市民活動ワクワクレポート内容

・「JA」×「大学」×「企業」×「地域活動者」

 

【「口」は食べるため、そしてしゃべるためにある!】

「おいしい!」「ここにそのお米、入ってるの?」
「このちょっと食感が違うのがそうかしら?」
「言われないとわからないねぇ」
暑さの残る9月に開かれた「WE(うぃまい)米試食会」での感想である。
参加者には事前に「特別なおコメ」が含まれていることをお知らせして食べていただいた。

 

この試食会 には関係者(大学・企業・生産者)はじめ、私たちの呼びかけに応じて、マスコミ、地域の方、子ども食堂や学習支援の市民活動をされる方など多彩な「口」が集まった。
そしてまずは試食!メニューは主役のWE米が入った「夏野菜カレー」

試作を作ってくださったのは「樟蔭女子大学」の管理栄養士をめざす女子大学生たち。
健康栄養学部の松田美久子講師に指導を受けながら、主役の「WE米」の少し硬く感じる独特の食感をカバーできる料理を考え抜いて臨んだ。

「おいしい!」 「思ったよりも食べやすい!」の次は
「ではどうやってこのお米の魅力を伝えるか?」

カレーを堪能した「口」が今度は活発にアイデア の「言葉」を発し始める・・・

 

 

【WE米とは?】

そもそも主役の「WE米」とはどのようなお米なのか?

カレーの写真にも見える少し黄色っぽいお米 。
ぷちぷちとしていてごはんとしては少し固めの食感がある。

「もち米の突然変異の固定化」つまり偶然に生まれたものだが、
2019年産学連携(JA北大阪・大阪公立大学)により栽培法が確立してきた。
そうして積極的に栽培し研究対象になるには理由がある!この「WE米」は

『食後の血糖値の上昇を抑える』
『継続摂取により血中の中性脂肪を下げる』
『食物繊維の効果で腸内環境を改善する』

【参照】we米 | JA北大阪 (ja-kitaosaka.or.jp)

といった機能を持っているからだ。

「消化しにくいでんぷん(難消化性でんぷん)が含まれているため、食べてもエネルギーになりにくいうえ、食物繊維(※1)が豊富、さらにγオリザノール(※2)もたっぷり!」(中屋博士・大阪公立大学食品プロセス工学研究室客員研究員)

(※1)食物繊維量の測定はAOAC2011.25法による。

(※2)γオリザノール→米糠などに多く含まれ生活習慣病の予防や改善に役立つ。血管を広げて血行を良くする効果があるほか、善玉(HDL)コレステロールを増やして悪玉(LDL)コレステロールを減らす効果があるとされる。

これが田んぼで育つ「米」に自然に含まれているからすごいのだ!

身体のためにたくさんの「補助食品」を補給するのではなく、普段に食べる「米」にそれが含まれていたならば・・・

 

【生活習慣にしたい!】

別の日は「ナシゴレン」にして食べてみる。

食物繊維の量は白米だけのごはんだと少ないが、今回提案があった「WE米」入りのカレーや、ナシゴレンでは、入っていないものに比べより多くの食物繊維を摂れるのがうれしい。

現在、JA北大阪や加工会社がタッグを組んで販売や加工の方法を検討している。
生産者は安定的に「WE米」を生産し、大学の研究者はその機能をより明らかにする。

近年、人類を悩ませる「生活習慣病」は「生活習慣(食生活、運動習慣、休養、喫煙、飲酒など)の乱れ」が原因。
ならば、このコメ本来に含まれる機能を活かし、日々の食事にWE米を取り入れることで、
自然な形で不足している栄養素を摂取でき、体質改善に寄与できるのではないか?
『生活習慣を改善する!生活習慣米(せいかつしゅうかんまい)って名前どうかな?』
『生活習慣にするおコメ!ええやん!!』
といったアイデア も出てきた!『絶「口」調(ぜっこうちょう)』である!

 

学生たちからこんな提案も。

この「WE米」を「米粉」にして、それをさらに焙煎すると・・・

なんと!ほぼ「きな粉」と同様の「色」「食感」となる。
それを使って「フィナンシェ」を「小麦粉」を使わず(グルテンフリー)作ってみた!

しっとりとして味わい深く!おいしい!!
小麦 にアレルギーがあり、ケーキなどが楽しめない方でもOK!
こんな「WE米」の可能性も見出すことができた!

 

 

【今回の仕掛け人は?】

今回「WE米」を通じての多彩な連携協働を仕掛けるのは、退職後、大阪公立大学で研究をしている杉山さん。長年、食品製造企業で務めた経験と人脈、地域活動(地元町会・まちライブラリー・外国にルーツを持つ住民支援・子どもへの学習や食事など居場所支援)で杉山さんとつながった人たち!そして私たちシミポタ。どんどんと輪を広げ、可能性を広げている。

試食会の会場は杉山さん提供の「民公館(みんこうかん)」。公がつくる民のための施設ではなく、民がつくる公な施設、という意味だ。

「ここは誰もがつながる場所。そんな場所から地域のため、世の中のためにオモロイ大阪の加工品が出来たらええですね!」と笑顔で語る。

 

機能性満載の「WE米」の試作料理の旨さは、料理の腕だけではなく、この多様性ある和やかな「場の雰囲気」も「加味」されている!
そんな連携の現場から新たな「もの」が生まれてくるのだ。
ぜひ、今からチェックしてみてはいかがだろうか?

こうして繰り返し試されいずれ世に出るであろう「WE米」「生活習慣米」!

それが実現されるには「トライ&エラー」の長い時間と、様々なジャンルの「連携協働」が必要となる。店頭に、食卓に並んで、わたしたちの「口」に入るその「食品」「加工品」はそんな努力のたまものなのかもしれない。

恥ずかしがり屋で「似顔絵」で登場の杉山さん(上)。

試食会が行われた「民公館」は「まちかど図書館3388」としてもOPENにされている。

【今回の取り組みの連絡先】
snitodoku@gmail.com
「まちかど図書館3388」