社会課題と市民活動内容
ソサエティ(Society)という言葉をご存じですか?
経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会のことで、これまで狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)と変遷してきました。そして平成28年1月22日に閣議決定された第5期科学技術基本計画において、わが国がめざすべき未来社会の姿として「Society5.0(創造社会)」が初めて提唱されました。
Society5.0はサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステム(※1)で、わかりやすく言うと、インターネットとつながる生活日用品(IoT)、IoTを通じてクラウドに集積される膨大なデータ(ビッグデータ)、膨大なデータをスピーディーに分析・提案してくれるAI(人工知能)、AI搭載ロボット…高度な情報通信技術(ICT)が仕事の現場、日常生活に溶け込んだ社会というイメージ。
日本がSociety5.0を進める理由は、国際社会においても日本は「課題先進国」と言われるほど深刻な社会課題を持つ国であり、その課題を解決するためのイノベーションが必要不可欠だからです。ではSociety5.0社会は日本が抱える社会課題をどう解決できるのでしょう? 事例を挙げると、
●環境・エネルギー問題
●公共インフラの老朽化
建設分野においても、高度経済成長期に整備されたさまざまなインフラの老朽化、災害への備え、過疎地における公共交通機関の一部区間廃止等の移動の問題、等、さまざまな問題が危惧されています。
国土交通省では、センサー、ドローン等を活用した建築の生産性向上、ICT、IoT技術を活用した新しい河川管理、地方のインフラメンテナンスにおける新技術活用の全国的な普及・展開(※2)等、さまざまな角度からの対策が検討されています。
●少子高齢化問題
団塊の世代が75歳を迎える2025年、超高齢化社会に突入し、65歳以上の人口が3割を超えることが予測(※3)され、日本全体の労働人口の不足が危惧されています。
社会のために就労を通じて貢献したいというニーズを踏まえたシニア雇用の動きはすでにありますが、今後、例えばAI搭載のデジタルウォッチ等による心身の健康チェックやオンライン遠隔診療はシニアにとって欠かせない習慣として定着するのではないでしょうか。また介護人材不足も危惧されるところですが、介護ロボットの導入等、さまざまな現場でICT技術を使ったモノやサービスが実用化されていくことでしょう。
すでにICTの先端技術が搭載されたスマートハウス、スマート家電の出現等、Society5.0社会は始まっています。そして日常生活に関連するありとあらゆるものがスマートフォンで制御できるようになるでしょう。
しかしスマートフォンを持っていても、情報検索、動画再生、電話、メールなどの限られた機能しか使っていない人が多いのが現状。将来的に65歳以上の高齢者が3割を占めると言われる日本においてSociety5.0社会が機能するには、高齢者の方が積極的、戦略的に情報端末を使いこなせるサポートを地域単位で考え、行っていく必要があるでしょう。
大阪市においても超高齢化社会を見据え、認知症カフェや100歳体操など、高齢者の方が心身共に健康を維持するための取組みが継続的に行われてきましたが、コロナ禍で中止や自粛をせざるを得なくなった地域が多くあります。そんな中、YouTubeでの認知症予防啓発コンテンツ配信、ZOOM体操などの新しい手法を生み出し、活動する団体が出現、ICTに強いさまざまな団体が今、地域等での活動の場を求めています。
ICTに詳しいという強みを発揮したい団体、地域運営に関わる団体、どちらもめざすところは社会課題を解決することだと思います。一緒にできること、考えてみませんか。
【参考】
※1 内閣府(内閣府の政策>科学技術・イノベーション>Society 5.0)
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html
※2 首相官邸(未来投資会議 資料1 国土交通大臣提出資料)
(Society5.0に向けた建設分野の社会実装 2P Society5.0における新技術の地方への展開)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai15/index.html
※3 内閣府(平成30年度版高齢社会白書)
第1節 高齢化の状況(1)
1 高齢化の現状と将来像 図1-1-2(高齢化の推移と将来推計)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_1_1.html