市民活動ワクワクレポート内容
「LGBT」や「LGBTQ+」という言葉自体の認知度はここ数年で急激に高まり、もはやほとんどの人が「知ってるよ」という時代になったのではないでしょうか?
LGBTQ+当事者は、日本国内人口の約9%。左利きの人や血液型がAB型の人と、ほぼ同じ割合です。それにもかかわらず、多くの方は当事者と接する機会がほとんどないのではないでしょうか?また、言葉としては認識していても、「LGBTQ+」や「性別違和」に関することを実際どれくらい知っているでしょうか?
講師紹介
今回一緒にセミナーを企画し、お話をしてくださったのは、Life hospitality management service代表の山﨑あおいさん。ご自身もLGBTQ+の当事者で、当事者と非当事者の意見交流会を定期的に開催するなど、当事者を支援する活動をされています。
きっかけはシミポタ記事の執筆依頼
山﨑さんと知り合ったのは、シミポタの「社会課題と市民活動」記事の執筆依頼がきっかけでした。
山﨑さんの記事:「当事者としての市民活動を通じて感じる、LGBGTQ+の現在地」
山﨑さんは仰います。「当事者のほとんどは、自らカミングアウトしたいと思っていない。自分の身体のことを出来るだけ知られないように生活している」
そのため、山﨑さんが定期的に開催している意見交流会も、当事者のプライバシーに最大限配慮して、クローズドな狭い会場で小規模で行われているそうです。
山﨑さんは、「一番大事なことは、非当事者が当事者から直接話を聞いて、正しい知識や認識を持つことだ」という問題意識を強く持っておられます。
そこで、シミポタ運営事務局と連携して、オープンな場所で誰でも参加でき、何でも質問できる場を作ろうと開催したのが、今回のハイパーセミナー『「場のインクルーシブデザインを考える」 ~男女の垣根を超えた場づくり~』です。
会場は、大阪市都島区、NTT西日本敷地内にあるQUINTBRIDGE(クイントブリッジ)。広々とした空間で、館内をたまたま歩いている人でもフラッと参加できるような場所ということで、山﨑さんとこの場所を選定しました。
テーマ① 「性別違和」についての基本を正しく知る
このセミナーでの目的は、大きく2つありました。1つが、LGBTQ+という定義の基になっている、「SOGI」という考え方を始めとした、「性別違和」についての基本的なことを正しく知ってもらうことです。山﨑さんから詳しい説明がありました。「SOGI」については、8割くらいの参加者が知らないと回答しました。
私たち「多数派」も、「SOGI」の考え方の中で1つのグループに属しているに過ぎないということを理解していただけたのではないでしょうか?
テーマ② 当事者に直接質問をする
ある程度トークテーマを出しながら山﨑さんに質問をしていきました。参加された方からも、「お店のお客様で当事者と思われる方がいらっしゃるが、どのように接したら良いか分からない。」などの質問があり、山﨑さんがそれに対して本音で回答されていました。
テーマ①に盛り込みたい内容が多すぎて、時間の都合で山﨑さんへの質問は、残念ながら途中で打ち切る形になってしまいました。来場者アンケートでも、「もっと色々質問したかった」という意見が出ていました。
今後に向けた取り組み
今回、セミナー開催に向けて山﨑さんと打合せを何度も行いました。その中で感じていたのは、「頭や感覚ではどうしても(本当の意味で)理解できないこともある。それでも、対話を重ねていくことで少しずつ理解は進むし、対話を積み重ねるしかない」ということです。まさに、山﨑さんが記事に書かれていた「意見交流の重要性」を強く感じました。
今回のセミナーは、大きな会場で直接当事者と意見交換できる、大変貴重な場となったと思います。ただこれはほんの入口に過ぎず、こういう場が多く開催されるべきだと感じました。来場者アンケートでも、「このような場はもっとあった方が良い」という意見が出ていました。
シミポタとしても、時間配分やプログラムを見直したうえで、来年度以降で2回目の開催も検討しています。
また、山﨑さんが定期的に小規模な意見交流会を開催されていますので、興味がある方はそちらにもぜひご参加ください。
山﨑あおいさんが代表を務めるLife hospitality management serviceのページはこちら
当日のセミナーの様子は、ログイン限定記事で動画をご覧になれます。動画を観るだけでも大変勉強になると思いますので、ぜひシミポタにログインして動画をご覧ください。