自粛…友だちと会えず、何の楽しみもなく、子どもたちにとって退屈でひたすら我慢の日々が続いて…だから、何か楽しませてあげるようなことができないかな?と思ったのです。

いろいろ調整した結果、30社ほどの企業に協賛をいただき、西淀川区全域を巻き込んだ大きな規模のプロジェクトになりました。協賛企業の中にトロフィーなどを製造している会社があり、子どもたちの作品ひとつひとつをあしらった盾を無償でご提供くださり、子どもたちはとても喜んでいました。

また区・地域振興会・社会福祉協議会が合同で、作品をモチーフにした啓発ポスターを制作、区役所や社会福祉協議会の施設に掲示いただくことができましたので、たくさんの方にプロジェクトのことを知ってもらえたと思います。コロナ禍で不安な時期、子どもたちのチャレンジを通じて、誰かを元気づけられていたらいいな、と思います。

また、全国一斉休校になった3月2日から春休み直前まで、週4くらいで小学校低学年児童を受け入れる居場所開放を行いました。

『いきなり休校になって、子どもだけを家に置いて仕事に行けるわけがない!』…という親は多いだろう、と思ったのです。

9時頃からみんなが集まりだして一緒に宿題をやったり、昼ご飯やおやつを作ったり、遊んだり。安心して子どもを預けて仕事に行けるよう私たちのどちらか、大人が必ずつくようにしていました。

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人手がなくてもいろんな企画が実現できるのは他の団体や組織のご協力があってこそ!

 

連携・協働の具体事例とプロセスは?

<千北診療所と連携した、くるる教室>

今、第3金曜日に「くるる教室」を実施していますが、ベースになっているのは大和田の千北診療所内で健康友の会が実施していた「無料塾※」です。

一昨年、診療所の方からお話をいただいて事業を引き継ぎ、くるる独自の枠組をつくって昨年リスタートさせました。

もともと学習支援は、こども食堂立ち上げ当初からやりたかったのですが、人手が足りないのでいったん諦めたのです。でもすでにある地域の学習支援拠点を応援することはできる!と考え、無料塾におにぎりの差し入れを始めたことがきっかけで、診療所とご縁が持てました。くるるの自主事業となった今でも、場所と先生について診療所がご支援くださっています。

※御幣島の西淀病院系列の診療所の組合(健康友の会)の地域貢献のひとつとして実施している「系列診療所での無料塾」があった。千北診療所では2018年度まで第3金曜日に無料塾を実施、その後、くるるが事業を引き継ぎ、現在に至る

 

<特定非営利活動法人 西青会と連携した、くるるキッチン(休校中の居場所開放)>

特定非営利活動法人 西青会と、チャリティーイベントへの出店がきっかけで、ご縁ができたのですが、管理されていた職員寮(最近は民泊施設として提供)を「くるるキッチン」のためのスペースとしてご提供いただきました。もともと取り壊しが決定していた建物でしたので期間限定だったのですが、事業が軌道に乗るまでなら十分!と張り切っていたところ、コロナでできなくなってしまって…。でも休校中の居場所開放のスペースとして使わせていただきました。寮、民泊施設として使用していただけに生活に必要な設備はきちんと揃っていて、子どもたちと昼食やおやつを作って楽しみました。

今後、「くるるキッチン」は千北診療所の2階(もともとデイサービスが入っていた)で、「くるる教室」とは時間を変えて行う予定です。

 

<にしよど親子防災部と連携する防災イベント>

今後のことになりますが、12月19日に出来島地域の「防災×謎解きウォークラリー」イベントを行う予定です。

もともと賞味期限が近いアルファ米が地域でたくさん余り、『もったいない!こども食堂はお米、大量に使うやろ?』となって、段ボールひと箱分がうちに回ってきたのです。ただ、アルファ米というのは、非常食としての備蓄米なのでお弁当には不向きなのです…。

そこで、防災イベントをして、その一環でアルファ米を使うことを思いつきました。防災がテーマなので、にしよど親子防災部を、子どもの安全確保ということで、史高さんも所属している青年指導員に話をしてみたところ、協力にご快諾いただけました。

 

私もスタッフも福祉系の本職を持っていますので、常時、多くの人手をかけられるわけではありません。こども食堂を行う日はスタッフの休みを調整してもらって10名程度スタッフ確保はしますが、それ以外の活動は最小人数(3~4名)で回せる運用を心がけています。でもいろんな企画が実現できているのは、他の団体や組織のご協力があってこそだと思います。本当に感謝しています。

私が考えたアイデアを、人から人へとつないでくれるのは代表の役目。史高さんは、行く先々でお会いする人との絆を結ぶ「人たらし」なんです(笑)。『今回ご相談するのはあの人かな?』とか、自然にそんな発想になっているようです。私たち二人とも企画書を作りこむのは苦手なので『こんなこと考えてんやけど話に乗ってくれる?』みたいな、ふわっとした感じで相談を持ちかけます。

でも大事なことは『~~だから、~~をやりたいねん!』というはっきりした意志と考えがあることですね。それがなければ協力を得ることは難しいと思います。

 

助けていただいた、ご支援をいただいた団体様へはきちんとメリットを返さなければ!

 

連携・協働をするうえで大切にしていることは?

いかに情報と人脈を得るか、が大事だと思います。

地域交流会の「にしよどリンク」、「大阪市社会福祉協議会 地域こども支援ネットワーク事業」の連絡会にはできるだけ顔を出すようにしています。また大阪府内のこども食堂、子ども支援団体の中間支援事業「こどもの居場所サポートおおさか※」に所属もしていますので、そこから情報をもらい、助成金を受けることもできました。

情報は貪欲に取りに行きます。けれど、使える情報か、ということや、どの情報とどの情報がつながるか、ということをいつも意識しています。

※一般社団法人 にしなりプレーバープロジェクトが行う事業のこと。

2018年、「休眠預金等活用法」の施行に伴い、2020年から全国で順次事業が展開されている。2020年~2022年度の3年間に渡り、助成を受けながら助成期間終了後も自立的な事業継続を見据えて実施する。

資金分配団体:一般社団法人 全国食支援活動協力会のこども食堂サポート機能設置事業

 

―資金にしても、物資にしても、支援してもらったなら相手にきちんとメリットを返さなきゃいけない―。これは設立当初からのポリシーです。

活動資金を得るため、クラウドファンディングもチャレンジしたことがあります。私の思いに共感いただいた、たくさんの方々から当時、助けていただきました。

それもあって、“恩返しをしたい!この団体を支援して良かった!と思ってもらえるように頑張ろう!”という気持ちが強まりました。

まずは、他の団体様もされているように「〇〇いただきました公表」。資金、場所、物品等、ご支援くださった団体様が地域でいいイメージを持ってもらえるように、チラシに具体的に団体様の情報を掲載するようにしています。またご支援くださった団体様が、事業やイベントをされる際、どちらかがお手伝いに行ったりする等、とにかく「していただきっぱなし」にならないように心がけています。

『くるるは利用価値がある!』―他の団体にそう思ってもらえるくらいの働きをしたいですね。

 

『くるるに居てるんなら大丈夫やな!』親や学校に認めてもらえる居場所に!

 

今後の抱負は?

この出来島を「あ、あのおっちゃん、おばちゃん知ってる!」と、どの子も言えるような地域コミュニティにすることが夢なんですよ。

くるるはその中心に位置する居場所でありたいです。

だからこそ、子どもが多くの時間を過ごす場所である学校の現状は知っておきたいし、学校運営の側面も知ったうえで、学校のこと、先生方のお考えを理解しておきたい。それにはいち保護者としての立場だけでは無理!ということで、私たちそれぞれが小学校、中学校のPTA役員に自ら立候補して、活動しています。

PTA活動を通じて学校との対話を積み重ねることで、「地域が子どもを育てる」共通の価値観のもと、互いに共感しあえる関係性、信頼関係を構築したいと思っています。

ゆくゆくは先生に、くるるに来て、ぜひ見ていただきたい。子どもたちの笑顔、子どもたちの頑張りを。

…極端な話、子どもが学校に来ていなくても『くるるに居てるらしい!それなら大丈夫やな!』と親や学校に認めてもらえるような居場所をめざしたいです。

 

記事作成:株式会社アクセプト