社会課題と市民活動内容
2020年3月12日のWHO世界保健機構のパンデミック宣言の後、同年4月5日に公表された国連事務総長の声明文の中で、『都市封鎖と隔離がCOVID-19抑制に不可欠とわかってはいるが、虐待を行うパートナーを持つ女性を困難に陥れる可能性がある』と問題を提起、『全政府に向け、女性に対する暴力の防止と救済をCOVID-19への国家規模の応急対応のための計画の重要項目とするよう要請する』とあります。(アントニオ・グテーレス国連事務総長の声明 仮訳 ※1)
それを受け、日本政府は内閣府に研究会を設置し、あえて女性に絞った分析を進め、11月19日、これまでの研究結果をとりまとめた緊急提言を公表しました。
その際、参考にしたデータ(緊急提言参考データ<DV相談件数の推移> ※2)では5月・6月の相談件数が前年同月の約1.6倍となっています。相談ダイヤルを新設すると相談件数が増える傾向もみられることから、今年10月1日からスタートしたDVの被害相談短縮ダイヤル「♯8008(はれれば)」により、今後相談件数はさらに増加するかもしれません。
コロナ第3波感染拡大に伴ってストレスが重なり、再びテレワーク促進強化等で在宅率が高まれば、DVが増加する可能性がないとは言いきれません。
女性だけではありません。子どもへの虐待も視野に入れておくべきです。
例えば子どもが同居する家庭内で母親へのDVが起きれば児童虐待にもなるのです。(心理的影響から児童虐待の一類型とされている ※3)もちろん子ども本人に矛先が向くケースも懸念されます。
どうすれば女性や子どもを守れるのでしょう?
DVや虐待を受けていても、なかなか周囲には打ち明けづらいものです。また、自分がDVや虐待を受けているということを自覚していないケースもよくあると聞きます。そのため、すぐには表面化しづらい。そんな人たちの心を支え、救済するためのセーフティネットや、そのセーフティネットにつなぐ役割を担う支援団体の存在があります。
また、大阪にもたくさん存在する子育て支援、子どもの学習支援団体は、DVや虐待防止を主たる目的とはしていなくても、その活動の対象は親や子ども。活動を通じて、“もしも何かを察知したら、専門の支援団体やセーフティネットにつなぐ!”そう考え、実際に行動している団体もあります。
活動テーマは多少違っていても、対象が同じなら共感しあえるはずです。
まずはお互いの現状の情報交換から始め、連携してできそうなこと、考えてみませんか?
【参考】
※1内閣府男女共同参画局(国際機関による発表、報告書、各国の取組等)
【アントニオ・グテーレス国連事務総長の声明】
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/sp_index_2.html
※2内閣府男女共同参画局(コロナ下の女性への影響と課題に関する緊急提言)
【緊急提言参考データ】
https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/covid-19/index.html
※3内閣府男女共同参画局(配偶者からの暴力被害者支援情報)
【DV・児童虐待事案における配偶者暴力相談支援センターと関係機関との連携について(アンケート調査結果から)_本文】
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/chousa/r02_renkei.html