企業×市民活動 コラボのススメ内容

このインパクト抜群の、子どもたちの絵が描かれたタクシー。これは、南大阪第一交通株式会社(以下、「第一交通」という)が「わが町にしなり子育てネット」と一緒に西成区民まつりへブース出展したペインティングタクシーです。このほかにも第一交通では、子どもが制服を着て実際に運転席に座る乗車体験、事業所内保育所の設置など、子どもに対しての取り組みを積極的に行っています。

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「タクシーは地域密着のサービス」社長が掲げる方針で地域をサポート

「わが町にしなり子育てネット」は、大阪市西成区で“いつでも どこでも みんなで 子育て”を合い言葉に、安心して子育てができる地域づくりをめざして、子育てサークルや保育所・園、施設、行政、病院、地域のボランティアなど多様な団体が集まるネットワークです。第一交通が加入したきっかけは、事業所内保育所のボランティアを探しに西成区社会福祉協議会に足を運んだことが始まり。それから区の子育て支援室とも繋がり、多くの団体と毎月会う関係になりました。

「社長が方針として地域貢献を掲げています。実はタクシーは地域密着のサービスなんですよ」と話すのは、所長の熊谷仁さん。例えば、関西空港の近くでは荷物の積める大きなタクシーが求められるなど、ニーズにも地域性があります。また、バスの廃止等で交通過疎となった地域では、自治体と連携しての乗合タクシーといった取り組みをいち早く進めてきました。ほとんどのドライバーが助産師指導の講習を受講している「ママサポートタクシー」や、保護者に代わって子どもを学校や塾へ送迎する「こどもサポートタクシー」といったサービスもその一つです。また、平成29年7月から設置している事業所内保育所も、待機児童が課題となっている都市部だからこその取組みです。

 

女性ドライバーが活躍できる場づくり

第一交通では女性を積極的に雇用しています。もともと男性色の強い職業であったタクシードライバーですが、働きやすさは社会貢献の一つと熊谷さんは考えています。取り組みが評価され、国土交通省の「女性ドライバー応援企業」にも認定されました。区役所からの紹介で相談に来た20代の母親を雇用したこともあります。

女性ドライバーは「私たちは普通の仕事をしているだけ」と言いますが、熊谷さんはその普通という目線こそが大事だと感じています。「お客様はやはりタクシーに気を遣っている。本当はそんなことを言う必要はないのに『近いところでごめんなさいね』と言う。その根底には、荒っぽい運転をしてほしくないとか、遠回りをされるんじゃないかといった心配と、敷居の高さがある。だけど、彼女たちはそのハードルを自然に下げてしまうんです。だからお客様に喜ばれます」と熊谷さん。

カーナビや配車アプリといった技術の進化も後押しとなり、外国籍の人や、若年層も積極的に雇用できるようになりました。例えば、ママサポートタクシーを利用していた女性が、今度は自分がサポートする側になりたいと、今はドライバーとして活躍しています。

 

必要としている人たちにサービスを届けるために

こういった取り組みを積極的に行う背景には、地域に求められる企業でありたいと考えるとともに、タクシードライバーをもっと開かれた職業にしたいという思いがあります。

業界全体でのドライバーの平均年齢は62歳。高齢化により数年先には働き手が枯渇することが目に見えており、担い手の確保が不可欠となっています。「タクシードライバーが就労の選択肢に入ってほしい。ただ、経営者によって考え方に差があるのも事実で、人を雇うだけ雇い、人材育成に取り組んでいない会社もあります。それでは質や安全が担保できない。」と熊谷さんは危惧しています。

質や安全を重視するのは、さまざまな事情によりタクシーを必要とする人たちがいるからです。例えば第一交通では、大阪市教育委員会と契約して、重度障がいの子どもたちの送迎もしています。「正直、事業としての採算は厳しい。でも生きるための手段としてタクシーを必要としている人たちがいるから、これも社会貢献と思っています。」と熊谷さん。

「タクシーは、障がいのある人や高齢者や妊婦さんなど、誰もが自由に動くための乗り物です。つまり、動かなければ意味がない。ドライバーを増やすということは、地域の必要としている人へサービスを届けるということなのです。」と熊谷さんは言います。地域の人たちを乗せて今日もタクシーは町を走ります。

(記事作成:大阪市社会福祉協議会)