市民活動ワクワクレポート内容

旭区「学びの空間 楽」主催者田中かおりさんよりご提案頂いた「町会」を考える会(2025年4月25日開催)。

現役町会長(旭区振興町会長)25年目の長井敏昭さんにお話ししていただきました。

会場:学びの空間『楽』

参加者は
まちづくり中間支援であるアドバイザーやまちセン担当者、
地域で定期交流会を主催する代表、
NPOで支援活動をされている方、
地域活動協議会事務担当者、
町会役員さんなど
「まち」にかかわる多種多様な方が区をまたぎ参加されました。

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長井敏昭さん

 

◎リーダーの役割

「いつ辞めようか」町会長を受けたときにまず考えました。受けたからには役割は果たしますが、次につなげるためにどうするか。リーダーの役割は次のリーダーを作ること。その背中を押すことやと思ってます。そして、人って労力だけでなく気力も衰えてくるのは75歳前後やと思うので、町会長75歳定年制をかかげました。

「町会長は一番汗をかいて一番頑張らないといけない」「偉くなったんじゃない」と思ってます。そして「誰でもできる町会長」にするためには自分が余分に抱えて負担になることを減らし、「これまでやってくれていたから」にはせず、徹底的に効率化、分業化を図り、無償奉仕になっていたところをまちの中で「仕事」として費用が掛かっても振り分けました。

 

◎町会としてのお金の使い方

集めた町会費は必要なところへ使っていこう、もちろん「何かあった時のために」置いておくお金も必要でしょうがバランスがある。助成金をうまく使ったりコミュニティビジネスで収入を得たり、まちの資金を「運用」するだけではなく「経営」するのだということです。

町会長になってすぐ、ご近所の方が「電球きれたから替えてくれ」と私に言ってこられ「今までやってくれていました」と。それは街の電気屋さんに費用をかけて仕事として委託し、その費用は町会から支払う仕組みにしました。まちの経費は「まちをよくするため」に使うことを徹底しました。

 

◎なり手がいない問題

町会組織の「担い手」「班長」や「役員」はほぼ同列の仲間。

仲間になるためには①同じ釜の飯を食う②同じ時間を共有する③一緒に働く、の3つが必要やと思ってます。今の時代、賛否ある『呑みニケーション』ですが、公(おおやけ)の場では言いにくいことも私(わたくし)のゆるい場では話しやすい。飲み屋ではなく会議の後、その場で簡易な呑みの場を作ることで風通しを良くして、役のお願いをするときは「何のためにやるのか、誰のためにやるのか」を明確に、特に「ご自分の子どもや孫のためになる」ときちんと説明すれば「ほなやってみよか」になりますね。

 

◎町会って

町会の大きな役割は「災害時、最低3日間まち全体が生き抜くための組織」やと思ってます。旭区で一斉に行った「避難所となる学校や施設の鍵開け訓練」がなぜ必要かというと、災害時には行政が支援でやってきて準備万端に整えてまちの人はお客様で入るのではない、と自覚してもらうため。とにかく「自分ごとにしていく」。災害救助の公の仕組みは様々(傷病者のヘリ搬送などいろいろ)ありますが、そこへ繋ぐのはまちの人であって、外部支援は後追いです。いかにそこを理解してもらえるか、が大切なんです。

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長井さんからのお話のあと、短い時間でしたが参加者全体のトークセッションを行いました。たくさんの意見があり、その中でも「防災」と「情報発信」は町会を語る上での重要なキーワードになっていました。(以下、抜粋)

・20代、30代は町会や地域活動協議会がやっている活動そのものを知らない。なんなら行政(区役所)がやっていると思っている。知ってもらうための広報をなぜしない?

・町会は身近なリスク管理の場所。頼るのではなくそこで自分たちに何ができるか、どう関わっていくか。町会組織は大切な仕組みだと考えてもらわないといけない。

・「町会に対するサポートをしたい」と取り組んだが町会改革には至らなかった。

・すでにいろいろ活動している人たち、手弁当で活動している人たちの歯車をうまく組み替えられたらすごいパワーになると思う。

・活動を自分ごととして理解してもらう。

・若い人の注目をどう集めるか。

・大阪市全体で先進的な地域(区や町会)活動をしている事例共有⇒市連長会で始めている。

・地域の子どもと保護者向けに「防災学習としてDIGで地域防災理解」。

・会議はせずグル―プLINEでやり取りするところも。

・SNS運用のルール 情報共有のツールになればよい、愚痴言いの場になってはいけない。

・能力のある方の団体はその人に頼り切って次が育たない傾向がある。

・外国籍の方と町会の交流を始めるにあたり町会の活動を知りたいがどこに聞けばよい?

・乳幼児・障がい者の災害時避難場所についての地域対応、災害時福祉避難所のあり方。

 

【町会って?バトンタッチは?】

今回のハイパーセミナーを通じて、近年著しく発達した情報発信・共有ツールに長けながら「町会」という自治活動をしらない若者世代、かたやAIツールやネット情報・発信ができず高齢化がすすむ「現役町会世話役」。そのちょうど間にあたる世代は「企業戦士」として地域とのかかわりが遠い人も多く、既存の町会活動をただ継承するバトンタッチの考えは現実的ではないのかもしれません。

また、町会の活動は常に「地域の防災」という、日々情報が更新され、変化を伴い、対応が求められる課題と向き合うもので、ひとくくりではまとめきれないものでもあります。

「これが正解」という答えはないけれど、様々な立場、年代の多種多様な方がそれぞれの地域の中で地域の特色を鑑みながら話し合え、かつ柔軟に変化していける仕組みつくりが大事なのではないかと感じました。

 

大阪市内ではおおむね今年度(令和8年)、2年に1回の地域振興町会一斉役員改選が行われる年となります。皆さん、改選を見据え「町会」について地域で話し合う場を作ってみてはどうでしょう。