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山本さんは、2009年、祖母の介護をきっかけに、介護福祉士の資格を取得した。
芦屋市に住み、西宮市のデイサービスで働いていた。
しかし、福祉業界にいる自身ですら、隣接自治体のデイサービス情報を得ることができない環境に憤りを覚え、これが、介護ライブラリを立ち上げるきっかけとなった。
「祖母は、かくしゃくとしていて、家族の間では、尊敬しなければならない存在でした。
『おばあちゃん』と甘えることができたのは、認知症が悪化してから。
祖母自身もプライドが高く、人の世話になるのはイヤで、デイサービスに行くことを亡くなるギリギリまで拒否していました。
少しでも元気な時に、これだけの情報を得られたなら、祖母は、好きなことを楽しんで余生がおくれたかもしれない。
そう思うと、今でも悔やまれてなりません」
山本さんの家族は、最初、認知症に対する知識が不足していて、どう接していいかわからず、祖母の繰り返す失敗を注意したり、訴えを無視してしまったこともあったそうだ。
そこで山本さんは、家族が少しでも「介護の悩み」を減らし、やさしい気持ちでケアできるように、デイサービスの情報だけでなく、介護の素朴な疑問に答える「介護のトピックス」や準備段階から丁寧に解説した「介護の始め方」、さらに介護を学びたい人への「全国の介護イベント情報」を発信している。
例えば「認知症の人にどんな声をかけてあげたらいいの?」
「『介護家族の会』ってどんなところ?」
「施設を見学するポイントは?」など。
漠然としていた情報を自身の体験と重ねながら次々と具体化し、忙しい介護家族でも扱いやすいノウハウに整理して発信したコンテンツは、アクセスも順調に増えている。
2014年3月にホームページを大幅にリニューアルしてからは、介護サービス施設からパンフレット制作や特集記事掲載(有料)で依頼されることが多くなった。
それが現在の主な収入源となっている。
『介護ライブラリ』では、要介護者のいる家族への情報発信は、これまで通り続けていきながらも、これから介護を始める世代への情報発信により力を注いでいく予定だ。
すでに、コワーキングスペースなどで行われる若者の集いやイベントの一環として、30-40代に向けて介護体験談やノウハウを語る機会も増えてきている。
これからの介護について、山本さんは「介護予防」の大切さを訴える。
「介護状態にならないようにするため、家族はどうすればいいのか。
そこを伝えていきたいと思います。
とくに私の場合は、祖母に認知症の兆しが出てきたとわかっているのに『歳だからしょうがない』と見過ごした。おざなりにしていたんです。
認知症になったら、こうなる。
その時、家族として何をしてあげられるのか。
その答えをもっと早く知っていたら、祖母の最後の10年が変わったかもしれません。
私のようなケースに陥る人を少なくしていきたいと思っています」
■団体概要 介護ライブラリ
西宮市、尼崎市、宝塚市のデイサービス情報を独自に収集し、ホームページを通じて発信。要介護者や家族が「選べる介護」を目指す。
介護の始め方、介護初心者がぶつかる疑問に対しわかりやすく解説するほか、
若者が集うイベントで代表自身の介護体験談を語り、「これから介護をする人」に、知識やノウハウを提供している。