市民活動ワクワクレポート内容
サンクス平尾×大正区社会福祉協議会
沖縄の文化で賑わう商店街「サンクス平尾」(大正区)の中には、地域の人たちが集まる「いこいの場」があり、さまざまな催しが行われています。今回は「いこいの場」の管理をしている青果店「フレッシュフード藤本」の藤本全己さんと、大正区社会福祉協議会(以下「大正区社協」という)の宮村明美さんにお話を伺いました。
ローテーションで変わる催し物の数々にはどんなものが!?
「いこいの場」では2か月に1回、大正区社協、安房リハビリデイサービス、たのしい家大正、西大阪訪問看護ステーション、西村総合介護サービスの5団体が協力し、ローテーションで地域住民にさまざまな催しを行っています。この日は大正区社協がビンゴゲームと口腔体操を行いました。ビンゴゲームのテーマは大阪市24区で、参加者が好きな区を書いてビンゴをします。大阪市の大きな地図を用いて、どこに何区があるのか、何が有名なのかを学びながらのゲームとなりました。口腔体操では、食べ物を上手に喉の奥まで運ぶ一連の動作を鍛えるための、発音による運動“パタカラ体操”を取り入れるなど、歌って踊って楽しく体を動かしました。
「いこいの場」として使用しているスペースは、商店街が大阪府の助成金を受けてリノベーションし、机、黒板、椅子は、商店街内の団体に無償で作っていただいたものです。
子どもの未来、地域の見守り、商店街にできる役割とは
この「いこいの場」の活動のきっかけは、3年前に大正区社協が平尾小学校の4年生に福祉教育で車いす体験を行ったことです。小学生が車いすを押しながら商店街で買い物をしているのを見た藤本さんは、その場で指導していた大正区社協の職員に「福祉教育のように、小学生の将来に影響を与えるような、福祉に触れるきっかけ作りを商店街でできないだろうか」と相談しました。
まずは活動にあたり空きスペースを商店街が提供し、当初は大正区社協が相談ブースとして使っていましたが、その後話し合う中で、2カ月に1回催しをすることになりました。これは「住民が社協や介護事業所のことを知るきっかけになればと思ったからです。この活動をきっかけに、私たちには見守りの役割があることを意識するようになりました」と藤本さんは言います。例えば商店街でいつも同じ物を買っていて認知症かもしれないと思われる人がいた時、本人に直接話しかけることは難しくても、宮村さんのような福祉の専門職の方を知っていれば相談することができます。宮村さんは、「私たち専門職と地域住民が自然に顔を合わせる機会になるので、お互いに声をかけやすくなります」と期待を寄せています。
今後については「この活動を長く続けることで、『何をやっているんだろう』と関心を持ち参加する人たちがどんどん増えてきたらいいな」と宮村さん。藤本さんは「活動の動機にもなった、子どもが参加できる催しなど、活動を広げていきたい。『いこいの場』が活性化することで、商店街に新しい店ができたり、参加した人たちが新しい刺激を受ける場になるなど、商店街が地域のために何かできたらいいですね」と思いを語ります。地域住民を第一に考えた商店街の小さなスペースから、次は何が生まれるのか注目です。
(記事作成:大阪市社会福祉協議会)