企業×市民活動 コラボのススメ内容

大阪市24区中、企業(製造業)密度2位という工業集積地である東成区。そうした区の特色を活かし、平成30年3月、東成区で事業を営む企業や各種法人の皆様のCSR活動やSDGs(持続可能な開発目標)への貢献に向けた活動を支援することを目的として、「ひがしなり企業区民連携フォーラム」を立ち上げました。「さまざまな参画主体の社会貢献に対する熱意や“アイデアを育てる”場」、「地域や社会の課題を聞く場」、「企業価値を高めて区のブランディングにつなげる場」として、「ひがしなりソケット」を発足、同年8月に「KICKOFF!ひがしなりソケット」開催~5回のラボを経て、協働事業プランの企画を進め、先日2月15日、成果プレゼンテーションが実施されました。

 

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「企業の力」を地域・社会の発展に活かす

筆者はひがしなりソケットLAB.(全5回+プロジェクトプレゼンテーション)に第一期メンバーとして参加し、さまざまな活動主体の皆様と触れ合い、共に考えました。

ラボは、毎回異なる、SDGs有識者によるセミナーとワークショップの2部構成。ワークショップで常に動機づけされたことは社会や市場、地域は常に変化しているということでした。また、そこに「自分自身」を介在させる、つまり「ジブンゴト」として社会のさまざまな事象を捉えるという手法により、社会課題へのアンテナを研ぎ澄ましていきました。さまざまな社会課題を解決するために、自分の強みを活かしてどんな社会的事業ができるだろう?やりたいことが定まってきたら、中盤でグループシャッフル、傾向別にチームになり、アイデアをカタチにする作業―コンセプトメーキング、概要、スキーム、役割分担等、マーケティング手法に乗っ取って「プロジェクト化」を進めていきました。次の回までにモチベーションが途切れない工夫として毎回ホームワークも提示されました。働きながら両立させるにはなかなかハードルが高いものがあり、中にはお題の難しさに悩み込み、「前に進まないー」と嘆くメンバー。しかし、チーム一丸となって取り組んできた結果、5つの具体的な協働モデルプランが完成、プレゼンテーションの日を迎えることができました。

 

<プレゼンテーションされた5つのプラン>

  • 人×アート×東成⇒モノづくり企業によるオープン工房とアーティスト捜索支援のアイデア
  • SDGsアンバサダー制度⇒いい会社を増やすSDGs認定制度と企業間ピアレビューのアイデア
  • ひがさくクリエイト⇒パーソナルサポート・スペースと母子生活支援の連携アイデア
  • 働き方研究所⇒就労困難者と中小企業の人手不足解消をめざすマッチングのアイデア
  • ひがしなりソケット名刺⇒名刺というツールの企画立案・運用のアイデア
<プレゼンターの皆様からの声一部ご紹介> 

頭の中だけで考えていたことが少しずつ形になり、他の参加者やアドバイザーの意見を聞くことで具体化していきました。あきらめていたことでもチャレンジできると思うようになり、1人ではできないことでも共通の思いを持った仲間とでなら実現できると気持ちも前向きになりました。

 

始めはそれぞれの専門分野を通じた提案であったが、異業種の方の社会課題を聞くことで、自身の専門分野(木)だけの視点から、多分野の視点を知ることでまち全体(森)の視点でわがまちを見る視野が広がった。

 

SDGSに対して理解が進み、その重要性を実感しました。また、多種多様な地域の方々の意見を聞き、社会の抱える諸問題について考える機会を得ました。

 

それぞれの発表に協力し合える点があり、心が躍りました。また発表で何回も体験しましたが、魅せ方、見せることの大事さ、聞いてもらうことで意見がもらえることは改めて大事なことだと思いました。

 

学びながら課題の整理と実践ができて、小さな成功体験を得られたことが大きいです。

さまざまな関係者が手を組まなければ何も活かされないこと、手を組むには仕掛けがいることを知りました。

 

思いをカタチにしていく過程や他の地域、企業と取り組む手法がとても参考になり、毎回楽しみにしていました。また、(東成区には住んでいるというだけで)今まで地域とのつながりがなかった自分が、ソケットに参加して少しずつ東成区とつながりができたことは本当に嬉しかったです。

 

 

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事業所訪問をしてのマーケティング分析や、プレ実施をしてみた!という方もいらっしゃいました。

 

これからも―東成区を輝かせる仕組みとしての定着をめざす「ひがしなりソケット」

プレゼンテーションには、ファイナリスト/プレゼンテーターが一緒に学びたい仲間や区民の方、自分たちのチーム、アイデアを応援してほしい方々などを招待、盛況な会となりました。

印象に残ったのは、始めは自分の考えが合っているのか、悩みすぎて思考がストップしてしまった…など共に悩み、協力してひとつのテーマに沿って考えてきたメンバーたちの自信に溢れた堂々たるプレゼンテーションぶりでした。終始笑顔を絶やさず、自分の言葉で生き生きと「夢」を語る。その様子に感銘を受けました。

終了後はご招待された方々との交流もされ、つながりが広がっていきそうな予感もしました。

東成区によれば、「ひがしなりソケット」は今後も継続して参加する意志のある(新たなチャレンジや学びをしていきたい)方々が自発的に楽しく集う場になるとのことです。

LAB.二期生の募集や一期生のアイデア進捗について、次年度以降もフェイスブックを中心にアップしていくとのお話でした。新たに「ひがしなりソケット」メンバーに加わりたい方を主な対象とし、「KICKOFF!ひがしなりソケット」イベントが今年の初夏に予定されているとのことです。