市民活動ワクワクレポート内容

手作りキャンドルで夜空を彩るイベントを始めて3年。若い世代の力を引き出しつつ、縛らない組織づくりで地域をつなぐイベントを開催する南恩加島まちづくり実行委員会 会長 山下 忠司さん、 副会長 林 武士さんにお話を伺いました。

 

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南恩加島まちづくり実行委員会

会長   山下 忠司

副会長  林 武士

 

地域のみんなでピクニックに行こう!子どもも大人も楽しめるイベントを!

南恩加島まちづくり実行員会ではどのような活動をされていますか?

 

3年前に「なんおんピクニック」を初めて開催しました。出店やバザーとあわせて地域の子どもたちも参加するキャンドルナイトのイベントです。子どもたちに、「まちの中でピクニックを楽しんでもらおう」という趣旨で実施しましたが、2年目からはキャンドルナイトをメインにし、今年度、3回目を開催しました。子どもたちを中心に、地域の皆さんが作った数百点のキャンドルが夜空に浮かぶ幻想的なイベントです。初年度は、まち全体で費用を工面しましたが、企画によっては助成金がもらえることを知り、2年目からは3年間の助成金をもらって実施しています。

他には「地域の運動会」も恒例の企画行事となっています。この運動会は、16町会を4つのブロックに分けて競い合う構成で、子どもから高齢者まで楽しんで参加していただいています。

 

みんなの手でイベントをつくる!そこからつながる心。

「なんおんピクニック」「キャンドルナイト」を実施するきっかけは何でしたか?

 

地域の青少年指導員の集まりで話が発展しました。若い人たちを中心に実行委員を組織し、意見を出し合う中、「見に来てもらうだけではなく参加できる企画にしたい」ということで、出店だけではなくキャンドルを自分たちで作って飾ろう、ということになったのです。PTAや女性会の方々にも協力していただきました。

実施にあたっては、実行委員会がすべてお膳立てをするのではなく、準備のプロセスから全員に関わってもらうようにしました。そうすることで、参加者みなが主体的に、積極的に動いてくれました。キャンドル作りは、休日に小学校の体育館を使わせてもらい、2,000枚のトレーシングペーパーを準備して子どもたちに自由に絵を描いてもらいます。キャンドルの土台はカップやペットボトル、牛乳パックなどを使いますので、大量に集める必要がありますが、みなが率先して収集に協力してくれただけでなく、集めた後も、切ったり、組み立てたり、色を塗ったり、自ら得意な役割を担ってくれました。

子どもたちの絵ができると、ろうそくやLEDで輝き方を確認したり、カップに色つきの養生テープを巻いたり、試行錯誤しながら完成していきました。初めての時は、やってみて、試してみないとわからないことばかりでしたね。子どもたちには、基本のやり方を教えるだけでしたが、描いたものと照らしたものとが違うことに子ども自身が気づいて、「もっといいものにしよう」と真剣に取り組んでくれました。納得いく作品ができた時の子どもたちの顔を見ると、私たちも本当に嬉しくなります。そして灯りがついた瞬間のみんなの笑顔は最高です。作業を通して、みんなの心がつながっていきました。

 

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五感で感じて記憶に残ることをともに体験する。そして地域のつながりが深まっていく。

イベントを始めてから地域活動の変化はありましたか?

 

キャンドルナイトでは音楽も楽しんでもらいます。ハーモニカの演奏やオカリナの演奏、そして地域の「フロイデ」という合唱団の第九の合唱。目で、耳で、体全体で、五感で感じるイベントを体験する、しかも自分たちが主体となってやる、という体験をしてほしかったのです。子どもたちに記憶に残るものを、という思いからでした。こうした体験を積み重ねていくことで地域への愛着も生まれ、地域のみんなで協力した楽しい思い出、そこから生まれたつながりはきっと先々、地域の絆を強くしてくれると思います。そして三世代がまとまって参加できるイベントとして「運動会」も始めました。それぞれの4つの地域=ブロック対抗という構成にしている事で回を重ねる毎につながりが深まれば、安全や防災にもつながります。時代が変わっても、ずっと変わらないものはあるはず、そのひとつが人とのつながりだと思います。家族と、そして地域のみんなと同じ体験をすることでつながりが深まっているのだと感じます。

 

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縛らず縛られず。ゆるい役割分担と本音で話せる場づくりで継続する活動。

どの地域もイベントなどの担い手が高齢化しています。南恩加島では若い世代に入ってもらうためにどのような工夫をされていますか?

 

地域のイベントは様々な世代の人たちが一緒にやるのが良いと思いますが、問題はそのやり方ですね。体制をしっかり組んでしまうと却って難しい、あまり縛ってしまってはだめだと私たちは考えています。若い人には好奇心もあるし、一生懸命やってくれます。ただ、物理的な時間の問題があります。生活がありますから、もちろん仕事優先にしなければならない。私たちは時間がありますから、平日の昼間は、私たちができるだけのことをやって、若い人にはできる時間でやってくれたらいい、空いている時間や土日にできる範囲でやってくれたらいい。そんなふうに互いの立場や状況を理解しあって緩い役割分担をしています。だからやりやすく、続けてもらえるのではないかと思っています。また、場をつくることも必要ですね。青少年指導員の集まりや宴会で、意見を自由に言える場があったからこそ、このイベントが実施できました。「昔はこんなことやっていたよね」、「一緒にみんなでやっていたけど忘れていたね」、「またやってみたいよね」・・そんな何気ない会話がきっかけで、3年続いています。肩肘を張らなくていい、意見をくみ上げられる場づくりは大切だと思います。

 

シンプルにまちづくりを推進していく

今後の活動の展望をお聞かせ下さい。

 

まちづくりに関わる組織はたくさんあり、メンバーや活動がかぶっていることが多々あります。まちはひとつなのに、さまざまな団体が複数あってややこしくなっています。私たち南恩加島では、まちづくり実行員会を頭にして一本化してやっていきたいと考えています。地域のみんなとつながり、みんなで活動し、助けあう仲間意識を醸成することを目的に、シンプルにやっていくことが継続の秘訣だと思っています。

2019年はキャンドルナイト4回目です。今回まで助成金をもらえますが、2020年からは自費と寄付金で実施します。運動会も5回目を数えます。まちのみんなで、自分たちで続けていくことを目標に頑張ります。