みんなの活動報告内容
特定非営利活動法人MSISKは、ゴミ拾いをきっかけに楽しい交流の場を築きながら、自然や環境問題に意識を向けるような市民活動を行っています。参加者やメンバーの才能を活かしながら、多彩な活動を企画していく原動力の秘密は?そしてそんなMSISKが直面したコロナ禍の影響について、代表の岩崎 拓海さんを取材しました。
ゴミ拾いを中心に多彩で柔軟な活動をされていますよね。しかも、今は21歳という若さでNPO法人の代表をされています。
活動のきっかけは、中学生くらいの頃に同期の友達と「田舎暮らしをしたいね」って話していたことです。その頃から自然や環境に意識が向いていましたね。実際にボランティア活動を始めたのは、高校生になってからです。
とにかく「社会に何か貢献したい」という思いだったんです。初めは募金活動に参加しました。その中で、せっかくボランティアをするなら、もともと興味のある環境に関わるボランティアをしたいという思いが強くなりました。MSISKのベースにあるのは、やはり環境への意識です。
現在、軸となっている活動はゴミ拾いです。どなたでもアクセスしやすい天王寺を中心に実施しています。ボランティアしたくてもなかなか参加できない…と思っている方でも、ゴミ拾いなら簡単に参加できますよね。また、天王寺は観光客も多く、海外との玄関口でもあります。日本人同士はもちろん、外国人と日本人の交流の場としてもこの活動は役割を果たしてくれています。
また、MSISKは子ども食堂も運営しており、集まった子どもたちが、さらに自然や環境にも興味を持ってもらえるように工夫をしています。子どもたちの心のすみっこに、海洋廃棄やエネルギーの使い過ぎについての問題意識があることによって、彼らが大人になったときに環境問題が少しでも解決に向かうようなアクションを取ってもらいたいと願っています。
ゴミ拾いに加えて子ども食堂などの居場所活動へという横展開は、環境問題に初めから意識を持っている人だけではなく、次世代の、しかもまだ環境意識を十分に持っていない子どもたちへ対象を拡げて行っているわけですね。
2020年初旬から拡大したコロナは、やはり活動に影響を及ぼしたのでしょうか。
第1回目の緊急事態宣言発令中の4月、ゴミ拾いの告知をしました。しかし驚いたことに、活動始まって以来の応募「ゼロ」だったんですよ。これは、事態は深刻だなぁと……。そのため、4~6月は活動を休止することにしました。ただそれ以降は、感染防止対策をしたうえで活動は再開しています。しかし、ゴミ拾い・子ども食堂・農園事業以外の活動については、今年度は一回もできていません。
コロナ禍の影響で参加者の活動の様子にも変化がありました。たとえば、以前はわきあいあいと会話しながらゴミ拾いに参加している方も多かったのですが、コロナ以降はソーシャルディスタンスを取ってばらばらにゴミ拾いをする方が増えました。また、大人数でゴミ拾いができないため、企業等が集団で参加される場合は、グループごとに分けるような工夫も必要になりました。
しかし、コロナ禍によるプラスの影響もあったんです。助成金をいただきアルコール消毒液等の備品に加えてパソコンを購入できたおかげで、メンバー間でも作業を分担できるようになりました。また、社会貢献をしたいという市民の思いが積もったのでしょうか、インターネットを通じて思いがけず寄付をいただける機会も増えました。また、J:COMさんが番組で私たちの活動を取り上げてくださったりもしました。その番組はコロナをきっかけに出来た番組だったので、これもコロナをきっかけに新しく生まれた出会いだと感じています。
アフターコロナになっても、今やっている活動を地道に続けようと思います。感染状況が落ち着いたら、今年度はできなかった企画を実現していきたいです。
このポータルサイトは、お役に立っていますでしょうか。
このポータルサイトが無かったら、そもそも活動できてないんじゃないかな…笑
本当に、そう思うほど役に立っています。同様の募集サイトは他にもいくつかありますが、8割くらいの方はこのポータルサイトをきっかけにボランティアに応募してくださっています。
年齢層は、意外と学生が多いんです。MSISKではボランティア活動証明書を出していることも魅力になっているのかもしれません。
団体からのメッセージをお願いします。
私たちの活動ポリシーは、「やらない善よりやる偽善」です。思ったことを言うだけなら、誰にとっても簡単ですよね。しかし、実際に行動に移すとなると、なかなか難しいものです。
多くの場合、行動に移すことで新しいことが見えたり理解できたりするものです。たとえば、私たちのゴミ拾いは天王寺から新世界付近にかけて行うのですが、ゴミの種類や量もエリアによって違うんですよ。私たちは団体として、天王寺エリアでの喫煙を禁止する政策へ提言を行ったりもしました。ゴミ拾いという活動を行うことで、普段は何気なく通り過ぎている道の上のゴミの様子を理解できる私たちだからこそできた提言です。
どんなことでも最初からすべて分かっている人はいないはずなのに、実行する前に分かった気になってしまったり、決めつけてしまったりしてしまいがちです。皆さんには頭で考え過ぎずに、まずは活動してみるということをおすすめしたいと思っています。
(インタビュー:特定非営利活動法人若者国際支援協会)
※このインタビューは、当法人に所属する大学生・高校生が実施しました。
コロナ禍の中、市民の生活を支えるボランティア・市民活動がどのように課題を克服し、活動に取り組んでいったのかを、団体の生の声からお届けします。