市民活動ワクワクレポート内容

【先駆的なNPO連絡会の取り組み】

生野区には57のNPO法人があり、そのうち29団体が加盟(令和4年7月現在)する「生野NPO連絡会」が毎月活動を行っている。ミッションが異なるNPOがその枠を超えて「生野区」という同じフィールドで情報交換。互いに訪問しあったり、講師を立てて研修会を開催。さらには行政に提案書をまとめ意見交換し連携を進めている。

この日は年次の総会。

結成から会をけん引してきた代表の「呉光現さん(聖公会生野センター)」は
『地域や行政は「よろず屋(何でも屋)」、NPOは「専門店」。互いに力を出し合うことの大切さを結成から丸6年言い続けてきた。これまでもこれからも生野のまちをつくっていきたい』と述べ、この日をもって「勝井操さん(出発のなかまの会)」に代表がバトンタッチされた。

 

 

その後の「研修会」をハイパーセミナーとして公開開催し、学んだテーマが「マイクロモビリティとまちづくり」なのだ。生野区のNPO法人の連絡会は、なぜこのテーマを選んだのだろうか?

 

(会場の舎利寺中央公園会館では、連絡会以外にも西淀川・港からの参加者がともに学んだ)

 

【マイクロモビリティとまちづくり】

研修会の講師は川辺友之さん(Open Street株式会社 プラットホーム統括 エリア開発部)。
シミポタ運営事務局のつながりから会の了承を得て講師を引き受けていただいた。

「マイクロモビリティ」とは「小さい電動の移動手段」で「ラストワンマイル」と呼ばれる「駅から家まで」をどう移動するかを考えたもの。元は「大手通信会社」の社内ビジネスコンペで優勝した内容が事業化されたのだそうだ。
「シェアサイクル(自転車)」から始まり「電動バイク」「電動車いす」「電動自動車(EV)」そして「バッテリー」そのものもシェアしようという取り組み。6年前からのスタートだが全国60を超える自治体と連携し「シェアサイクルポート」は5,000か所と拡大している。

【埼玉県の事例:小型電気移動手段が太陽光で充電され、シェアされる理想形】

【大阪市の事例:広がるシェアサイクルのポート(電動自転車)】

現在も「オンデマンドバス」などの社会実験も継続されている生野区のように「交通網」の弱さがあり課題がある地域の需要にはぴったりはまる。さらにこの取り組みは「脱炭素」「美化」「空スペース活用」「雇用創出」「SDGs」「ビッグデータの活用」と万博に向けた次代のキーワードとつながり「まちづくり」そのものを考える話となる。
「まちづくりにつながる話なのです」との声掛けに、活発な意見、質問が飛ぶ。会終了後も意見交換や、講師に質問する姿も。

終了後「生野区NPO連絡会」としてこの取り組みへの担当が決定。NPOが多くつながっていることを「スケールメリット」にしながら、積極的に取り組んでいくことになり、次回打合せも決定した。

参加者に話を聞く。

一番興味を持ったことは?

「シェア自転車の適正配置や、バッテリーのメンテナンスなどが地域に雇用を生み出すこと」(宋悟さん「クロスベイス」)
「EVでの移動手段が高齢者や、障がいを持った方の移動に使えそう」(隅田耕史さん「フェリスモンテ」)
「韓国ソウルでは行政との連携がさらに進んでいる。そんな事例も参考に」(高泰洙さん「国際友好促進会」)
と皆が自身の得意分野で「自分事」として取り入れようとしていた。ここにNPOの強さを感じる。

 

【誰もが暮らしやすいまち】

生野区のNPOがなぜマイクロモビリティを学ぶのか?
その答えは新代表となった勝井操さん(出発のなかまの会)の言葉に集約されている。

「発足当初から参加している生野区の多様なNPOの他からの学びを、これからも長く続けていくために代表を交代しました。いろんな団体との協働、ネットワークをつなげながら『誰もが暮らしやすいまち』に力合わせ進めていければ!」

1,000日後に迎える「大阪・関西万博」

各地でそれに向けた取り組みが活性化していく中、生野区のNPOはこれまでもこれからも『誰もが暮らしやすいまち』をめざし、専門性を活かしつつ連携、そしてさらに新たなネットワークを広げていく。注目だ!

 

【この取り組みの連絡先】

生野区NPO連絡会【事務局】大阪市生野区社会福祉協議会

06-6712-3101 iku-chikatsu@tune.ocn.ne.jp