市民活動ワクワクレポート内容
田中地域活動協議会 × 大阪市立田中小学校
毎月第1土曜日に、港区田中地域の田中会館で開催されている「田中食堂」では、ご来店される方とスタッフも合わせて300人もの地域のみなさんが食事を楽しむ姿が見られます。スタッフには、手慣れた包丁さばきのベテラン主婦やPTAの方々、地域住民、可愛いエプロン姿の小学生も、女性も男性もみんなエプロンを着けて、いきいきと楽しそうです。なぜ、このような幅広いスタッフが大勢お手伝いに集まってくるのか?田中食堂とはどのような食堂なのかを、田中食堂代表の結城陽子さんにお話を伺いました。
大勢の地域住民が楽しみにしている食堂
田中食堂のコンセプトは「老若男女だれもが笑顔になれる居場所づくり」とのことで、2年前の4月から続けてこられました。1階は食堂で、20名以上のスタッフと小学生ボランティアが数名。メニューの基本は「カレーライス」ですが、季節に応じて「ちらしずし」や「冷やし中華」「ハヤシライス」など、豊富なメニューがあり、毎月スタッフのみんなで決めています。みんなで自由に意見を出し合える雰囲気がこの田中食堂の明るさの源のようです。
「すまいるひろば」は笑顔のお花畑
2階の「すまいるひろば」は、赤ちゃんから小中学生までの子どもたちが、それぞれ将棋や囲碁、トランプやオセロ、ぬりえやブロックなどをして遊べるスペースです。バルーンアートのボランティアを招いて作り方を教えてもらえるイベントもあり、それを楽しみに来る子どもたちも多いとのこと。幼児連れのママたちも安心して集える場所になっています。
また、学習できる部屋もあり、子どもたちが宿題や漢字検定のプリントを持ってきて、お兄さんお姉さん先生が教えてくれています。
始めの一歩
地域では、元々「高齢者食事サービス」の事業をしていましたが、担い手の高齢化と人手不足を解決するために、担い手とサービスの対象を“だれでも”と広げたのが始まりでした。
小学生ボランティアが始まったきっかけは、田中小学校の教頭先生から「小学校の児童たちに田中食堂のような場所を、職場体験の第一歩として経験させていただけませんか?」という依頼を受けたからでした。昨年の9月から5・6年生に参加希望者を募り、10月からスタッフとしての活動が始まりました。一度に活動するのは5、6人で、受付、配膳、洗い場などで一生懸命に頑張る姿が見られます。「しんどかったけど、またやりたい」「運ぶときにドキドキした」「お年寄りにほめてもらって、うれしかった」など、やりがいを感じている様子が伺えます。
進化する食堂
“だれでも仲間に入ることのできる 自由で明るい人間関係“がここにはあります。地域で所属している団体や、年齢の壁が無いのが魅力です。たくさんのスタッフがいる中で、代表の結城さんは自分の役目を「それぞれが得意なことを発揮できる居場所を作ること」と言います。ご飯を炊く人、受付をする人、飾り付けをする人、個々の特性を活かして笑顔でいきいきと活動でき、「次も頑張ろう」となるようです。田中食堂が賑わっている要因は「一致団結して、お互い笑顔になれることを大切にしています」と結城さん。毎月第一土曜日に田中会館で食堂ができる。毎月決まった日(第1土曜日)に地域の方が気軽に集える「居場所」を提供でき、 PTAや地域のあらゆる組織から参加してくれる「スタッフ」がいて、子どもから高齢者、親子連れなど幅広い年齢層の「来店者」がいる田中食堂は、「地域の食堂」として理想的な場所でした。
最初は100名だった来客数も、現在は250名を超えて地域に根付いた活動になっています。今後は、もっとスタッフを増やして、活気ある地域の居場所づくりを長く続けていきたいという壮大なビジョンがあるそうです。今後も田中食堂の活動に注目です。
(記事作成:大阪市社会福祉協議会)