市民活動ワクワクレポート内容
特別養護老人ホーム ラヴィータ・ウーノ×此花区社会福祉協議会
此花区にあるGarden Terrace 舞洲キッチンで、普通の料理イベントではなく、“環境設定さえ整えば、何歳になっても認知症があっても輝ける”というコンセプトのもと始まった“てへぺろキッチン”に参加し、イベントを主催した特別養護老人ホーム ラヴィータ・ウーノ(以下「ラヴィータ」という)の中川さんにお話を伺いました。
認知症なんて関係ない!!何歳になっても輝けるしくみって?
認知症を抱えている人がホールスタッフを担っているので、「注文をとり間違える」「注文した料理とは違う品がくる」「次の料理がわからない」ことがあるかもしれない。それでも愛嬌たっぷりに、まちがいがあっても、てへっと照れ笑いを浮かべ、ぺろっと舌を出すホールスタッフの面々。ちょっとした失敗は許し合い、今より少し寛容な社会を作ることも目指す不定期レストラン、それが『てへぺろキッチン』です。
この日の参加者は80人で、満席でした。各テーブルに担当のホールスタッフがつき、注文とりや配膳をしてくれます。料理はGarden Terrace 舞洲キッチンが提供。普段は、ハーフビュッフェスタイルなのですが、そのままではメインディッシュの時にしか関われないので、中川さんがGarden Terrace 舞洲キッチンに「コース料理のようにして全ての料理提供をホールスタッフに任せるようにしたい」と相談したところ、レストランの協力もあり実現したそうです。実際にコースが進んでいく中で、次に何の料理を運べばいいのかわからない場合、お客さんが「次は〇〇ですよ。」と教えているところも見られました。お客さんもお店を作る一員となっており、とても素敵な活動だと感じました。
きっかけは東京で!?どのようにして始めることができたのか
立ち上げのきっかけは東京で行われた“注文をまちがえる料理店”です。Facebookで初めて見たときに「楽しそうだな」と思い、此花区社会福祉協議会(以下「此花区社協」という。)の職員に相談すると共感が得られ、準備が始まりました。しかし、人・金・場所に課題がありました。此花区社協職員の協力により、企業2社(ケーエスケー、クラフト)から協賛を得たのと、グッズを製作、販売したことでお金を捻出し、当日の人手も上記の2社に加え、ボランティアグループの協力もあり、何とかクリア。場所も、Garden Terrace 舞洲キッチンに飛び込みで交渉するところから始まり、会場を無償提供してもらえることになりました。「20名までなら可能」と言われていたのが、前回で40名の参加。今回はラヴィータ以外からもホールスタッフを募って全員で20名のホールスタッフが集まり、レストラン全面協力のもと、完全貸し切り、80名の受け入れが可能となりました。
“何歳になっても輝いてもらうために大切にしていること”とは
てへぺろキッチンは、“お客様もお店を作る一員となってもらい、ホールスタッフができることは全てやってもらうが、もし分からなくてもお客様が手助けしてくれることを少し待ち、それでもできない場合に初めて専門のスタッフが支援する”ことを大切にしています。「各ホールスタッフの充実した『疲れた~』を引き出せるイベントにこれからもしていきたい」と中川さん。今後、てへぺろキッチンのように誰でも何歳になっても輝ける場所が増えることに期待したいです。