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阿倍野筋に響く、再会から生まれた駐車場音楽祭

石橋 俊雄さん(73歳)はかつて15年間にわたり大阪市内で年に2回、音楽とアートを通じて人と人とのつながりを育む「アートの祭り」というイベントを開催してきました。しかし、その活動もコロナ禍によって一時中断を余儀なくされます。それでも心のどこかで「またいつか、どこかでやりたい」と願い続けていた石橋さん。そんな折、偶然にも小学校時代の同級生である森本 正道さん(73歳・株式会社千万喜)と、約60年ぶりに再会を果たします。

   小学校の同級生  左 森本さん 右 石橋さん

                                                                                    話が弾む中で、森本さんが所有する駐車場付きの倉庫の話題が出ると、石橋さんの中でアイデアが一気に広がりました。「その場所を使って、僕らが育った阿倍野筋で音楽イベントを開こう。街を盛り上げようじゃないか。」その提案に森本さんも快諾。こうして、ふたりの“再会”から始まった音楽プロジェクトが動き出しました。

          再会した頃の倉庫付きの駐車場の姿

                                                                      そして迎えた初回の開催。通りすがりの人が足を止めて耳を傾ける場面もありましたが、それはまだイベントというよりは、石橋さんが声をかけたごく身近な音楽仲間たちが集まり、演奏を楽しむ、どちらかといえば「内輪の音楽会」といった雰囲気でした。

              記念すべき第1回の様子

                                                             これはこれで十分に楽しかったそうですが、より多くの人に来てもらい、楽しんでいただける環境をめざして、森本さんは倉庫をリフォームし、ステージへと作り変えることを決意。イベント名称も「あべの筋路地ウラ音楽祭」と正式に決定され、毎月第3日曜日に開催されるようになりました。こうして、当初は身内の集まりだった催しが、地域に開かれたイベントへと進化し、次第に“音楽祭”としての色を強めていったのです。

                                                             そして2025年5月18日、「あべの筋路地ウラ音楽祭」はついに4周年を迎えました。
いまや会場には子どもから高齢者、そして外国人の方々まで、年齢や国籍を問わず、さまざまな人が集い、ともに音楽を楽しむ場となっています。4年間にわたって継続してきた中で、誰もが気軽に立ち寄り、参加しやすい環境づくりを追い求めてきた成果といえるでしょう。その日も、たまたま通りがかった高校生がそのままステージに上がって弾き語りを披露したり、地域の小学生たちが大人たちにウクレレを教えてもらったりする光景が広がっていました。

この光景こそ、石橋さんと森本さんが思い描いていた「地域に開かれた音楽祭」が、しっかりと形になっていることの証だと感じました。

                                                             石橋さんは、「人と人とがつながるということは、音楽でいうまさにハーモニー。みんなで仲良く音楽を楽しむことこそが、地域活性化につながるんです」と語ります。偶然の再会から始まった音楽祭は、今や人と街をつなぐ確かな場へと育っています。

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