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現在、兵庫県神戸市には約42000人の定住外国人が暮らしている。
なかでも多いのが、韓国・中国・ベトナムなどアジア圏の人たちで、定住外国人の約8割を占める。
日本で長期にわたり生活しながら日本国籍を持たない彼らの多くは、言葉の壁はもちろん差別・偏見による社会的ハンディを負い、さらに年金をはじめとする社会保障も受けられないなど、実にさまざまな問題を抱えている。
そんな彼らを20年の長きにわたり支援してきたのが、NPO法人神戸定住外国人支援センター(KFC)だ。
設立のきっかけは、1995年の阪神淡路大震災。
壊滅的な被害をうけた長田の地で、震災後に定住外国人の生活相談を行っていた団体と被災ベトナム人を支援していた団体が統合して、多言語による相談業務と日本語の学習支援を始めたのが最初だ。
その後、定住外国人のあらゆる問題に取り組み、外国にルーツを持つ子供たちの学習支援、在日コリアンを中心とする介護事業、中国残留邦人帰国者の支援など幅広い事業を展開。
「乳母車から棺桶の少し手前までトータルに支援している」と代表の金宣吉さん。
自身も在日3世で、かねてより定住外国人の困難をどうにかしたいと思っていたと話す。
「震災がきっかけではありますが、それ以前から定住外国人は日常的に多くのことに困っていました。
だから、団体の設立も災害の緊急対処的な支援を超え、彼らマイノリティための社会資本をつくりたいという一心で、自分がやらなきゃ誰がやるんだという思いでした」
外国人の問題では、たいてい異文化交流や多文化共生など「文化の相互理解」がキーワードになることが多い。
だが、金さんは定住外国人の問題はもっと根深いもので、それは格差問題でもあるという。
例えば、外国にルーツを持つ子供たちの低い進学率の背景には、親自体が思い通りの就職ができず、子供に学習環境を作ってあげられないという問題がある。
また、生活保護を受給するために家族と世帯を分け、独居にならざるを得ない高齢者も多く、その場合、経済面の厳しさもさることながら、孫と祖父母が接点を持てないことも一つの貧しさとなる。
「人が差別されるということは、いろんなものを失うということなんです。
民族衣装を着た文化交流で、互いの文化理解を深めるのは綺麗。
でも、それで圧倒的少数者である定住外国人の社会資源が充実するわけではなく、それは自分たちで一つひとつ作っていくほかないんです」
■団体概要 NPO法人神戸定住外国人支援センター
在日コリアンやベトナム人などが多く暮らす神戸を中心に、子供から高齢者まであらゆる世代の定住外国人らを支援。
デイサービスやグループホームなどの介護保険事業をはじめ、日本語の学習支援、子供の学習支援、アドボカシー提言に至るまで、日本に生活の場を持つ外国人の権利を守る活動を行っている。