市民活動ワクワクレポート内容
コーディネーター:NPO法人チュラキューブ
認定NPO法人サービスグラント
サポート:大阪ガス株式会社 近畿圏部
中間支援の立場で相談対応をはじめ、さまざまな団体への支援を行う2つのNPOと、企業の社会貢献が連携・協働して立ち上げた「Reスタート」プロジェクト。
キーパーソンのひとり、NPO法人チュラキューブの中川 悠(はるか)さんからお話を伺いました。
コロナ禍ジレンマにお悩みの団体向けの課題解消&アドバイス番組をYouTubeで配信
「Reスタート」とは?
コロナ禍の先が読めない今、活動再開に向けて動き出したいけど動き出せない…そんなジレンマを抱える社会活動団体(NPO法人、一般社団法人、任意団体など)を対象に、一歩を踏み出すために役立つ情報やアドバイスを発信する「場」をつくろう!と、立ち上げた緊急企画です。
この7月から9月にかけて、YouTubeで5回シリーズの番組として生配信を行いました。
情報・アドバイスを発信するにあたり、
●コロナ自粛を乗り越えた先駆的な団体を取材し、伝えていこう!
●団体の困りごとを、専門家からレクチャーしてもらおう!
この2つの考え方を軸に、1回につき1団体の現場取材とインタビュー+1専門家からのレクチャーという2部構成として、毎回多彩なゲストの生の声に触れられるよう工夫しました。まだまだ、新型コロナウィルスの影響で先が見えない中で、より多くの団体の参考になればと思い、YouTubeの大阪ガス広報部の公式チャンネルにてアーカイブ(録画配信)を公開中です。
ひとつでも多くの団体のために、中間支援の立場から今、何ができるだろう?
活動を始めたいきさつは?
コロナ禍は対面での支え合いによる活動が中心の社会活動団体にとって、大きな打撃となりました。
地域の集まりはことごとく中止、事業も中止や延期となってしまった中、緊急事態宣言の期間中はとくに「活動をスタートするキッカケが見つからない!」「ボランティアが集まらない!」「活動資金の獲得に困窮している!」といったご相談を、個人的によくお受けするようになりました。
このプロジェクトは大阪ガスの近畿圏部にサポートいただいていますが、担当をしてくださったソーシャルデザイン室の南さんとは社会貢献に関して共感しあえるソーシャル仲間でもあります。彼女も同時期くらいに地域やNPOなどから個別に相談を受けられていました。
私たちが多くの声を聞く中で、今、全国の団体が必要としているのは「活動再開」に関する情報と、懸念される「第2波対策」等の具体的なアドバイスではないかと思うようになりました。
コロナに関する情報はテレビや新聞、ネットなどで簡単に知ることはできますが、自分ゴトに関連した情報はなかなか手に入らない。対面でつながれない今だから、仮に活動を継続している団体がいたとしても、その人たちが現場でどんな工夫をしているのかを見に行くことも、知ることもできない。
「現場の“今”を伝える」―ここにきっとニーズはあるはずだと思いました。
南さんといろんな議論をする中で、コロナ禍で困っている全国の団体を応援する企画として、オンラインを活用したアクションを一緒に起こしましょう!という話になり、プロジェクトがスタートしました。
いくら思いが強くても自分の力だけではどうにもできなかったプロジェクト
どのようにして連携・協働を進められたか?その秘訣は?
ステップ1 共感しあえる仲間と一緒に「今、できることはなんだろう?」を考える
ステップ2 自分たちにはない知見やスキルをもった人に相談をする
ステップ3 やりたいことの方向性や手段をみんなで決め、まとめる
ステップ4 まとめた資料で社内調整をいただき、大阪ガス近畿圏部の協力が決定
ステップ5 ・登壇団体の現地取材・映像制作
・専門家とのウェブ会議の実施
ステップ6 YouTubeの大阪ガス広報部公式チャンネルからのシリーズ生配信と録画配信
秘訣は、課題に対していかに自分が何とかしたい!という熱い思いを持ち続けるか、いかに共感しあえる仲間を増やしていくか、そして適材適所ですね。
最終的に全国どこからでも、いつでもアクセスできるYouTubeの公式チャンネルを提供いただく調整を進めてくださった大阪ガスの近畿圏部の南さんには心から感謝しています。社会貢献に関する取り組みの歴史が長い企業でもあるので、スピード、推進力に改めて感嘆しました。
サービスグラントの堀さんに相談をしたのは、彼女が私以上に現場の細かいことに精通され、寄り添った支援をされているから。堀さんは地域活動協議会など、地域運営に関する知識も豊富ですし、なにより、言葉の1つ1つを大切にする丁寧な伝え方がコーディネーターやファシリテーターを務めていただくのにピッタリ。長い付き合いの中で、「ひとつでも多くの団体を 支援したい!」という熱い気持ちが私たちと同じだと感じていました。
またYouTube生配信となると、映像編集などのスキルを持った人の存在も欠かせません。
サービスグラントのサポートをしている永野さんにも協力していただき、全員が同じ思いを持ちつつ、それぞれの立場や強みを活かした効果的な連携ができたことが良かったですね。
もし今も立ち止まっている団体がいらっしゃるなら、いろんな人と悩みを共有して、まずは動いてみる。動くことで見えてくるものがあるはずだと思います。
不安もあるけど、やるべきことをやってみた。結果、見えてきたものがたくさんあった
反響、成果は?
今回登壇いただいた団体の皆様から共通した反響として“コロナで先が見えなかったが、がんばったら課題が見えたし、新しい方向性も見えた!”という声が全員から聞くことができて、とても嬉しかったですね。
コロナ禍のピンチをチャンスに変えた事例として、きっと参考にしていただけるのではないかと思いますので、ぜひアーカイブをご覧いただきたいですね。
https://www.youtube.com/channel/UCMGYfWOvSZuWuISqnsFJ2LA
(アーカイブ配信は視聴期限2021年3月末までの予定)
また他企業の社会貢献担当者からの問い合わせなど、同じ立場の方からの反響が出てきているようです。企業の巨大なマーケットや商品・サービスと社会貢献とが効果的に融合すればいいですよね。例えば営業と社会貢献が互いにWIN-WINなタッグを組めるとか、企業発展と社会貢献が両立できるご支援ができればいいな、と夢を持っています。
社会活動団体が継続すれば、地域で困っている人たちの未来を支え続けることができる。
そして、私たちが動き続けることは、社会の無関心を関心に変えることができるはず。
最後にメッセージを!
この先、元の生活に戻るか?と問われれば、個人的な意見としては戻ると思っています。今回はコロナの影響で、「ニューノーマルだ!」「社会を変えよう!」との風潮で皆が社会全体に関心を持っていますが、コロナはあくまで緊急事態。経済活動が回復すれば、社会と自分とのつながり、とか、支え合い、助け合い、といったことに対する関心は徐々に薄れ、元に戻っていくのではないかと思います。社会に対して世間が無関心にならないためにも、地域の中で暮らす人たちをいろいろな角度から支えていく社会活動は、1つでも多く継続してほしい。私たちは、これからも、その再始動のキッカケとなる情報支援ができればと思っています。
今回は対象団体がオンラインでつながる、という手法をとりましたが、人間は本来、密な生き物だと思っているので、オンラインですべてが片付くとは思えません。
本当に困っている人には会いに行くしかないし、今まで思いつかなかったような新しい方法が現れるかもしれません。
今回、「Reスタート」で登壇した団体が同じように語っていた「走りながら考える」。その勇気を大切にしながら、新たな課題やニーズを掘り起こし、未来を明るくする発展的な活動につなげていきたいです。
記事作成:株式会社アクセプト