市民活動ワクワクレポート内容

 

 

 今回のハイパーセミナーは

「人権と未来について考える」をテーマに

部落の歴史研究をしている地域活動家の川崎匡さんと在日コリアン3世の大山智現さんを講師に迎え、いくのパークで現代と未来の人権問題について語っていただきました。

 

川崎匡さんによる「同和地区と部落の歴史」の講演

 

 

 

川崎さんは、中学生の頃から和太鼓を始め、その中で自然と部落問題にも関心を持ち始めたのがきっかけで部落研究会に所属し、部落の歴史や差別について学んできました。

 

高校生になってからは、和太鼓を通じてそのルーツを仲間たちにも伝えるようになり、更に大人になってからも親交のあった部落研究会の顧問の先生から

ある日、『何か一緒にやりたい』と声をかけてもらったことがきっかけで部落の歴史や人権についての授業や講演を行い、学校や地域コミュニティで伝える活動をしています。

 

~差別ってなんだろう?~

「差別」という言葉や概念は、危ないもの、怖いものでもなく、勉強してみたら意外と楽しかったり、

学べるものがたくさんあるのでもっと身近なものでもある

 

2000年頃に部落差別撤廃に向けた大きな動きとして、同年に「人権教育および人権啓発の推進に関する法律」が公布・施行され、そして

令和になってからは多様性が認められる時代になり、SNSや表舞台で発信しやすくなったことがと良い意味でも悪い意味でも多きい変化であると

 

 

そして学生たちに伝えるときに必ず言うことは

 

多様性に気にしすぎて「周りと違う人の気持ちを理解せず特扱いする」のも「差別」になり、お互いの壁はずっとなくならない。

 

障がいや国籍など分け隔てなく同じ距離感で関わることが大切である。

 

主催の和太鼓イベントで想いだけではなく会場の壁に特別支援学校の生徒が制作したものを飾り自然と障がいについて知ってもらう取り組みもされています。

 

~今後について~

「和太鼓や講演会などで人と人の壁をなくしたり、環境や誰かの気持ちの変化に役立つことを今後も続けていきたい」と、

力強い言葉が会場に響き渡りました。

 

※和太鼓奏者として活動する川崎さん

 

 

大山さんによる「在日コリアン3世の視点から考える共生社会」の講演

 

 

大山さんは、在日韓国人3世で本名が禹 智現(ウ チヒョン)といいます。生野区の日本の小学校に通っていましたが

小学1年生の夏休み中に、母親から「在日韓国人」であることを聞かされ、2学期から本名で通学するようになってからいじめが始まりました。

 

本名をもじって「ウンチくん。あいつに触ったら菌がうつるぞ!」という冷やかしがエスカレートしていき、実際に犬の汚物を舐めさせられたことや体を傷つけられたこともあったと言います。

いつしか学校生活に希望を持てなくなり、自分自身で命を粗末にしようとすることも…

 

中学生になり、音楽と出会い、歌う事で自分を表現する手段やストレスのはけ口の仕方を見つけると

自分自身を傷つけることはなくなっていき、「音楽」に命を救われたと思うようになった経験が

音楽で救われる子がいるかもしれない現在の活動の根っこになっているそうです。

 

 

そんなご自身の経験や弟さんが幼いころに白血病になり帰らぬ人となったことで

生きたくても生きられなかった命もある。」とより命の尊さを感じるようになり、

大人になってからは児童福祉関係の仕事やボランティア活動を通じて障がい、虐待、多国籍など様々な境遇の

こどもたちが生まれた環境や境遇に関係なく、未来に希望を持てるように、また将来の選択肢が広がるように

年齢や障がい、国籍といったあらゆる境界を越えて、No borderな音楽フェスを共に創ることで相互理解を深めたり

身近な大人たちのキラキラした姿を通して、「早く大人になりたい」と思えるような希望や憧れを、子どもたちに届けたいと活動しています。

今年は大阪・関西万博のステージ「アリーナMATSURI」にこどもや高齢の方、アーティストと合同でパフォーマンスをされました。

来年はさらに、海外のステージにこどもたちと挑戦するかもしれないとのことです。

 

※7/4㈮大阪・関西万博でこどもや仲間たちとパフォーマンス

 

 

~対談を通じて~

両者、お互いのルーツは違えど、自然と相互理解を図る手法が音楽であるという似通っている部分と

差別(いじめ)を受けた当事者、かたや差別を受けた経験はないが、歴史を伝える者がどのように

人権について捉えているか自身のルーツについてどのように感じているか質問が出ると

大山さんは、現在の活動を通してやっと在日コリアンのルーツに興味を持ち始めたといい、

川崎さんは、伝えつづけることの大切さを語りました。

 

 

~語りと音楽でつむぐ共生のかたち~

川崎さんによる和太鼓と大山さんのオリジナル楽曲をコラボ演奏し、

未来への願いが会場に響き渡りました。

 

 

~ハイパーセミナー後のアンケート~

感想

・20代30代のそれぞれの想いが伝わった。

・共感できた。

・若い世代の人が、自分たちの歴史を踏まえつつ、新しい活動を展開していることが素晴らしいと思った。

・若い世代の差別に対しての意識に正直驚きましたが前向きに捉える事の大切さを学ばせて頂きました。

・生きづらさを抱えている子ども達にお二人のお話を聞いて欲しいと思いました。音楽は人と人を繋ぎ水紋のように広がっていく。本当に素晴らしいですよね。次世代を担う子ども達に是非伝えていって欲しいと思います。

 

今後取り扱ってほしいテーマ

・性暴力、ジェンダー

・同じようなテーマ

・虐待サバイバー

 

 

取材・記事作成:シミポタ運営事務局