社会課題と市民活動内容

「若い世代の町会加入率が減っている」、「担い手、スタッフの高齢化が進んでいる」…。このような声は以前から、地域運営や市民活動に携わる方々からお聞きすることがありました。地域や市民活動の担い手の慢性的な高齢化…今は大丈夫でも、将来を考えると、若い世代をどう巻き込むか、本気で取り組む必要がある大きな課題といえますね。

例えば、現在のコロナ禍における災害時の対応を想定してみましょう。インターネット・テクノロジーを使いこなすデジタルネイティブ世代ともいえる20代~30代の若い世代に住民への安否確認を始めとした運用を任せることができれば、情報の取得方法や共有方法なども大きく変わることでしょう。

さまざまな経験を持つ先輩世代の知恵と、若い世代の高いICTスキル、柔軟な思考が融合することで、新しい価値が生まれるのではないでしょうか。

コロナ禍において、中止せざるを得なくなった市民活動等も多い中、メッセージングアプリやビデオ会議ツールを介して、通常の対面式の活動をオンラインで実施する等、新たなアイデアがもらえるかもしれません。いかに若い世代を取り込むか、若い世代が入りやすい環境を整えるか。これは喫緊の課題であり、コロナ禍だからこそ発想を変えるチャンスでもあるのです。

そもそも若い世代の、ボランティア活動等を含む地域活動への参画意識はどうなのでしょう?

大阪府が行った調査結果(※1)によれば、「地域活動に参加している」と答えた人は26.8%、「今後とも参加したくない」と答えた人は31.7%と、参加していない(したくない)人が、参加している人の割合を上回っていますが(図表6-3)年代別にみると、18歳~29歳で「今後とも参加したくない」と答えた人が男性で50%、女性で48.4%にのぼっています。(図表6-3-1)

2人に1人は、もしかしたら地域運営や市民活動にとっての逸材かもしれないのに接点を持てない状況ということですね。

参加できない・したくない理由は「仕事との両立が難しい」38.3%、「参加したい活動がない」23.9%、「活動時間が合わない」20.6%となっています。

(図表6-5)

かなり厳しい数字ですね…でも視点を変えてみましょう。

「仕事との両立が難しい」という約4割の人が、「仕事と両立できる」方法に気づけばどうでしょう?

そこで注目したいのが、「プロボノ」という仕組みです。

プロボノとは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico(プロ ボノ プブリコ)」を語源とする言葉で、【社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かしたボランティア活動】を意味するとされています。

(認定NPO法人 サービスグラント公式サイト「『プロボノ』とは?」より引用)

プロボノは「職能を活かす」ことが入り口なので、仕事をしている人にとって参加ハードルが低く、取り組みやすい活動と言えるのではないでしょうか。

また、最近では多くの企業がSDGsの取組みを全社で推進するようになっていることもあり、社員がプロボノを通じて社会課題解決につながる活動を行うことは、本人のキャリアアップにつながり、やがて会社に還元されるとして奨励している企業もあります。さらに、コロナ禍でリモートワークも増え、余裕時間を世の中の役に立つことに生かしたい、という意識をもつ層も増えている状況…だから地域運営や市民活動を行う団体にとって、今が若い世代を取り込むチャンスと言えるのです。

この機会に、ぜひプロボノの仕組みを地域運営や活動に取り入れてみてはいかがでしょう?例えば地域課題解決のためにプロボノとして関わってくれる若手の募集・獲得プロジェクト。解決したい地域課題(テーマ)、何が必要か?何をすべきか?どんな職能を持った人のヘルプが欲しいか?といったことを広報するのです。しかし推進するにはノウハウが必要です。

プロボノを推進している団体はいくつかありますので、まずはそうした団体に相談、連携し、現場に行く、学ぶ、というところから始めてみませんか?

若い世代に限らず、これまで仕事以外では社会と関わりを持たなかった人たちの社会参加意識が芽生え、行動を起こす人が増えることは大歓迎ですね。

新しいメンバーとともに、既存概念にとらわれない、新たな市民活動のあり方を考えるチャンスともいえるのではないでしょうか。

  

※1 大阪府

男女共同参画社会に関する府民意識調査について(令和元年度)

6 「仕事」「家庭や地域活動」「個人生活」のかかわり方について

http://www.pref.osaka.lg.jp/danjo/danjo/huminisikityousa26.html

※地域活動:自治会、PTA、民生委員、NPOやボランティア活動と定義