みんなの活動報告内容
【シミポタ体験レポート】
介護を「快護」へ――介護を受ける人、支える人、その家族まで、すべての人がHAPPYになれる社会を目指して活動する【快護応援団】。
今回は、その代表を務める八田享子(やつだ たかこ)さんにお話を伺いました。
~介護の現場で感じた違和感が原点~
八田さんがこの活動を始めたきっかけは、介護の現場で抱いた疑問からでした。元気な高齢者がいても、安全第一の方針から座ったままでのラジオ体操、針仕事が得意な方から道具を取り上げるなど、本来持っている力を奪ってしまうような場面が多く見られたといいます。
「自分たち『介護士』が、逆に依存させる環境を作ってしまっている」との気づきから、八田さんは“元気な高齢者を増やす”ことをミッションに、介護職を一旦退職し、2021年に快護応援団を立ち上げました。ご自身の父親の介護や地域とのつながりの中で、「得意なことを持ち寄って助け合えば、介護は『快護』になる」という手応えを感じた経験が、背中を押したと語ります。
~「介護付き旅行」から始まった快護応援団の活動~
当時、介護士として10年目だった八田さんが『介護士付き旅行』という社会資源があることを知り、その素晴らしさを多くの人に知ってもらいたいと『介護士付き旅行』のPRを始めたそうです。
介護職が同行する「介護付き旅行」は介護保険外のサービスとして、旅行先でも安心して過ごせるようにサポートするため、高齢者の外出機会を広げることができ、「生活の質(QOL)」を向上させる効果がとても期待できます。
他にも、視覚障がいのある元板前が寿司を握るイベントや、障がい者・認知症当事者との交流会など、活動の幅は年々広がっています。
~足こぎ車いす「コギー」で広がる可能性~
数ある活動の中で特に注目したいのが、「道頓堀足こぎ車いすコギー体験撮影会」です。
「コギー」とは、足の不自由な方でも少しの力で漕ぐことができる足こぎ車いす。足を動かすことで身体機能の維持・改善に役立ち、さらに「自分で動けた」という自信が心の健康にもつながります。
八田さんは、四国での介護現場を紹介するニュース映像でコギーを知り、「大阪でも体験会を」と関係者に働きかけ、実現へとつなげました。
体験会は大阪・ミナミの道頓堀で開催され、警察の協力のもと道路使用許可も取得。高齢者や障がい者を含む多くの方々が参加し、「13年ぶりにこんなふうに動けた」「自分にもまだできることがある」といった感動の声が体験者やその家族から寄せられました。
コギーの仕組みは、人間の反射運動を活用した設計で、少し足を出すだけで次の一歩が自然に出てくるようになっています。無理のない動きの中にリハビリ効果を持ち、「楽しみながら身体を目覚めさせる」という点が大きな魅力です。
八田さんの想いに共感した映像クリエイターの協力により体験会の様子をこちらの動画から観ることができるのでチェックしてみてください。
現在、この体験会は始まったばかり。継続と発信が今後の大きな課題ですが、八田さんは「この感動をもっと多くの地域に届けたい」と力強く語ります。
~「介護」を明るく語れる社会に~
快護応援団が大切にしているのは、「難しい言葉を使わず、誰もが助け合える関係を築くこと」。形式ばった相談窓口ではなく、雑談の中で自然に悩みを拾い、支援につなげることです。
介護の話題が「つらくて暗いもの」ではなく、「明るく前向きに語れるもの」へ。
制度にとらわれず、地域で支え合う“新しい介護のかたち”を、快護応援団は示しています。
現場での悩みなどを常に感じ、どのような支援に繋げられるかを考えるために現在は色々な施設で生涯現役のフリーランス介護士として活躍されている八田さん、そして【快護応援団】の活動を今後も応援していきたいと思います。
取材・記事作成:シミポタ運営事務局(大山 智現)
【快護応援団情報ページ】