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「暮らしづくりネットワーク北芝」が設立されたのは2001年。
被差別部落としての歴史を持つ北芝地区は、長らく貧困や差別と闘う解放運動が活動の中心だったが、90年代に方針転換。
阪神淡路大震災時の自主的なボランティア活動や地区外の住民と協働したまちづくりワークショップなどの経験を経て、
地域の課題解決を目指すさまざまな事業が生まれ、これからの活動を担う個人やグループを応援する中間支援団体として発足した。
当初は、高齢者の介護・閉じこもり予防を目的とした「まちかどデイハウス」や見守り事業など、高齢者福祉の活動を中心に支援。
2004年には遊休地を活用してまちづくりの拠点となる「芝樂広場」をオープンさせ、参加型のコミュニティカフェや子どもたちの居場所となる駄菓子屋、アートスペースなど多世代が活動できるさまざまな事業を生み出してきた。
また、2010年には人権文化センター(らいとぴあ21)の指定管理者となり、従来の市民活動の支援に加え、青少年教育事業や生活に困難を抱える一人ひとりに応じた支援を行う「パーソナル・サポート・サービス」などを実施。
誰もが安心して暮らせるまちづくりを幅広く展開している。
設立当初から関わる中嶋三四郎さんは、「それまでの解放運動では行政に支援を求める要求型のまちづくりでしたが、NPOという自主的・主体的な活動によって、外部も含めたさまざまな人との対話の中から自立的に地域の事業やサービスを生み出すことができるようになった。
まだ課題は多いですが、子どもたちの教育面においては、世代を超えて貧困課題が引き継がれる連鎖の問題が残っていて、その連鎖をどこかで断ち切りたいというのが教育の活動の大きな目標」という。
こうした中で、北芝では「らいとぴあ21(箕面市立萱野中央人権文化センター)の施設を中心にさまざまな教育事業を展開。
学校と言う環境から飛び出して誰もが学び直せる学習機会の提供や中・高生らの居場所づくり、さらには障害のある子どもを対象にした放課後等デイサービスなどを実施している。
また、夏休みなど学校が長期の休みとなる期間には、経済的困難や親の不在で十分な食事が摂れない子どもなどに格安で食事を提供する「ぴあぴあ食堂」をオープン。
子どもたちは1食100まーぶで食事を摂ることができ、みんなで食卓を囲みながら栄養あるご飯が食べられるという。
現在、北芝の活動は、地域住民がまちづくりのために積み立ててきた会費とらいとぴあ21の指定管理事業費によって賄われている。
これまでは創出した事業の多くが、地域の暮らしを支える公的サービスを担う側面が強かったことから、収益性についてはほとんどとわれなかった。
だが、「芝樂広場」の一角で収益事業として運営してきているコミュニティカフェの運営経験から、地域住民の会費などに依存しない自立的かつ持続的な団体運営を模索。
2011年には、地域で持続可能なまちづくりを行う会社「イーチ合同会社」を設立した。
同社では今年、ヘルパーステーション「いーち」を開設して介護事業を開始したほか、地域の「食」の事業を一本化した「ごっとうデリ」をオープン。
地域事業の継続を目標に、両事業をソーシャルビジネスとして成立させていきたい考えだ。
「合同会社の展開は持続可能なまちづくりのために地域でお金を循環させることが一番の目標なのですが、そうしたソーシャルビジネスの話に地域の若者たちも積極的に関わってくれている。
“まーぶ”も今はお手伝いで稼ぐことが中心ですが、将来は自分たちで店を出すなど子ども起業家みたいなものが生まれたら面白いなと思っています」と中嶋さんは語った。
■団体概要 NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝
箕面市萱野の北芝地域のおける課題解決のため、「暮らしづくり」に関するさまざまな活動を起こそうとしている個人やグループを支援。
子どもから高齢者まで、誰もが安心して暮らせるまちづくりを推進しているが、
なかでも子どもの貧困問題解決を目的とした地域通貨導入の試みはユニークで、多くの注目を集めている。