みんなの活動報告内容
10月6日(日)世界脳性まひの日に「福祉とメディア」をテーマにしたトークセッションを開催しました。
脳性まひの子どもとその親たちをサポートするNPO法人サードプレイス(https://thirdplace-npo.com/)が主催する、当団体オウンドメディア「共生マガジン INCL」公開を記念したイベントです。
障がい児団体が綴る文章によるピアサポートという新しい形のマガジンへの関心は高く、40人近い参加者がありました。支援者も当事者も混ざりあう観客の中には、愛知県から家族で駆けつけた当事者もいらっしゃいました。
10月6日【世界脳性まひの日】の啓発活動の一環
「今日10月6日は世界脳性まひの日なんです。そのテーマカラーが緑で、和歌山城とかグリーンライトアップされている施設もあるんですよ。」と口火を切るNPO法人サードプレイスの副代表東善仁さん。
しかし、東さんを含めた壇上の4名はみな黄色いお揃いのTシャツ。「サードプレイスのテーマカラーなので黄色を着ていますが、実は中にグリーンも着ているんです」とちらりとTシャツをめくって見せて、とても軽やかな雰囲気でイベントが始まりました。
前半はNPO法人サードプレイスや脳性まひについて触れながら、この日公開された「共生マガジン INCL」のコンセプトや目的の紹介がありました。
当事者のピアサポート、そして、障害児者が置かれた環境を周知し、社会の改善を目指すオウンドメディアへ
~届けたいのは、社会からこぼれ落ちそうになる、小さな、けれども誰もが耳を傾けるべき「声」~
「共生マガジン INCL」は、「当事者家族の本音を、生きる力にかえる」をコンセプトに、“当事者家族に向けた、文章によるピアサポート”と“当事者家族の問題を、社会課題として提起すること”を目的としています。
偶然にも、報道や編集、WEBデザインを生業とするメンバーが運営に集まったNPO法人サードプレイスにとって、念願のオウンドメディアです。
これまでにない、一歩踏み込んだメディアを目指す「INCL」。ロゴの「N」の斜め線の上が、よく見ると左の縦線に食い込んでいるのは、その思いを形にしたものだそうです。
オープンに際して、NPO法人サードプレイス代表中西美穂さんが書いた、「障がい受容」について3人の当事者の母にインタビューした記事が公開されました。
“障がい受容”とは障がいを受け止め、自分の中で向き合い、そして納得していくプロセスのこと。一言で言えば簡単ですが、葛藤、悲しみ、慈しみ、多くの感情がその背景には渦巻いています。
ともすれば、インタビューすることが苦しみの追体験となる危険もあります。しかし、当事者の語りが当事者を勇気づけ、生きる力となるということは中西さん自身も実感していること。
当事者が当事者に取材し、当事者だからこそ理解できる、共感できる点に重きを置いた「声」がそこには綴られていました。感情に流されたり、何かにおもねって脚色されたりすることないまっすぐな「声」に強い力と大きな可能性を感じました。
「INCL」の立ち上げには、ブリヂストン「BSmile募金」とこくみん共済coop「地域貢献助成」の助成を利用されました。今後は、NPO法人サードプレイスの関連組織である社会貢献型編集プロダクション「TREE’s」の事業として、寄付記事広告という形での企業の支援の下、障がい児の保護者、特に母親の就労支援としても取り組んで行きたいと考えているそうです。
福祉にとってのメディアのあり方を問う
~メディアが持つ力を信じる3人のクロストーク~
イベント後半は、すでにWEBメディアの運営にかかわっているgreenzの北川由依さん、KYOTO SCOPEの高木大吾さんをゲストに招いて、クロストーク形式で進められました。
登壇者は、メディア運営や編集をする上で聞きたいことを事前に上げ、それついてディスカッションするという形。
取材は何人くらいで行きますか?運営資金はどうしていますか?といった答えのある質問もあれば、取材相手の方の話言葉をどこまでそのまま使いますか?取材相手の方のトラウマにはどう向き合っていますか?といった登壇者のみならず、会場全体が深く考え込む質問も。
それらから生まれるトークのすべてが「メディアの役割」というところに収斂していくのが印象的でした。メディアには人ぞれぞれが抱える困難や悩みを軽くし、社会が抱える問題や不具合を是正する力があると信じて、実践されている3名の姿はとても力強く、頼もしく見えました。
「共生マガジン INCL」のこれからの発展がとても楽しみです。