事業者の想い・取り組んでいる課題とその解決方法・今後の展望など事業のヒント、そしてCB/SBの魅力が満載の取り組みの記事を楽しんでください♪
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世の中にはさまざまな社会問題があり、その問題解決に向けて第一線で取り組んでいる人たちがいる。そんな団体や企業などと協同で課題の本質を探り、「ヒト」「モノ」「コト」の関係をデザインすることで問題解決を目指すデザイン事務所――それがNPO法人Co.to.hanaだ。
例えば、事務所を構える北加賀屋の地で展開する「北加賀屋みんなのうえん」は、増え続ける空き地を有効利用した農園プロジェクト。
かつて造船業で栄えた同地域が衰退、街の活気が失われる中で、コトハナは地域内外の人々が共同で管理・運営する“コミュニティ農園”を仕掛けることで、空き地の有効利用だけでなく、今までになかった新たなコミュニティを創出。農作業をはじめさまざまな活動や交流を地域に生み出し、さらには野菜づくりの勉強会や料理教室などの開催により、多くの人を地域に呼び込んでいる。
代表の西川亮さんは言う。
「コトハナではクライアントの依頼通りにデザインする仕事はほとんどない。たとえチラシ制作の要望であっても、団体の想いやメッセージをじっくり聞き出し、必要な解決方法を一緒に考え、場合によっては協同で事業を興すこともある。
社会問題の解決に取り組む活動や想いの部分を、より多くの人に知ってもらえるようブランディングして、世の中にいいムーブメントを起こしていくのが僕らの大事なミッションです」
コトハナが社会や地域の課題解決にこだわるのは、西川さんの体験が大きい。
きっかけは、高校生の時に参加した建築家・安藤忠雄氏の講演会だ。建築デザインを通して、自分たちの住む街や社会のことを考える姿に、「大阪にもこんな人がいるんだ」と強い感銘を受けた。
大学時代には、安藤氏を真似て西日本中の建築物を見る旅に出かけたが、そこで気づいたのは建築物そのものよりも、その“ハコ”を地域の中でどう活かすかという視点の大切さだった。
「例えば、有名建築家が設計した建物を実際に使用している人は、すごく不便さを感じていたりする。
建築家が設計図を引いて『ハイどうぞ』という作り方ではなく、企画の段階から利用者や地域の人たちとワークショップや意見交換をしたりして一緒に考え、もっと地域の中で長く愛され続けるものを作る必要性があると感じました」
とはいえ、企画段階のプロセスに金銭的な価値をつけることは難しい。
どうすればいいかと考えている時に出会ったのが、「震災+デザイン(プラスデザイン)」というコンペだった。
テーマは「震災のためにデザインは何が可能か」という当時としてはかなり斬新なものだったが、西川さんらは被災後の限られた水の有効活用を目的に、飲料水と生活用水、排水を瞬時に識別できるトリアージタグを提案して最優秀賞を受賞。これをきっかけに、デザインの力で社会問題にアプローチする手法に大きな可能性を感じた。
また、2010年には阪神・淡路大震災を知らない若い世代に震災を考えるきっかけをつくる「シンサイミライノハナPROJECT」を立ち上げた。
これは、黄色い花びらの形をしたメッセージカードに、震災に対する想いや伝えたいことを書いてもらい、5枚を合わせて花のオブジェをつくるという仕掛け。
西川さんらは3カ月で3万枚以上の花びらを集め、神戸の街に黄色い花の風景をつくり出し、大きな反響を呼んだ。
こうしたプロジェクトを経て、西川さんはコトハナを設立。
「震災だけではなく、もっとあらゆる社会問題にデザインでアプローチしていきたいと思った」という。
★次回へ続く・・・・
■団体概要 NPO法人co.to.hana
社会問題の解決に取り組む団体や企業などのブランディングを手掛け、社会に発信。デザインの力で人に感動を与え、ムーブメントを起こすことで、地域や社会、世界の課題解決に取り組んでいる。
そのプロジェクトはチラシのデザインから町づくりに至るまで多岐にわたり、必要に応じた解決方法で、その活動や想いをデザインする。