社会課題と市民活動内容

 -SDGs17:海の豊かさを守ろう-SDGs

最近の報道で良く聞かれるようになったマイクロプラスチックの海洋汚染。マイクロプラスチックとは何でしょうか?また、どのような影響があるのでしょうか?その他のプラスチックごみの海洋汚染と併せて考えてみましょう。

 

マイクロプラスチック(MP)とは、5mm以下の微細なプラスチックごみ(※1 P.8)を指し、2種類に分類されています。

  • 一次的マイクロプラスチック

 5mm以下のサイズで製造されたプラスチックのことで、プラスチック製品の原料や歯磨き粉、化粧品、工業用研磨剤などに含まれるスクラブ剤(マイクロビーズを含む)として利用されています。工場排水や下水などから海へ流出します。

  • 二次的マイクロプラスチック

 ペットボトルやレジ袋などのプラスチック製のごみが海に流出して、波間を漂う間に海の塩分や紫外線により劣化し、さらに砂や波により細かく砕かれて5mm以下のサイズになったものです。

地球規模で広がる海洋汚染

これらのマイクロプラスチックは自然に分解することがないので、海流にのって世界中に広がっていきます。南極や北極でも観測されたとの報告もあります(※1 P.2)。また、毒性のあるPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害物質を吸着する性質(※2 P.69)(※3)があります。有害物質で汚染されたマイクロプラスチックを魚などの海洋生物が摂取することで、食物連鎖による生物濃縮がおこり、さらにそれらを人や他の生物が食べることによる健康への影響も懸念されています。

四角形

深刻な被害を及ぼすプラスチックごみ

今、世界ではプラスチックごみはマイクロプラスチックだけではなく、ボトル、シート、フィルムなど比較的大きな廃棄物も海洋プラスチックごみとして問題になっています。例えば、海洋生物や海鳥などが誤食する事による直接危害や景観、船舶の航行、漁業への影響など深刻な問題(※1 P.1)が起こっています。

亀

 

 

私たちの生活が海に流出するプラスチックごみを増やしています

では、なぜプラスチックごみは海に大量に流出しているのでしょうか?

プラスチックごみは何も直接海に捨てられるごみだけが海洋のごみになるわけではありません。私たちが不用意に投げ捨てたごみも、河川などを通じて海に流れ出しています。また、リサイクル過程やごみの埋め立て、特にマイクロビーズは下水処理の過程からも流出しています。世界中で、年間478万トン~1,275万トン(推計※1 P.3)中央値で877万トンものプラスチックごみが海に流出しているとも試算されています。日本でも年間2万~6万トンものプラスチックごみが流出していると考えられています。

このままでは、2050年には海洋中のプラスチックごみの総量が、海洋中の魚の全重量を越えるとも言われています。また、マイクロプラスチックも2060年までには重量濃度が現在の約4倍(※2 P.69)になると考えられています。

 

急がれる海洋のプラスチックごみ対策

  増え続ける海洋のプラスチックごみを減らすために、世界では様々な取組みが行われています。例えば、アメリカでは2015年に、全米でレジ袋をお客さんに提供することを禁止しました。さらに、2020年にはマイクロビーズの製造、販売も禁止することが決まっています。欧州や東南アジアもプラスチックごみの削減に取り組んでいます。

わが国も行政をはじめ民間でも様々な取組みがおこなわれています。

大阪市でも、大阪府と共同で「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」(※4)を行い、プラスチックごみゼロに向け、企業と連携した啓発活動や清掃ボランティア活動への支援、庁舎・関連施設における使い捨てプラスチック使用削減、さらには市民団体と協働してレジ袋の削減のためのキャンペーンを実施する等の「大阪エコバッグ運動」(※5)の推進などに取り組んでいます。また、河川レンジャーのように、住民と行政が一緒になって、河川の美化や環境保全の啓発を行っているところもあります。例えば、淀川管内河川レンジャーが平成31年2月から3月におこなった「淀川水系一斉美化アクション」(※6)では4800名近くの人が参加し、約133トンものごみを集めました。

私たちの命の源である海の環境を守り、美しい海を未来の世代に残すためにも、プラスチックごみのリユース(再利用)、リサイクル(再生産)も必要ですが、ごみを根本から減らすリデュース(減らす)の取組みが重要です。

 

※1 出典:環境省 「海洋プラスチックごみ問題の動向 及び対策について」(令和元年5月版)

http://www.env.go.jp/council/09water/y090-46a/mat07_1-1-1.pdf

※2出典:環境省 環境白書(令和元年度版) 

第3章「プラスチックを取り巻く状況と 資源循環体制の構築に向けて」

http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r01/pdf/1_3.pdf

※3出典:大阪市:マイクロプラスチックが与える影響

https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000463800.html

出典:環境白書 残留性有機汚染物質

http://www.env.go.jp/chemi/pops/pamph27/pdf/mat00.pdf

※4「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」

  https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000459635.html

※5「大阪エコバッグ運動」

https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000471631.html

※6「淀川水系一斉美化アクション」

http://www.river-ranger.jp/case/pdf/case08_H30.pdf