市民活動ワクワクレポート内容

特定非営利活動法人Deep People

 

特定非営利活動法人Deep Peopleは、社会問題解決に取り組むとともに、社会に貢献する人の育成をめざす活動を実施しており、特に個人や企業、団体の協働を支援する取組みを進めています。活動についてスタッフの中尾榛奈さんにお話を伺いました。

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「デザインは社会課題を解決する力がある」

設立のきっかけは、法人代表の牧 文彦さんが芸術系の大学でデザインを教えていた時に、「学生にデザインはカッコよさやきれいさを表現するだけではなく、社会課題を解決する力があることを教えたい」と考えたことでした。今で言うところの“デザインシンキング”を取り入れ、最初に出した学生への課題が、その名も「スマイルプロジェクト」。環境問題をテーマとし、消費者が購入し使うことでエコを促進する商品はどのようなものか作成することを課題にしたのです。このことを始めに、デザインの力で様々な社会課題に取り組むため、NPO法人を立ち上げました。

 

未来を創り上げる人材を育てる「未来価値創造大学校」とは

Deep Peopleの事業のひとつが「未来価値創造大学校」です。自ら未来を創り上げていくことのできる人材を育てることを目的としており、大学と同じで4年間に124単位以上取得できます。個別指導による実践型カリキュラムで、一人ひとりに合わせて学ぶことができる仕組みです。もともとは高校を中退した子どもたちのために設立しましたが、今では小学生から社会人、企業研修生、留学生まで受け入れています。

食品ロス問題を考えるカードゲーム「食べ残しNOゲーム」は、この未来価値創造大学校に通っていた当時小学6年生の男の子が考案し、商品化されたものです。外食産業の食べ残しを未然に防ぐ解決策の仮説を立て、彼が好きなカードゲームにすることで、楽しく学んでもらうことを提案しました。企業等へのプレゼンテーションの結果、ゲームの製作資金を集めることができ、多くのボランティアの協力を得て商品化を実現したのです。このゲームは、2018年に「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門 消費者育成部門」でキッズデザイン協議会会長賞を史上最年少で受賞しました。現在では、小中学校、高等学校や大学、企業への企業研修や講座でも活用されています。

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合言葉は“おいしく食べて社会貢献”

また、Deep Peopleでは、商品開発や啓発活動をデザインの力を活かして行い、福祉団体と企業とのコラボレーションを実現することで双方の弱点を補い、収益性が高く社会貢献ができる協働事業を生み出す支援をしています。その一つが「ソーシャルミールプロジェクト」という、“おいしく食べて社会貢献”を合言葉に飲食店と福祉施設、お客様が幸せに繋がるプロジェクトです。これも未来価値創造大学校に通う研修生の発案で、福祉事業所で生産された無農薬の野菜などを飲食店のメニューに組み込むことで、お店は社会貢献がアピールできる、福祉事業所は障がい者の工賃アップにつながる、お客様は無農薬でおいしい料理が食べられるうえ社会貢献ができるという、三者にメリットがある事業としました。ひとつの店舗では販促に限りがあるので、「ソーシャルミールプロジェクト」として推進し、成果をあげています。すでに多くの企業と福祉事業所がプロジェクトに加盟して活動しています。「この仕組みを今後も展開していきたい」と中尾さん。

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問題解決のためのデザイン力と、企業とのつながり

未来価値創造大学校は担い手を生み出していくとともに、企業が研修生または講師として関わることで、幅広いつながりもでき、さまざまなプロジェクトにプラスの効果が生み出せています。

「私たちが大切にしていることは、社会に貢献する人の育成と『デザイン』です。 私たちは『デザインする』ことを『かっこよく、かわいく、きれいに見せる』ことだとは考えていません。『デザイン』は、その目的・機能・用途を考え『問題を解決する』ことです。」と中尾さんは話します。今後の展開として、社会課題解決のために始めたプロジェクトも多岐に渡っているため、大阪だけではなく海外にも活動エリアを広げていきたいと、未来へ夢は描かれていきます。

(記事作成:大阪市社会福祉協議会)