市民活動ワクワクレポート内容
住吉区の山之内地域振興町会が中核となり、山之内社会福祉協議会の
組織と機能を母体として、設立。
多様な団体と有益な人材の意見を集積し、地域の住民が心豊かで、
潤いのある生活ができる、安全で安心な『すみよし町づくり』を、
住民共同参画の方向で推進することを目的として様々な活動を
展開されている山之内スマイル協議会のキーパーソンのおひとり、
女性部長・和田 勍子さんにお話を伺いました。
山之内スマイル協議会
女性部長 常駐地域支援相談員
和田 勍子さん
<主な活動>
防犯・防災、子ども・青少年、福祉、健康、環境、
文化・スポーツなどに関する活動
地元大学の学生ボランティア参画で、さらに価値を高めることにつながった
山之内「子ども食堂」
住吉区の中でも山之内ならではの特色ある子ども食堂※事業を展開されているとの
ことですが詳細をお聞かせください。
※子どもの貧困課題を地域で解決する施策の一環として位置づけられた事業。地域によっては地域交流など、
貧困対策だけに留まらない場合もある
山之内「子ども食堂」は、昨年スタートした事業で、「たべる」、「まなぶ」、
「あそぶ」をコンセプトに、月1回利用料100円で、単に食事の提供だけでなく
大人が勉強を見たり、一緒に遊んだりして“触れ合うこと”を強みとしています。
ここでいう大人とは大阪市立大学のアルティメットサークル颯和(さつな)の
学生たちで、宿題を見るだけでなく、自主的に問題作成やプリントの準備などにも
対応してくれています。アルティメットサークル颯和(さつな)とは他にも
連携しています。
山之内に住んでいる子どもたちを地域で育てることを目的に、毎年「あいあい
あい祭り」というイベントを山之内小学校で行っているのですが、それでご一緒
した際、「子ども食堂」に関心を持っていただき、ぜひ参画したいと申し入れて
くださいました。
今では30名以上に上る学生ボランティアの中から、毎月ローテーションで
4~5人ずつ山之内「子ども食堂」のスタッフとして参画してくれています。
大学生の若い力、私たちの知識と経験…互いに助け合い、地域の子どもを支える
大学生に参画してもらって良かったことは何ですか。
子どもはとにかく元気。あちこち走り回りますので、私たちの年代では
子どもの安全を確保するという点では不安があります。そうした面から、
大学生の若い力を貸していただけるのは本当に助かっています。
また、反省会にも自主的に参加してくれて、意見交換もしています。
彼らのこうした姿勢はとても有難いことですので、少しでも彼らの有益な
経験の一助となるようなればと思っています。
行政施策と地域で自主的に行ってきた高齢者の見守り活動をドッキング
山之内スマイル協議会と行政との具体的な連携事例と、いきさつを
お聞かせください。
高齢者の見守り活動です。
もともと地域の高齢者の見守りを自主的に行ってきた基盤が山之内地区には
あるのですが、災害があった時の支援と日頃の見守り活動を一緒にしましょう、
という大阪市の新たな施策と連携し、住吉区と共に平成27年から本格的に
取り組み始めて現在に至ります。
具体的には住吉区で作成された、支援が必要な方の名簿をお預かりして、
日頃の見守り活動と繋げた活動をしています。施策と連携した活動をする
前から数えると、見守り活動はすでに5年目になります。
見守り活動の“狭間”を行政の施策で埋められるのでは?
行政との連携メリットを実感
見守り活動をされるにあたって大切にされていること、そのための
工夫をお聞かせください。
支援する側であるボランティアにできるだけ負荷をかけないことです。
負荷がかかると長く続けることが困難になると思いますので、誰もが
無理なく、気軽にできることが大切と考えています。おかげさまで現在、
約50名くらいの地域の方が協力してくださっていますが、具体的には
ボランティアの自宅を拠点に近くの高齢者を見守る、という方法を
メインの活動にしています。
細やかに気にかけていても、“狭間”で何かが起きる事があります。
たまたま訪問しなかった時に具合が悪くなった…昨日伺った時は
お元気だったのに、ということが実際にあり、とてもにショックを受けた
ことがあります。それがきっかけとなり、数回行ってもお留守だった
という時は、すぐに地域包括支援センターに連絡をして所在確認を
必ずしてもらうようにしています。
子どもと高齢者、その家族など地域をつなぐ、山之内スマイル協議会事業連携
大阪市の別の事業につないで、既存活動における課題を解決されている
わけですね。ほかに、連携・協働など発展事例はありますか。
連携と言えば、地域のイベントとして、年に1回、「カレーまつり」を
実施します。
子ども食堂と見守り活動に関わるボランティアスタッフが連携して
地域を盛り上げる貴重な機会となっています。
介護予防の観点から、見守り活動の対象者で、可能な方は
沢山の人と触れ合う機会を提供さしあげたら、ということで、
子ども食堂事業と連携させました。
山之内を地域みんなで守り、住みやすいまちに。そのための環境づくりを整えたい
様々な活動による手応えなど、和田さまが感じておられる率直な思いを
お聞かせください。
確かに大変です。当然一人ではできません。皆さんが協力的に支えて
くださるからこそできるのです。みんなの力で、みんなが協力的に関わって
くださることを肌で感じ、それを誇りに思っています。
山之内をみんなで守っていかなくてはいけない。住みやすいまちに
していかなくてはならない。
そのためには高齢者も障がい者も子どもも、みんなで一緒になって
みんなで見守り合うこと。その環境を少しずつでも整えていくことが
私たちの使命と思っています。
課題を解決するための施策、地域は“隙間”を埋める。行政とは今後も積極的に
連携したい
最後に、これから先を見据えての思いをお聞かせください。
これら一連の活動に、ここまでいいという制限はありません。相手は人間で
人と人との向き合いです。それだけに次から次へといろいろな課題が出てきます。
先ほど申し上げたように、地域での孤独死に直面した事があり、その時に
このようなことがないよう地域で見守っていかなければと強く思いました。
住吉区には高齢者支援の事業所などはたくさんあります。でもサポートできる
時間には限りがあります。私たちは地域としてそんな“狭間”を埋めるお手伝いが
できないか、という観点で動きます。
お元気にされてるかな?と気にかけ、見守り、心配を感じたら行政につなぐ、
という橋渡しが今後も継続してできたらと思っています。
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【現場レポート:5月12日(土)「山之内カレーまつり」を見学しました!】
世代を越えて、漫才を楽しんだり、みんなで歌を歌ったり、大盛況でした。
参加者にふるまわれたカレーライスは優しい味で本当に美味!
ボランティアスタッフとして携わられていた大阪市立大学のアルティメット
サークル颯和(さつな)の女子学生に活動のきっかけを尋ねると、
満面の笑みで「もともと子どもが大好きなので、活動しています!」と
話してくれました。「見守り活動」、「子ども食堂」…代表的な地域事業を
組み合わせることで、高齢者、子どもたち、地域の人々の交流はもちろん、
支える側である福祉関連の活動団体、地元大学の学生ボランティア、
行政とさまざまな人たちが一堂に会し、協働する機会を生み出すことが
できるのだということを実感することができました。