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株式会社ミライロ(淀川区)

大阪市を中心とした今注目のコミュニティビジネス(CB)/ソーシャルビジネス(SB)の事例を順次ご紹介していきます 。

事業者の想い・取り組んでいる課題とその解決方法・今後の展望など事業のヒント、そしてCB/SBの魅力が満載の取り組みの記事を楽しんでください♪

 

 

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バリアフリーをビジネス化。
ユニバーサルデザインで新たな社会を創造する

 

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▶社会性と経済性の両輪を回し、ユニバーサルな環境づくりを提案

 

普段の生活の中で、よく見かけるバリアフリー。
駅やバスターミナルなどの交通機関をはじめ多くの公共施設では整備が進んでいるが、実は民間の店舗やサービス、製品のバリアフリー化はあまり進んでいない。
理由のひとつは、バリアフリーの取り組みには経済性が伴わないと考えられているからだ。

 

しかし、株式会社ミライロの代表を務める垣内俊哉さんは「バリアフリーは経済活動の一環としてやるべきこと。企業の利益にもつながる」と説明する。

 

例えば、年間5万人の障害者が訪れるレジャー施設の場合、その5万人のためだけにバリアフリーを整備すれば、企業の投資効果は限定的だが、障害者はなにも一人でレジャーに来るわけではない。
家族や友人、恋人など平均3~4人のグループで訪れるのが一般的で、5万人の3~4倍の来場者を想定すれば、施設の投資効果は決して小さくない。

 

「今、障害者は全国で約800万人と言われていますが、外出に不便を感じている人は障害者に限ったことではありません。
高齢者は約3000万人、ベビーカーに乗る3歳未満の子どもは約315万人で、その人たちを合わせれば4000万人超、つまり日本の人口の約30%を占めるマーケットがそこにある。
さらに、本人と行動を共にする家族や友人などを合わせれば、市場はもっと大きくなります。
これまでバリアフリーは、社会貢献や社会正義といった社会性の部分だけで語られてきた。でも、私たちはビジネスとして取り組み、経済性と社会性の両輪を回して、より多くの人たちが利用できる施設や製品を生み出していこうと思っています」

 

 

ミライロが手がけるのは、障害のある当事者視点を活かしたハード(施設や製品)やソフト(サービスや教育)のコンサルティング事業。
具体的には、ユニバーサルデザインを取り入れた建物・施設、プロダクトの提案やサポート、さらには障害者などへの接客方法を学ぶ独自の「ユニバーサルマナー検定」の実施などだ。
ユニバーサルデザインとは、国籍や男女などのあらゆる差異や障害・能力に関わらず、誰もが利用しやすいデザインのことだが、この「誰もが利用しやすい」がポイントだと垣内さんは言う。

 

「例えば、今、50室以上の宿泊施設では少なくとも1室はバリアフリーの部屋を設けることになっていますが、なかには部屋中にてすりが張り巡らされ、『これは病室ですね』と突っ込みたくなるようなものも少なくない。
障害者にはこれが便利なんだろうという思い込みがそうさせているのですが、その結果、過剰になりすぎて、家族はおろか障害当事者も使いたがらない。
大事なことは、みんながちゅっとずつ我慢して、誰にとっても使いやすい施設やモノであること。
その線引きを、私たちが経済性を加味した公平な立場から、時に過剰になりすぎる企業にブレーキをかけながら助言・提案していくことがミライロの重要な役割です。」

 

 

▶障害を強みに変える「バリアバリュー」という視点

 

会社設立は、2010年。
学生ベンチャーとして資金も経験もないゼロからのスタートだったが、5年目の現在は年商約1億円規模にまで成長。
助成金や寄付などに頼らず、あくまでも株式会社として事業収益にこだわり、今や「ユニバーサルデザインと言えばミライロ」と言われるまでに注目を集めるが、垣内さんは「最初からこの領域で起業しようと思っていたわけではなかった」と話す。

 

 

垣内さんは、先天的な骨形成不全症という病を抱え、長年、車椅子が手放せない生活を送ってきた。
高校時代には劣等感から「歩けるようになりたい」との想いが募り、地元を離れてリハビリと手術に専念。
様々な手を尽くしたが、想いはかなわなかった。

 

それでも仕方なく生きることだけはしたくない、歩けなくてもできることを探そう――。
そう思った先に、起業という選択があった。

 

「バリアフリーがどうとか、社会貢献したいとかではなく、何かデッカイことをしてコンプレックスを克服したかった。
ビジネスで儲けて健常者と同じ土俵に立ち、自分を好きになりたかった」

 

大学時代に始めたHP制作会社のバイトでは、一つの転機があった。
営業職に配属された垣内さんは、瞬く間に社長に次ぐ営業成績を上げ、社長からこう激励される。
「お前は歩けないことを悩んでいるが、車椅子だからこそお客さんに覚えてもらえるんだ。
それは営業マンにとって一番の強みだ、車椅子であることに胸を張れ!」。
その言葉をきっかけに、垣内さんは「歩けなくてもできること」ではなく、「歩けないからこそできること」を探し始める。

 

障害(バリア)を強み(価値)に変える「バリアバリュー」というミライロの経営理念が生まれた瞬間だった。
障害者であることは、確かにある面では辛い経験で、僕自身、十代の時には自殺も考えました。
でも、苦しかったというだけではない何かがあるのも事実。
例えば、車椅子の人は子どもの頃からどこに行く時も事前に下調べする習慣が見についていて、それは予め先を読み、安全な道を選ぶという経営者としての適性を備えるのに役立っていたかもしれない。同じように、障害があるからこそ社会に埋もれている問題も発見することができ、バリアバリューの視点で解決に導いていけると思っています。

 

 

▶夢は世界へ。ユニバーサルデザインを日本の誇りにしたい

 

実は日本はバリアフリーでは世界トップレベル。
障害者や高齢者がこれほど移動しやすい国は他にないという。
そんな中で迎える2020年の東京オリンピック・パラりンピックは、日本のユニバーサルデザインを世界に示す格好の機会となる。
ミライロの夢は今、世界に向けて広がっている。

 

「日本は最も早く高齢化社会に直面している国だからこそ、バリアフリーにも力を入れてきたのですが、東京オリンピックでは建物や施設の整備はもちろんですが、何より一人ひとりの”おもてなし”が重要になる。
障害者や高齢者に対して、いかにさりげない配慮ができるのか、
ユニバーサルマナーをもっと広げていき、世界に一つのお手本を示していきたい。
そして、モノづくりが日本の誇りであるように、ユニバーサルデザインが世界をリードする日本の誇りであり、それを引っ張っているのがミライロだという風にしたいと思っています。」

 

 

 

■団体概要 株式会社ミライロ

これまで福祉的な領域だったバリアフリーやユニバーサルデザインをビジネスマーケットとして捉え、障害のある当事者視点を活かしながら、従来の社会性に経済性を加味したハード・ソフトのコンサルティング事業を手がける。特に、東京オリンピック開催決定を機に、ニーズが急増。誰もが過ごしやすいユニバーサルな社会の創造をけん引する企業として注目されている。

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