市民活動ワクワクレポート内容
東淀川区の大桐地域活動協議会では、現在18の事業を展開中。
その広報部長としてマスコットキャラクター「だいどうさん」が
地域のイベントで活躍しています。
住民に慕われるマスコットを起爆剤に、地域活動の普及や地域振興を
めざして様々な取り組みを行っている大桐地域活動協議会 会長の
松尾雅司さんにお話を伺いました。
東淀川区 大桐地域活動協議会 会長
松尾雅司さん
<主な活動>
防犯・防災、子ども・青少年、福祉、健康、環境、文化・スポーツなどに
関する活動
より住民に親しんでもらえる地域活動をめざして…マスコットキャラクターが
一翼を担う
地域のオリジナルマスコットキャラクターを作られたとのことですが、
どのような活動をされているのでしょうか?
大桐地域は11の振興町会があり、比較的大きな規模だと思いますが、
現在18の事業を展開しています。青色防犯パトロールや下校サポートで、
それぞれ90名あまり、更生保護女性会で36名の地域住民が活動して
います。
定期的に「ふれあい喫茶」や「いきいき百歳体操」、「大桐カーニバル」と
称する夏祭り、敬老会、小学校での「校庭キャンプ」など、様々なイベント、
防災訓練など、地域交流の場を企画運営しています。
それらの活動を住民にPRするマスコットキャラクターとして、
「だいどうさん」を考案して、着ぐるみも作りました。
「だいどうさん」には、地域活動の広報部長として、各イベントに
登場してもらい、広報活動を担ってもらっています。
より多くの住民に、地域に親しんでもらえる活動をめざしています。
若い世代が地域の主役になっていく…その可能性が感じられる大桐地域
大桐地域の特徴についてお聞かせください。
大桐地域には大規模マンション ベリスタ東淀川大桐があり、町内会に加盟
しています。若い世代が住民の中心で、700近い世帯で800名の小学生が
いますが、今後1,000人に増える見込みです。800名のうち400名がひとつの
小学校、大桐小学校に通っています。
また、戸建ての住民も、一旦は他の地域に出ていったものの、戻ってきて
住んでいる、というケースも多く、若い世代が多いのが地域の特徴だと
思います。
全国的な傾向である高齢化も確実に進行はしていますが、地域に愛着がある
若い世代が増えていくことで、世代交代がうまく進めば、地域の活動も
今以上に活発になるのではと期待しています。
小学生の一枚の絵から始まったキャラクターづくり
どのようなきっかけで「だいどうさん」を作られたのでしょうか?
大桐小学校創立50周年記念で、子どもたちに絵を描かせたそうです。
そのうちの一枚の絵が教頭先生の目に留まって、「地域のキャラクター
にしてはどうか」と、ベリスタ東淀川大桐の町会長 宮武さんにお話を
持ってこられたのがきっかけです。採用された子どもの絵は、大桐という
地名の「桐」をモチーフに、緑と黄色をメインカラーにした、まさしく
流行りのゆるキャラで、元気の出る、明るいイメージのキャラクターです。
製作は各地の着ぐるみを受注している会社に依頼をし、下絵をもらって
試行錯誤を繰り返しながら作りました。今や「だいどうさん」は地域の
イベントに欠かせない存在です。
イベントには引っ張りだこ、大桐地域の人気者「だいどうさん」
広報部長「だいどうさん」の活躍ぶりをお聞かせください。
地域のイベントに参加する以外に、昨年は「だいどうさん音頭」のCDを
製作しました。「だいどうさん」の発案者である教頭先生が作詞作曲して、
編曲を加えてできあがった曲で、プロの歌手に歌ってもらっています。
区役所の方からは、「そこまでやりますか」とびっくりされました。
舞台でパフォーマンスをするだけではなく、パレードをしたり、桐の葉を
モチーフにした紙の帽子をかぶって、地域の方と一緒に写真を撮ったりも
します。子どもたちは「だいどうさん」から離れないくらいの人気者です。
カーニバルでは地元の大阪経済大学の「はてにゃん」、東淀川区の
「こぶしのみのりちゃん」、そして「だいどうさん」と、それぞれの広報
キャラクター3体の共演を企画し、司会は「東淀川区住みます芸人」の
福人(ふくんちゅ)さんにお願いしました。また、区の異文化交流の際に
地元企業の方と知り合って、企業のイベントに「だいどうさん」の
出演依頼を受けたこともあります。
この2年で「だいどうさん」はかなり地域の住民に認知されるように
なりました。地域の顔としてどんどん売れっ子になってほしいと
思っています。
大学との連携が「だいどうさん」のさらなる活躍に結びつくか
地元の大学との協働は興味深いですね。具体的にどのように関わって
いるのでしょうか?
大阪経済大学の学生の皆さんには、地域のイベントに運営側として参画して
いただいています。吹奏楽部の皆さんに演奏していただいたり、
「だいどうさん」の着ぐるみを着てもらって、イベントを盛り上げて
もらったり・・。また、山本教授のゼミでは、「だいどうさん」を
これからの地域活性化のためにどう活かせるか、をテーマに研究発表を
してくださいました。
学生の皆さんからは、絵本を作る、Youtubeで発信する、ラインスタンプを
作るなど、若い方ならではの感覚、豊かな感性で、様々なユニークな
アイデアが出てきました。残念ながら、いただいたアイデアがまだ具現化
できておらず、今のところは、構想にとどまっていますが、アイデアを
実現できるよう、連携を深めていければと思っています。
関連し合う課題…チームづくり、広報、資金
地域の活動の課題と感じていらっしゃることは何ですか?
「だいどうさん」の認知度は上がっているものの、さらに活動を広める
策が具現化できていませんもっと「だいどうさん」をうまく活用して
地域活性化に取り組むには、チームづくりとともに、いかに広報をするか、
また、そのためにいかに資金づくりをするか、が課題となっています。
まず、チームづくりの課題では、例えば、「だいどうさん」をイベントで
出すには10名の人員が交代して着ぐるみを着るのですが、
長時間一人で着るには体力的に難しく、夏は10分が限度となります。
このような事情からも、イベント時に協力を依頼できるチームづくりが
必須となります。
広報は何を使って、誰に、どうやって告知するのか、が課題です。
若い世代にはSNSでの広報が必須ですので、現在はインスタグラムと
フェイスブックで発信しています。大学から提案のあったYoutubeもやりたい
思いはありますが、誰がどのようにやるのか、機材はどうするのか、という
問題があります。一方、年配の方も多いので、紙媒体の広報紙で回覧、という
昔ながらの広報もしています。紙媒体の場合、低予算で作ってこまめに出す方が
いいのか、多少お金をかけてもこだわった質の高いものにするのか、効果が測り
にくいですし、回覧するか、掲示するかによっても差が出てきます。
住民にいきわたる広報の方法は模索続きです。
そして、すべてに関わりますが、資金の課題があります。大桐地域は住宅街で、
小規模な商店は多いのですが、企業が少ないのです。企業が地域活動に貢献する、
寄付するというケースはまだ少なく、活動の資金は町会費の寄付でまかなわれて
おり、新たなことを行うには、十分な活動費が確保できているとは言えません。
3つの課題は関連し合っていますが、課題を乗り越えるための様々な工夫をする
中でも、地域の活動を継続していくための喫緊の課題は、最初にあげた「チーム
づくり」だと思っています。
「だいどうさん」は地域のつながりを深める出発点
これから先を見据えての思いをお聞かせください。
地域のマスコットキャラクターを作るという、他にあまり例のないことに挑戦し、
「だいどうさん」を作って広報部長にしたことは第一歩だと思っています。
それをもっと活かす、広めることで、地域がつながる、絆が深まると思います。
活かす、広めるためにはチームが必要ですが、まず住民同士、商店同士、
企業同士の横のつながりの場を作る、それがチームの根っこになっていくと
思います。そして住民、商店、企業、それぞれのチームがつながる交流の場が
あれば、地域の一体感が生まれていくと思います。もちろん大学もその交流の
輪の中に入って、産官学民が連携した場づくりを継続していくことで、
地域全体を盛り上げていければと考えています。「だいどうさん」は大桐地区に
関わる皆のつながりを、今以上にきっと深めてくれる存在です。
これからです。地域活性化の夢はつきないですね。これからは、外の情報や
アイデアなども取り込みながら地域キャラクターをきっかけに更に発展させて
いきたいです。
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だいどうさん