社会課題と市民活動内容

「医療的ケア児・者の支援ネットワーク」活動をされている「WA!わっしょい」共同代表のおひとり田中美紀様に医療的ケア児及びその家族への支援の現状と課題についてご寄稿いただきました。

医療的ケア児支援法

「医療的ケア児とその家族を社会全体で支援しよう」という法律。

医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律として令和3年(2021年)6月に制定、同年9月に施行され、国や地方自治体が医療的ケア児の支援を行うことが責務となりました。(参考:厚生労働省HP医療的ケア児等とその家族に対する支援施策

大阪市ではホームページで「医療的ケアが必要なこども等への支援」を公開しています。

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【医療的ケア児って?】

医学の進歩を背景にNICU/PICU(新生児/小児集中治療室)等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養など医療的なケアが日常的に必要な子どもたちの事を指します。

『医療的ケア児』と聞いてどんな子を想像しますか?                       

身近に医療的ケアがある方がいらっしゃらないと、たくさんの医療機器でつながれ、寝たきりで、意思疎通の難しい子という印象が強いかもしれません。

たしかに、いのちや健康を維持していくために医療的なケアが必要ですが、そのケアの内容は多種多様です。

・ストレッチャーに乗り人工呼吸器や酸素で生命維持をしていてもお出かけが大好きで好奇心いっぱいの子。

・経鼻経管栄養で栄養摂取を補っているけれど元気に走り回りまわりのお友達と遊ぶのが大好きな子。

・胃ろうというお腹のボタンからお母さんが作ってくれたペースト食を注入してもらうのが大好きな食いしん坊な子。

・定期的に吸引や導尿が必要だけど車いすの操作が得意でおしゃべりが大好きな子。

医療的ケアがあるというだけで、中身はどこにでもいる個性的で多様な子どもたちです。

 

全国に在宅で生活している医療的ケア児は約2万人と推計されていて、大阪府下には少なくとも1757人の医療的ケア児が暮らしています。(令和4年度(2022年)の実態調査より)

 

【医療的ケア児の支援の実際と課題】

令和3年(2021年)に医療的ケア児支援法が施行され、『医療的ケア児』を法律上で定義し、国や地方自治体が医療的ケア児の支援を行う責務を負うことが明文化され、その後大阪府によって医療的ケア児の支援や暮らしの実態調査が令和4年(2022年)6月におこなわれました。

 

その中で、在宅の医療ケア児が

『通所福祉サービス事業所等を利用できていない、または利用していても不十分と考える理由』の質問(複数回答)に対し、

*年齢が集団生活に参加するにはまだ早い

34.0% 

医療的ケアが必要なことを理由に断られた

18.6

と続いています。

 

『サービス利用を希望したが利用できなかった理由』の質問(複数回答)

医療的ケアが必要なことを理由に断られた

34.2

*他の利用者で定員が埋まっていた

30.7%

*身近な地域に事業者がなかった

24.6%

この調査から見えてくるのは、医療的ケア児を受け入れる体制の整ったサービスの不足がいまだに続いているということです。

 

『医療的ケアを行うことになった時に困ったことや不安に感じたことは』の質問(複数回答)では

*介護者(保護者)に何かあった時に代替手段がない

55.4

子どもの急変時の対応

53.5%

*介護者(家族)自身の健康面

48.6%

多くのみなさんが困り感や不安を感じており、まだまだケアの負担は家族に重くのしかかっていることが調査からも見えてきます。

 

WA!わっしょいの交流会やおしゃべりサロンの中でも、ケア介護の日常の負担に加え、サービス・園・学校などの環境調整に大きな負担感を感じているという話題が多く聞かれます。

教育の保障、通園・通学先での付き添いの課題、きょうだい児のこころのケア、親の就労機会の喪失、18歳以降の課題、親の健康、親なきあとの問題、社会からの孤立と年齢やライフステージの変化とともに課題も多岐わたり多様に変化していきます。

また、頼りの綱の福祉サービスの享受にも地域格差があり、たとえ福祉サービスが受けることができる環境下にあっても、少し特殊な子育てと昼夜問わずいのちに関わる医療的ケアへの重圧や周囲と違うという孤独感などから家族の精神的な不安定さにつながることも少なくありません。

 

【出会う・つながる大切さ】

医療的ケア児は、そのライフステージを通して医療との関わりが深くなり、自宅や医療機関で過ごす時間が長く、外出の機会も限られがちです。

福祉サービスの変化などにより、同じような境遇の仲間と出会うことが難しい状況にあり、支えようとしてくれる「人」がいても容易に出会えない環境が壁となっています。

インターネットの発達で情報は得られる時代ですが、それでも孤立や孤独感を抱えてしまうことがあります。

仲間に出会い、支えてくれる「人」や「モノ」とつながることで、地域社会の中で「安心して暮らせる」「一人ではない」と感じられ、困難な日常の中でも、明日を生きる勇気と希望を持てるようになるのではないでしょうか。

冒頭に述べたように医療的ケアがあっても子どもたちの中身は、どこにでもいる個性的で・多様で・笑顔いっぱいの存在です。 

人とのつながり、ぬくもりは、直接会ってこそ感じられる温度があります。

私たちは、そうした出会いとつながりを大切にし、子どもも家族も楽しみ、笑顔で暮らせる地域社会を目指して活動しています。

仲間とだけではなく、地域のみなさまと出会える『場』『きっかけ』『時間』の創出に多くのみなさまのお力をお借りしながら一歩ずつ歩んでいきたいです。

 

【WA!わっしょいの名前の由来】

私たちの団体名大阪医療的ケア児・者支援ネットワークWA!わっしょい。「なんやそれ、変な名前やな」と思われたかもしれませんが、『WA!』という掛け声は3つの意味がこめられています。

 ◎当事者、家族、支援者が輪になる 『WA!』

 ◎みんながワハハと笑う笑い声の 『WA!』

 ◎社会に地域に暮らす一員としての調和の 『WA!』

そして、『わっしょい』という掛け声には医療的ケア児の子育てや医療的ケアが必要な人の生活を支える事は1人だと本当に大変な事だと思いますが、たくさんの人で『わっしょい!わっしょい!』と支え合えば、その負担は少し軽くなる!そんな社会を目指してつながりたいと考えています。

 

【WA!わっしょいの活動】

・nanacara薬局とZOOMを併用したおしゃべりサロン(毎月第3月曜日)

医ケアっ子おしゃべりサロン

おしゃべりサロン 在宅での医療的ケアもっと安心・安全に

・LINE ツール等を活用し交流、相談、情報発信

・交流会・見学会企画

クリスマス会(2024.12)

・各種学会・イベントへのブース出展

第28回日本在宅ケア学会(2023.11)

 

・勉強会・セミナー・イベント企画運営

スペシャルニーズのある人の災害時の食事どうする?(2025.3)

 

・各種勉強会・研修会等に講師、アドバイザー派遣

・全国医療的ケアライン(アイライン)の大阪の窓口

 

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